第97話:オーク村(其の1)出発
そういえば、いつの間にか30万字越えてました。
積み重ねってすごいです。
16日目:オーク村(其の1)
ユニを起こし、フォルトゥーナとアウトをお供に簡単な朝食を作る。
干し肉やら香辛料やらを用いて作ったコンソメを溶いてスープにし。
<レッドの腕輪>内のスペース、幸運兎農園で育て、採取した野菜達をサラダにし。
メインはお魚さんの切り身と、お米を炊いたご飯です。
いやぁ、どこでもお米栽培してるって良いよね。
流石創造神が元日本人なだけはある。
今は、農園でお米様を品種改良中だ。
俺自身は特にこだわりはないものの、いわゆる日本米は食べたい。
あと色んな種類のお米が欲しい。
料理によって、相性の良いお米が変わるからな。
あと、固め柔らかめ、甘め、長め短め、その時の気分で変えられたら尚良し。
「おいしーです。レッド様」「キュ(お肉も欲しい)」「いやー、役得っスね」
え? あんだけ肉食ったのに、今日もいるの?
うーん。
あっ、じゃあ肉巻きおにぎりにしてみよう。
甘辛くしてみたぞ(3秒クッキング)
「キュー(おいしー)」
そうかそうか。
それなら良かった。
「キュキュ(今度あっちの香辛料使って欲しいな)?」
お前……、随分と流暢に意図を伝えられるようになったなー。
辛み成分強めか、やってみよう。
──────────
「サモン!」
腕輪に指を当て、コートをふぁっさぁ!
風魔術<エア・フロウ>で、無駄に演出してみる!
『なんか最近強くなってないっスか? 厨二病』
『厨二病やってると、想像力が鍛えられることに気付いた。
実際に効果が出てしまったのだよ、生産とかで』
『マジっスか!?』
『マジっスよ』
創造神様が厨二病説、ない訳じゃない。むしろ有り。
「大将。オーク村一同集いました」
「うむ。ご苦労」
腕輪の中にある、紅血の間に放り込んで鍛えていた奴等を呼び戻した。
「みんな、スキルも付いているしレベルも上がっている。
これなら、より安心して任せられるだろう。
ターク、エルの指示をよく聞いて頑張るんだぞ。
女達と武器類はそれぞれ用意してあるからな」
「ハッ! 誠心誠意結果を出せるよう努力致します」
うん。風格出てきたね。
みんな、<回避>とか、<生存術>とか、<恐怖耐性>とか、<毒物耐性>とか、<根性>とか。
色々くっついてるし、レベルも50まで上がってるのがちらほらと。
50の壁は流石に無理か。
こっちは質が必要になるからな。
……目付きがヤバい。
目を逸らしていたけど、コイツらの目付きが明らかに極ってるよ。
あれー? 難易度ミスったっけな。
『シレイ?』
『ハッ。予定通り、通常の訓練部屋である紅の部屋を通したあと、紅血の間に閉じ込めました』
予定通り!?
そんな指示した覚えないがな。
いい感じに鍛えておけって、やったらこれか。
そりゃー、全員そうなるわな。
食べる必要のない魔物達なのに、<飢餓耐性>とか、<不眠耐性>とか、<疲労耐性>ついてるし。
「では、それぞれ所定の行動に移る。
ゴブリン隊はそのまま、この周辺を狩っていけ。
ただし、オーク村のリソースを奪わないように。
荷物が一杯になったら戻ること。
オーク村の者達も、それぞれの役目を果たせ。
……行動開始!」
「ハッ」×いっぱい(一糸乱れぬ敬礼)。
やっぱやり過ぎたんじゃないかな……。
あれアウト位だぞ、まともでいられるの。
『いや!? オイラも命懸けというか命何度も失ってるっスからね!?』
「じゃあユニ、掴まって。
森を抜けて、馬車を出せるところまでは樹上を行くからね」
「はい! レッド様。しっかりとくっつきます!」
『無視っスか!? 無視なんスね!?』
いや君、充分にまともじゃないか。
──────────
ユニを抱っこしたまま、糸と障壁を用いて枝と枝とをアーアアーしていく。
フォルトゥーナはうさ足とうさ耳を使って飛んでいく。
あとなんかスキル使ってる。
『キュー(<空歩>だよ)?』
空を少しだけ歩けるようになるスキルらしい。
あと耳使って滑空出来る。
なんとも器用なうさぎさんだ。
聞いてみたら、俺の動きを真似してみたとのこと。
『アニキもフォルトゥーナさんもバグってるっスよ』
いや、お前に言われたくはない!
お前、ジャンプって言うか、グーパンチじゃん!
枝や幹を殴って加速したり、方向転換は分かる。
グーパンチで加速してるじゃん!
なんか飛んでるじゃん!
ゲームの突進技を組み合わせて、空を行くみたいな感じや。
コイツ、やっぱアホなんじゃ……。
『それさ、氣力とか魔力、足りんの?』
『けっこー消費でかいっスよ。
ランクアップして、だいぶ省エネ出来たのと、最大氣・魔力保有量、回復量が多くなったんで、そこそこ行けるっス』
『とりあえず魔力を送って、氣力も回復させてやる。
お前もバグってるからな? かなり』
『いや、ユニ様抱えつつ、樹上飛びつつ、枝を切って保存しつつ、葉っぱも切ったり、虫を取ったり、魔物の蜘蛛をスッパリやってるアニキに言われたくないっス』
えー、そうかー?
ユニを抱えるのは楽だぞ。
一部以外軽いし、しっかりとくっついてくれてるし。
感知できる全てからルートを割り出して、効率の良い足場を形成して、そのついでに色々と採取してるだけだぞ?
魔術も使って、遠心力やら風力やら、ベクトルを誤魔化してるし。
さっきの蜘蛛だって、ランク3の待ち伏せるタイプの蜘蛛だったから、スパスパしただけだぞ?
糸は火・熱に弱いものだったし。
『いやあの一瞬の交錯で、あれだけこなすって、十二分に頭おかしいっス』
『お前も慣れれば出来るって』
『慣れでどうにかなるもんスかね』
あっ、熊だ。
ランクは……3か。
イフさんgo!
<暗殺刺突・呪投擲>
『いっきまっすよー!』
(ヒュッ)グサッ!
「─────」
うし!
延髄直撃!
熊肉って、どこが上手いんだったかなー?
「キュ(おにく)!」「ぶれないっスねー、おっと、グーパンチ」
──────────
パカラッパカラッ。
ライト&ダークが馬車を牽引し、進んでいく。
うん。
立体的に進んでいくのも悪くないけど、馬車の旅ってのも王道だわな。
元オーク集落、現オーク村(其の1)は、街道からかなり外れた場所に有る。
少し時間がかかったが、別ルートで街道に戻ってきた。
別ルートのお陰で、初見の魔物を倒せたのが良いな。
行動パターン全く見れてないけど。
……あっ、今までも大抵奇襲だわ。
この辺は起伏が激しい地帯だ。
オーク村も、崖の麓に作られ、簡易の洞窟の回りに家屋が置かれていたし。
今向かっている次の都市セイレルは、近くに鉱山が有り、そこから取れる良質な鉄鉱石と、特殊な鉱石で栄えているのだとか。
そこから、交易都市ハラスラに卸しているため、街道はかなり整備されている方だ。
そして鉱山の近くのため、鍛冶師に期待できる。
鍛冶系スキル、王道だからこそ欲しいんだよなー。
「あっ、レッド様、城壁が見えてきましたよ」
「おお。もうか」
ユニのサンドイッチ式枕から頭を上げ、馬車の先を見る。
途中の襲撃は、ライトの<光矢>、ダークの闇矢で貫かれ、蹄で踏まれ、俺に回収されるだけで済んだ。
残念ながらゴブリンだった。
どこにでもいるよな、ほんと。
おおー、城壁が見える。……めっちゃ遠くに。
ユニの視力は素でかなりのものだからなー。
「あれ? レッド様、あっちの近くの山の麓にも町が有りません?」
「ああ。あっちもあの都市セイレルの一部だよ。
あれは鉱山だ。
鉱山の周囲は色々と生活に不便が生じるため、少し放して都市が出来たらしい」
「ほえー」
ユニに色々と知識を教えつつ、馬車は進む。
さあて、<変異誘発>さん、ちょっくらお仕事おねがいしますぜ?
ヤバいぜ。
100話近くなって、本題のダンジョンに辿り着けねぇ。
ダンジョンまであと30話はかかりそうだ。
加速するか、諦めて地道に行くか。
……ハッ(゜ロ゜)
執筆速度を上げれば……ピギィ!?(腱鞘炎)




