第84話:オーク集落への殺戮戦その5
15日目:オークの集落、色々損壊
視点:ユニ
オークの集落を襲って皆殺しにする。
レッド様のお役に立てるチャンスです!
戦いはまだ少し怖いけれど。
レッド様に変えてもらったこの身体。
レッド様に作ってもらったこの装備。
ユニは、戦える。
何も出来なかったあの頃じゃない。
6番だったから頃とは違う。
ユニとなったユニは、レッド様の為なら何だって出来るようになるんだ!
──────────
レッド様はダークさんに乗って一騎駆け。
レッド様と一緒じゃないのは少し不安だけど。
エル様は何時でも見てくれているし、レッドールというレッド様の似姿の戦闘人形。
ユニを守る、簡易のゴーレム。
魔術で作り出して、魔石を入れただけの簡易と言ってましたけど、これかなり強くないかなー?
最初の攻撃で、たくさんの命を奪ったのを、消えたのを感じる。
命を奪えば奪うほど、レッド様のお力になる。
ユニ、頑張ります!
『皆さん! お願いします!』
レッドールはエル様が動かしてるけど、ユニと思念の経路を繋げているため、ユニの意思を汲み取ってくれるそうです。
凄い仕組みですね。
ユニの<精神魔術>を解析したから出来たって言ってましたけど、それはレッド様が凄いだけだとユニは思います。
簡易ゴーレムは大盾をもって、ユニの周りに配置。
いわば中衛。
レッドール達は大盾と大剣を装備して攻撃する前衛。
レッド様のスキルと同期してるため、様々な武器を扱える頼もしい存在です。
オークがこちらにも来ました。
大半はレッド様に向かうけれど、ユニは女の子なのでオークを引き付けてしまうそうです。
もう! ユニのすべてはレッド様のものなんですから、シンデクダサイネ?
剣を持った大きいオークと、普通のオークが4。
他のチームに大分別れてるようです。
実戦経験の薄いユニのために、みんな引っ張ってくれているみたいで助かります。
レッドール達を向かわせ、2体で剣持ちを。
2体で4体のオークを受け持たせます。
レッドール達のランクはどれくらいかと聞いたところ。
『俺が直接操作するならランク4は有るだろうな。
遠隔操作ならランク3.5って所だな
だからランク4相手は2体以上が好ましい。
レッドールも<連携>持ちだ』
なのでセオリー通り2体です。
レッドール達はただの人形ではなく、学習型の人形なので、時間が立てば立つほど有利になります。
体力という概念も有りませんし。
オーク達とも、大分戦えている。
簡易ゴーレムも4体。
でもゴーレムさんは防御特化で攻撃には適さない。
だから、ユニがやります!
右手に<精神魔術師の長杖>を。
左手に<吸渉短杖>を。
まずは<精神魔術>で阻害を。
効果が薄くても、ほんの僅かな違和感でも、積み重なれば死に直結する。
眠り系は効きにくいでしょうね。
エル様のサポートのもと、焦り、混乱、感覚のズレ、恐怖、怒り等を刺激し付与していきます。
<精神魔術>は攻撃力の有る魔術とは言えません。
ですが有用性の有る魔術だそうです。
数少ない攻性魔術<精神衝撃>を使って、邪魔していきます。
これは身体ではなく精神を鍛えないと防げないので、効果があります。
攻撃が当たったときは、精神防御が薄れるので更に阻害を付与。
次に<ドレイン>を使って阻害していきます。
距離が有るので、吸収は殆ど出来ませんが、発散させることは充分に可能。
スキル技を使おうと氣力を溜めたところを霧散。
防御しようと踏ん張ったところに、体力を発散させてバランスを崩す。
長くドレインする必要はないんです。
効果を強めた一瞬でいい。
一瞬でもバランスが乱れれば、レッドール達が決めてくれます。
うーん。
やっぱり剣持ちは効きにくいですね。
普通のオーク達を中心に攻撃してゼンメツさせてしまいましょう。
えーい。やー。
この杖凄いです。本当に<ドレイン>が使いやすい。
でも<ドレイン>と<精神魔術>を同時に使えません。
レッド様みたいに、同時に色々使えるようになりたいです。
数では負けても、装備とスキルで優位なレッドール達を、ユニがフォローすれば程なくゼンメツ!
剣持ちに4体が向かいました。
今のうちにポーションを飲んで魔力を回復。
魔力量もたくさん増えましたけど、油断はダメですからね。
ユニは戦えるようになっても、まだまだ弱いですから。
明らかに防御が追い付かなくなり、傷だらけの剣持ちに、追い討ち。
その状態なら、<精神異常:幻覚>が効くでしょう。
「グッ、ガァ!?」
見せた幻覚は、迫り来るレッドール100体の軍勢。
さあ、動きが止まりましたね。
赤い氣力を纏って、レッドール達の必殺が4撃。
入りました!
念のため、<ドレイン>で生命力の確認。
あとエル様にも確認……ふー、大丈夫そうです。
辺りを警戒しつつ、レッドール達にアイテムを使って回復を早めていきます。
幾つか攻撃を受けてますからね。
彼らは自己再生出来ますが、効果はまだまだ弱い。
なのでレッド様から預かったレッドール用の回復アイテムを使います。
ドシン!
あれは!
凄く大きなオーク!
固そうな鎧も着けてます。
そしてあのえっちぃそうな顔!
あれがジェネラルというランク5。
一般人でも何とかなるかもしれないランク3。
戦闘を生業とするものが倒すランク4。
そして、壁となるランク5。
さっきのオーク達よりも気持ち悪いです!
どこ見てるんですか!
ユニのお胸を見ていいのも触っていいのもレッド様だけです!
レッドール達を向かわせ、ゴーレム達を防御陣形。
ユニは魔術とドレインで阻害──効果が薄い!
なんで……はっ、性欲!?
ユニには大きく見えるハンマーも、片手で振り回してレッドール達を吹き飛ばしてしまう。
レッドール達は、無事だけど向かってくる。
簡易ゴーレムでは防ぎきれない。
ならヤッチャウしかナイヨネ?
『因子覚醒。モード、サキュバス』
身体を、変えていく。
額から角が生え。
お尻と腰の間、びていこつ? から尻尾が生える。
装備は阻害することなく、形を変えて生えていく。
身体が変わることに恐怖なんてない。
異形なんて、恐ろしくもない。
レッド様が肯定してくれるから。
ユニをきちんと見てくれるから。
だから、オークごときがミナイデモラエル?
見られたいのはあなたじゃない。
レッド様だけだから。
簡易ゴーレムを砕き飛ばし、ユニに手を伸ばしてくる。
その下品な顔に、長杖を叩き付ける。
「グガァ!?」
女の細腕だと油断した?
ユニの筋力は巨人種や獣人種よりも強いのよ?
怒りで叩き付けてくるハンマーをさっと避ける。
このショートブーツはレッド様とのお揃いなの。
速度は速くて、疾いのよ。
こちらを睨み付けてくるジェネラルの目に、ミゼリーとコルデーが突き刺さる。
セミオートで、刺したけれど、気付かなかったの?
<誘惑>に弱すぎるのね。
レッド様には、<誘惑>しても優しくされちゃうだけなのに。
肥えた豚は醜いわね。豚さんは綺麗好きで可愛いものよ? 本来はね。
さあ、連続で叩いて行くの。
お願いだから悦ばないでね。そんな趣味はないのだから。
バトルスタッフでもある<精神魔術師の長杖>を叩き付け、突き、殴り付ける。
レッド様の言う理はまだ無理ね。
レッド様のいた異世界の杖術って、スキルもないはずなのに恐ろしいわね。
どうして杖で、突いたら槍で、薙げば薙刀で、持ったら太刀なのかしら。
それに必中らしいし。
あらあら、遅いわよ。
それに地面に叩き付けて砂礫を飛ばしても無駄。
そんな戦術甘すぎるの。
<精神魔術>と<杖術>を合わせた、身体・精神同時攻撃。
おまけに<ドレイン>で、攻撃と回復の両立。
モード発動中なら、同時に使えるの。
あら? 警戒するのは手だけで良いの?
気配だけでなんとか捉えられるみたいだけど、ミゼリーとコルデーはずっと動いてるのよ。
それに、尻尾ビーム!
ハート型の尾先から、魔力砲だって出せるの。
尻尾に触っていいのも、レッド様だけなのよ?
ブーツだけじゃない。
ソックスで更に速くなれる。
当てずっぽうな攻撃は当たらないし、当たりそうになってもレースグローブと腕輪のコンボで防御できるの。
綺麗に仕立てられた服も、回避効果があるんだから。
前は邪魔にしか思ってなかった大きな胸。
今はレッド様が喜んでくれるし、レッド様の装備のお陰でとっても軽くて動きやすい。
どこ見てるの?
回復した目で見るのは、太ももなの?
蹴り技使ってるからって、エロい目で見ないで。
<誘惑>してても、見ていいのはレッド様だけなのは何度も伝えてるでしょう?
全力で動いても<首輪の赤>で呼吸補助されるから、息は切れにくい。
この首輪、レッド様と繋がってる感じがして大好きだわ。
<ハートの髪留め>で回復も出来るし。
さあ、詰めね。
<隠者の半仮面:複製・ユニ仕様>と<守護のフーデットローブ>で一瞬気配を無くし、<精神魔術>でデコイに誤認させる。
ハンマーで必殺を大振りしてしまい、大きな隙を晒す。
『ミゼリー、コルデー。お願いね』
アキレス腱をざっくり切り裂き。
前のめりに倒れた豚を踏みつけにする。
踏みつけたブーツと突きつけた短杖で<ドレイン>。
極力触りたくないわ。レッド様になら、たくさんたくさん触れたいけれど。
確か……ショートブーツの構成を改変。
ヒールを長く、尖らせる。
鎧の隙間は、ここね。
思い切り、突き刺していく。
「グギャアアア!」
悦ばないでくれる?
痛みを流し込み、命を吸っていく。
「ア゛! ギャッ! ギャッ!」
そろそろシニナサイナ。
とんだマゾ豚と言えど、糧にはなったのだから。
『ミゼリコルデ。慈悲さえ奪い、首を跳ねて』
あなたへの慈悲なんて、もう与えないわ。
経験値だけ、献上してちょうだい。
「ウガッ──」
ああ、気持ちの悪い死に顔。
早くレッド様に会いたいわ。
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モード解除。
「ふにゃー。つかれますねー。レッドしゃまにあいたいけど、まだたたかってるよねー」
「れっどーるたちー、ユニをまもってねー」
はにゃー。
かめんとろーぶで、おんみつしてよう。
あたまがまわらないよう。
でもかったから、レッドしゃまほめてくれるかなー。
えー、色々と、仕様です。
3チームの中で、危なげなく勝ったのはまさかのユニ女王でした。




