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第69話:縫製技術は高等技術である──思考加速及び伝達による擦り合わせ

2/11 23:37


ブックマーク100超え。


総PV50000超え。


とても有り難いことです。

あのあらすじを乗り越えて、読んでくださる読者様方。


これからもお付き合い頂けると幸いです。m(_ _)m

 

 14日目:火蜂の宿、客室



 ムズい。

 なんだこの設計思想と、工作難易度。

 女性用の下着って、こんなに技術使われてるのか……。


 一旦置いといて、俺の持ってる素材群を見直そう。

 仕立て直した服は着せているし。


 うーん。前世の姉はぶらじゃー着けてなかったし、必要なかったしな。

 うーん。うーん。

 母親は確か大きかった気もするが気に止めてないし。


 エル:掘り起こしますか?


 noで。

 妹という存在も居たが、どうだったか。

 確か一緒に連れていかれたような。

 男を下着店に連れていくべきではないと思うのです。

 ボディーガード役の兄に、どっちがいいと聞かれてもな。


 あの時は、店員と話すことでなんとかしたんだったか。

 その時の記憶も役立っている……だと……。やるじゃないの、前世のオレ。



「ユニ、これから朝御飯で人を呼ぶ。すまないが、この仮面を着けてくれないか」


「仮面? これは確か昨日着けていた……」


「そうだ。今のユニは、人に嫌われることはない。

 その代わり、可愛すぎて人目を引いてしまうんだ」


「ふぇっ!? ユニが、ですか?」


 うむ。可愛い。

 驚くと、連動して揺れるシステムが搭載されているのか。


「ああ、正直可愛すぎる。

 嫌われることなく、人の世を歩けるようになったのに、隠させて悪いとは思うけどな」


「そんなことありません! ユニは、レッド様に見ていただくのが、それだけが望みです!

 他の人間なんて、どうでもいいです!」


「そっ、そうか。その仮面は、俺の持っている仮面のレプリカでな。

 人に気づかれにくくなり、人目につかないマジックアイテムなんだ」


「わぁ、凄いアイテムなんですね。 (お揃い……!)


「だから、俺と二人きり以外のときは着けたままにしてほしい」


「はい! ユニの全てはレッド様のものです!

 このユニの顔も、レッド様に貰ったものです。

 レッド様に見ていただけるなら、それがいいです。

 ……これ、少し大きいようなんですけど」


「マジックアイテムだから、顔に合わせて変化するから、大丈夫だ」


「はい。わっ、くっついた」


 うむ。俺には隠蔽効かないけど、大分マシになるだろう。

 口元だけでも、可愛すぎるのだがな。



 客室備え付けのベルを鳴らし、丁稚が来る。


「失礼します。御用でしょうか」


「朝御飯を頼む。客室(ここ)で食べるから、オススメを、()()の分だけ頼む」


 手に硬貨を渡しつつ、こっそり、しかし相手には判るようにポケットに硬貨(チップ)を放り込む。


「畏まりました。食べれないもの、避けた方が良いものはございますか?」


 ユニに顔を向けるが、ないよね。

 そりゃー、奴隷生活してりゃね。


「大丈夫だ。今日のメニューをそのままで」


「畏まりました。お持ちいたします」


 動きの良くなった丁稚を見送り、食事を待つ。

 やはり、あのコンシェルジュはレベルが高いな。

 丁稚はまだまだだね。


 おっ、早いな。


 テーブルに並べ、丁稚は下がっていく。


「あの、レッド様。二人でこんなに食べられるでしょうか?」


「大丈夫だ。そもそも、余る位だけど、それでも良いんだ。

 後で、全部説明してやるからな?」


「はい!」


「じゃあ、まずは食べようか」


 ナイフとフォークの使い方も、<教導>と<念動力>で教えつつ、複数の思考を使い分け、服飾のアイデアやデータを纏めていく。


 俺個人でも並列思考は出来る。エルさんだけで事足りるけど。

 うっわ、本当にリソース食われるな。


 朝食だが、なかなかボリューミーなメニューを食べつつ、おっ上手い。

 蜂蜜が巧く使われてるな。

 パンにも、蜂蜜が良く合う。


「ごちそうさまでした」「でした?」


 俺に合わせて、手を合わせている。

 うむ。腕で潰れている。

 食べ終わると、テーブルに乗っている。一部だけ。

 楽なのだろう。


 食後に歯を磨く。やり方知らない?


 はい、お口あーん。

 特製歯ブラシに、軽く歯磨き粉をつける。

 これも、<錬金術>の特製品である。香料要り。

 食後すぐに磨いた方が良いらしいしな。


 ユニのちっちゃなお口に、歯ブラシを潜り込ませ、磨いていく。

 モニタリングしながら、綺麗に磨いていく。

 俺の口は魔術でささっと。

 虫歯菌に負けるような、やわな歯じゃないし。魔術も、むしろ効果高いし。


 上の歯を丹念に。下の歯を丁寧に。

 前歯を優しく。奥歯をコシコシと。


 ん? 歯磨きが気持ちいいの?

 あっ、<愛撫>スキルの効果か。

 しゃかしゃか磨いていき、はい、ぐちゅぐちゅぺー。

 歯磨き粉の効果を落とさないように、あまりゆすがないように。


「覚えた?」


「えーと、うーん。その」


「大丈夫。何度でも教えてやるかな」


 大丈夫大丈夫。あの姉に比べれば、余程早いだろうし。

 あの姉、なかなか自分でやろうとしなかったからな。

 結局、長いこと俺がやってたな。しかも途中から色々と注文つけてきたし。


 お口を拭い、一緒にベッドに座る。


 俺はあぐらで。

 ユニは俺の胴体をまたがるように乗っている。

 うむ。胸板でなにかが潰れている。流石は大質量。


「じゃあユニ、さっき言った通り、額を合わせて」


「はい、レッド様」


 ユニはしっかりと俺に抱きつき、落ちないように。

 俺は、ユニの頭と身体を支えるように。

 お互いの額を合わせる。


『聞こえるか、ユニ』


『はい! 聞こえます!』


 これから行うのは、情報の擦り合わせだ。


 俺が何をして来たのか。

 何を目的にしているのか。

 何故、ユニを選んだのか。

 何をしているのか。

 ユニの力はなんなのか。


 全てを、伝えていく。

 まだ会ってから1日も経っていない。

 それでも、この娘は信頼できるし、それで裏切られたのならそれまででしかない。


<レッドの腕輪>で、時間の加速を。

<思考技術>による、思考加速を。

 額を合わせることには、強い意味合いはないが、物理的距離が近い方が送受信が楽なのは確かだ。


 ユニに負担のかからない速度で、ユニの思考速度も同期して上げていく。

 時間を掛ければ可能だ。


 それに、現在世界に登録されている種族。これから登録されたらその都度更新される、全ての種族のメリットを発現する。

 それがユニだ。

 人間に分類される種族に限られるが、その中でも思考能力の高い種族は幾つかいる。


 ユニは気付いていなかったが、肉体(ハード)面だけでなく、精神(ソフト)面も強くなっているのだ。


 エルを知覚させつつ、神式情報ファイル送信で、データを送っていく。


 アウトにやったような無茶はしない。

 そもそも、アイツが耐えるとは予想外である。

 マンガ全巻セット送って良く壊れなかったな、とっちゃん。


 いっこいっこ、驚いてるユニ可愛い。ぷるぷる揺れてるし。


 しかし便利だなー。これ。

 かくかくしかじか、これこれこうこう。

 本来の意味とは違った感じで捉えられるけど、正しくこんな感じで送れる。


 反対に、<ドレイン>や、<精神魔術>を手解きしつつ、それらを教わる。

 むむ、なかなか難しいが、少しは習得できそうだ。

<サキュバスの因子>は、使えるようになるだけでなく、使いやすいようにサポート機能や、強化機能も含まれるようだな。


 色々と教えていき、魔物も使役していること。

 人類滅ぼしちゃうよ計画とかも、教えていく。


『ユニも頑張ります! 人間を根絶やしにしましょう!』


 ああうん。

 反対どころか、頑張るってよ。

 元々、災厄を起こすために、人類への恨み辛みはある。

 ただ、その吐き出し方を。吐き出していいのかも知らなかっただけだ。


 ユニをデザインしたやつも悪いが、ユニを災厄に至るように、石を投げつけたやつも悪い。

 結論、人類みな悪い。


 ユニの奥底には、人類への負の感情はある。


 それ以上に、俺への感情が強いのもまた、明白だ。可愛い。マジ可愛い。

 ネガイにもそれが表れている。


『レッド様ぁ。力が強いです』


『っとすまんすまん』


 可愛すぎてつい。

 むにゅむにゅしながら、同時にデータも取っておく。

 多角的なデータが必要だ。


 とりあえず、ユニにも、殺らせてみるか。

 ダメならダメでいい。

 そんな目的で、この娘を俺のものにした訳じゃない。


 ユニがユニである、それが大事なのだから。


『はい。ユニは頑張ります。

 レッド様のお力になれるのなら……ふにゃ』


 っと、ついつい抱き締めてしまうな。

 可愛すぎるのがいけない。

 やはり、俺の前以外では仮面を着けさせておかないといけないな。



 昼頃までかかりながら、お互いの情報交換を終える。

 エルさんが途中で呆れてた気もする。気がするだけだが。


 魔物たちとの面通しもした。

 とは言っても、メインの奴らだけだが。


 どこか親和性を感じるのか、良好な雰囲気だ。

 というかゴブリン達がユニを姫扱いである。

 大将()の大切な人だから。

 うむ。間違ってないな。合ってる。


 イチャイチャしすぎっス。羨ましいっス。とか念話してきたアホが居たので、紅血の間を更に地獄化させた訓練場に叩き込んだ。


 不思議だったのが、幸運肉食うさぎこと、フォルトゥーナさんである。


 ユニ側は可愛いです! だったのだが、フォルはめちゃくちゃ警戒してた。

 なんでなのか、モフりながら読み取ったところ。


 自分のポジション:撫でられ役を取られないか不安だったらしい。

 ふふふ、()いやつめ。

 全くもって誤解である。


 それぞれの良さがあるのだからな!


 全力の説得(<愛撫>スキル)により、不安が解消されたフォルは、ユニに抱えられるまでになった。

 基本的に、俺以外には触らせないが、俺の大切な人なら、ということらしい。


 俺が最優先順位。ユニは2番目に設定されたようだな。 (うさ頭に乗ってる。) (フォルトゥーナが) (めちゃくちゃ) (邪魔そうにしてるよ)


 あっ、何うさお手手で持ち上げてるの。

 なに、ユニもぬいぐるみみたいで可愛い?

 今度作ってあげよう。

 フォルトゥーナも、なに? 柔らかいけど、重い? そりゃね。



「それじゃ、一度出ようか。色々と済ませよう」


「はい! レッド様」


 幾つもやることあるしな。

 ユニには仮面を常時装備。

 フォルトゥーナは、フォルトゥーナ司令官になってもらい<幸運>を。


 きちんと、フラグには対処しないとな。


 エル、フラグは?


 エル:網羅済みです。


 よし、いざ出陣だ!






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