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狼と羊
狼は森の中を歩いていた。落葉が積もる森の中を、彼は毎日さまよっている。
狼はもうずっと腹を空かせていた。
これまで何十年も身を潜め、熟れた肉で我慢してきた。だが、皺々の肉より、滑らかな肉の方が美味いのだ。
狼は昔食べた彼女たちの味を思い出し、舌舐めずりする。
他の狼が、何故老いた羊やただ一匹の羊で我慢できるのか、彼には理解できない。彼は腹が減って仕方がなかった。
満月が、一人森を歩く可愛らしい娘の姿を照らす。
美味そうな女の子だ。
狼は紳士を装い、優しく声をかける。
この間の羊は、食欲を抑えなかったせいで逃げられてしまった。今回は慎重に、獲物を誰にも見つからないところへ誘い出す。
そして狼は、ペロリと彼女を平らげてしまった。