表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

16/35

魔石は常識?非常識?

「じゃぁ、半分こしましょ」

 コップを傾けもう一つのコップにサボテンの汁を注ぐ。

「え?で、でも……」

 戸惑うネウス君に半分の半分の量になったコップを一つ押し付ける。

 すぐ後ろに、ディラが立っていた。ああ、そうだ。忘れるところだった。

「お供えします、どうぞお召し上がりください」

『え?いいの?やった!』

 半透明のコップを持ち上げておいしそうにごくごくとサボテン汁を飲むイケメン幽霊。

『いやぁ、うまいなぁ。久しぶりだよ、この味!これの酒、シーマの好物だったよなぁ。ありがとう、うまかった』

 ディラがネウス君の頭をなでなでしている。

 痩せすぎていて年齢がよく分からないところはあるけれど、もしかしたら20歳超えてるかもしれなくて。

 ネウス君、どちらにしても頭を撫でられるほど小さな子供ではないと思うよ。とは思ったものの、まぁ、本人は撫でられていることに気が付いていないし、見ている私の気持ちはホンワカするのでいいか。

「では、お下がりをいただきます」

 コップを手に、人生初のサボテン汁を口にする。

「あ、美味しい」

 ん?またちょっと霊力上がったような?って、気のせい気のせい。暑くてバテてたところに、飲み物飲んで元気になっただけだよね。

「ありがとう。じゃぁ、今度はこれ飲もう。まだ喉乾いてるよね?」

 小指の爪の先ほどの水の魔石とやらを指でつまんで持ち上げる。まるでクレヨンで色を塗ったようなはっきりした鮮やかな水色の小石だ。

 が、これ、どうすれば水が出るの?呪文とか知らないけれど……。えーっと。

「【水を出して】」

 水の魔石からジャーっと水が出てきてコップを満たした。

 おおお!おっと、こぼれるこぼれる。このまま少年のコップにも水を入れる。って、こぼれるこぼれる。

「【ストップストップ、もういいから】」

 で、水は止まった。なんだ、呪文じゃなくてお願いすればいいのか。

「さぁ、どうぞ」

 顔をあげると、ネウス君がまた青ざめている。いや、だから、何で?

「魔力0と言ったのは……嘘……?」

 ああ、水を出したから?

「本当よ。今は、これ、水の魔石で水を出したの。私の力じゃないよ?」

 手の平に乗せて見せる。

「水の……魔石?なんだそれ?」

 はい?

「えーっと……知らないの?」

 この世界の常識じゃないの?

 どういうこと?

 ディラの顔を見る。

 ディラが首をかしげる。

『いや、子供でも知ってるよな?ダンジョンのモンスターを倒すと魔石が手に入る。魔石には水、火、土、風、光の属性の物があって……って』

「知らない?」

「……俺も妹も、小さいころから街の外にいるから……知らないことが多いんだ。ごめん。でも、ユキ……俺はユキのものだから。俺ができることなら、なんだってユキのためにしてやる、いや、させてくれ」

 いや、謝ることじゃないし。

 むしろ、異世界から来た私のほうが知らないことだらけだろうし。

 っていうか、いやいや、奴隷扱いしないからね?ネウス君が私のものだなんて思ってないって。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ