世界に4つの貴重品
「飲んだら出発しましょうか。あ、じゃないや。私は休憩できたけれど、ネウス君はそれ探しに行ってくれて休憩できてないよね?もう少し休んでいこう。あれ?ここでちょっと待ってて」
ディラとネウス君を置いて、その場を離れる。20mほど進むと、やっぱり見間違えじゃなかった。
うずくまってる霊がいる。存在がすごく薄い。両手を合わせて拝めばすっと姿を消した。
誰にも看取られなかったことだけが心残りだったのかな。
霊が消えた場所が光を受けてきらりと光った。
「あー、物に付いてたのかな?」
ちょっと掘り起こすと、金貨が出てきた。
「お金だ。お金に執着してた?」
まぁ真相は分からない。すでに、お金を入れていただろう布はボロボロでほんの少しだけしか残っていない。随分前に亡くなったんだよね。掘り出すと、金貨が100枚くらい出てきた。大金だなぁ。
それから、少し先に土に埋まりもせず赤い石の付いた指輪が一つ落ちているのが見える。
……なんで埋まらなかったのかな?
……。
「宝石や指輪っていわくつきが多いんだよねぇ……置いていこうかな?いや、でも何も感じないから大丈夫かな?」
とりあえず金貨と指輪を収納鞄に入れてネウス君の元に戻った。
それからも1時間ごとに小休憩を取りながら歩き続ける。歩いている間は体力を消耗させないようにあまり会話はない。
休憩になるとネウス君がまたサボテンを探しに行った。
「水の魔石があるからいいよ」
と言うと、はにかんだ笑顔でネウス君が笑った。
「ユキが美味しいって言ってくれる」
う、いい子だな。きっとしてもらってばかりでは心苦しくて少しでも恩返ししたいって思ってるのかな。それを止めるのも申し訳ないので、ネウス君の気持を受け取ろう。ある程度納得できるように何かしてもらってから、もう十分だからと、自由だよ、私に縛られないでと言わないと。いつまでも納得できないと、腕を切り落としてくれと言い出しかねない。怖いよ。
「じゃ、これ目印ね!」
剣をザクッと地面に突き刺す。
『うっ、ユキ!』
ちょっとディラが涙目。
「目印がないと、帰ってこれないから」
ディラがハッとする。
『ユキが帰ってこれないのは困る』
まぁ、私はディラの姿が見えてるから問題ないけど。とりあえず、首をかしげるディラを無視してさっき見えてた霊のところへ。近くにいる霊で、害がなさそうな存在の薄いところには何かが落ちているか落ちているかもしれないので、ただネウスを待っているよりもいいかと見に行くことにした。
「あれ?これって……」
拝んで霊が消えたのを確認してから地面を掘り返す。
「ディラ、これ見つけたんだけど。世界に4つしかないとか言ってなかった?それとも別の物?」
見つけたのは、ディラがエリクサーと呼んでいたのと同じ小瓶が2つ。
ディラが目を丸くする。
『エリクサーが、2つも?……あ、世界の存亡をかけた魔王軍との総力戦だったから、国宝を持ちだしてこの場所にあったのかも。それとも、あの場に現れたドラゴンのドロップ品かな?』
拾って拾って拾いまくりチート……の話ではない




