第68話:お風呂での洗い方を教え込む──そして生産へ
14日目:火蜂の宿、個人風呂
うむ。
パジャマがわりの元俺の服を脱がせ、風呂場に入れる。
俺も脱いで、風呂場へgo。
ふーむ。
新生したようなものだから、身体に傷はないな。
それでいい。身体に残った傷は、見る度に心の傷を抉ることもある。
これからの傷は、俺が治せば良いし、<サキュバスの因子>により、傷痕はほぼ残らないし。
新生したようなものだから、洗う必要がない気もするな。
とりあえず、最低限のことを教えるか。
石鹸を用意。
昨日使った石鹸とは別のもの。
<錬金術>を筆頭に、<工作><薬・毒剤生成><薬効強化>といった生産スキル。
<木属性魔術><魔力・魔術付与>により作り出した、効能の高い石鹸だ。
店売り品の中でも、より良いランク。
天然香料を使っていい匂いがするし、害になる成分を取り除いた良品だ。
昨日のは肌が弱かったり、傷がある人向けの弱めな石鹸。
今日のは、効果強めだ。
勿論、身体用、顔用、髪用、デリケート用。
泡立てるスポンジも、作ってみた。
本格的に生産に寄ってるな。
「どうだユニ」
「はい! 傷もありません。ちゃんと見えます。身体も、顔も、変な部分がなくて。
目も、両方同じ色」
「角や獣耳、目の色なんかは変えようと願えば変えられる。
その辺りは、ユニの好きにすればいい」
オッドアイってのは神秘的なもので、俺としては好きなものだが……。
異常である証しでもある。
地方によっては、吉兆に思われるなら良いが、凶兆に当てはまることが多いしな。
「レッド様は」
「うん? どうした?」
「レッド様は、どういうのが、お好きですか?」
うーん。
難しい質問だ。
「ユニのことが好きになった訳だからな。ユニの全てを好きになろうと思ってる」
「はわぁっ……」
「どんな容姿でも、俺は気に入るだろう」
「そっ、そうですか……。まずはこのままで過ごしたいと思います……」
身体をくねくねと揺らし始めた。
風呂場だから滑るぞ。あと別のところだけ揺れが違うぞ。
「んじゃ、少しずつ教えていくよ。
石鹸を泡立てて、身体を洗っていく。
あまり力を加えなくても良いからな。
まずは俺がユニの身体を洗ってやるから、後で俺の身体を洗って慣れてくれ」
「はい!」
少し顔が赤くなっているが、気にせずアワアワにしていく。
女の子の肌は、強く擦るのはいけないことぐらいは知っている。
特に垢の溜まりやすい部分を教えたり、手の届きにくいところを洗っていく。
そうそう、きちんと持ち上げてな?
垂れている訳じゃないが、大質量だから、蒸れそうだし。
あと足元見にくそうだしな。
教えたら、俺の身体を洗ってもらう。
「レッド様の背中、とても大きいです」
ユニに比べればね?
ユニは肩幅も狭いし、腰も細い。
その分、大質量がより大質量に見えるのだが。
──!
「ユニ、えー、今、なにで洗ってる?」
俺は洗体用タオルを渡したはずなんだが。
「……! えっと、こうした方が良いかなぁと。
ダメ、でしたか?」
「そのままで頼む!」
しょぼんとさせる前に、勢い良く頼む。
それはそれとして、気持ち良く洗われてるのは確かなのである。
全身を軽く洗い終え、頭も流し、温めておいたお風呂に入浴。
やはりユニを抱えつつ、浸かる。
カポーンは誰が考えたのだろう。
「気持ちいいですねー、レッド様ー」
「そうだなー」
ユニのちっちゃなお尻が俺に乗っかっている。
昨日より、明らかに肉がついている。
うむ。いい傾向だ。
サキュバス系の力も有るだろうが、健康的に育ってもらいたいものだ。
身長も伸びるだろうか?
エル:伸びないと想定されます。
伸びないの!?
エル:yes。個体名:ユニのネガイは、マスターの好むままでいること。そのため、より良いユニには育っても、マスターの呼称するロリ巨乳体型からは変化しないと想定できます。
マジですか……。
というかエルさんにロリ巨乳とか言わせてしまったでござる。
ござるってなんだ。
ユニがお風呂で気持ち良くゆらゆらして、大質量もゆらゆらしてるのを優しい目で愛でつつ、撫で撫で。
「ふひゃー」
ユニさんがたれユニ化してる。
というか、のぼせそうだな。
上がろう。
上がったら、ドライヤー魔術を使いつつ、水属性と<操髪術>で髪を整えていく。
やっぱりドライヤー魔術は必要ないのだが、異世界には必要な気がするので、使うのである。
ユニの白銀の髪は、短めだ。
多分、邪魔だからこの長さなのだろう。
俺としては、長いのも短いのも、拘りはない。
どちらも好みである。
テールも好みである。
ツインテールは究極になったり、文明だったりするし、ポニーテールは架け橋である。
ユニが良ければ、試してみよう。
サキュバスモードだと、髪の長さ変えられそうだしな。
髪の手入れも教えつつ、可愛く纏めあげる。
切る必要はないな。
よし、さらさらになった。
煌めくような白銀の髪。
大きな青緑の瞳。
大迫力の胸部装甲。
うん。人目に晒せねぇよこれ。可愛すぎる。
「?」
その災厄クラスの可愛さを分かっていないユニ可愛すぎる。
さて、服は、これだ……な?
──あっ、合わねぇ!?
「レッド様?」
女児用の服を頼んでおいたから、置いてはくれてるが。
そりゃそうだ。
ロリ巨乳体型用の既製服など、早々あるか!
ならばどうする。
俺が作ればいい!
……作るの?
どうやって?
──エル! 俺が前世から持っている記憶から服飾関係のデータを掘り起こしてくれ!
──エル:準備済みです。
流石はエルさん!
俺がテレビのバラエティーや、パラ読みしたファッション雑誌。
家庭科の授業や、ネットに載っていた情報。
果ては魔手で服を作ったり、大胸筋矯正サポーターを製作していた、人族かどうか不明な作品まで。
網羅したデータを、<工作>や<錬金術>に適応!
ユニの身体データは、視覚、聴覚、触覚。
魔力データから氣力データ。
魂の一欠片に至るまで、把握している!
スリーサイズだって、バッチリである!
そもそもこの世界には、下着縫製の技術が伝わっているしな。
異世界転移・転生者どもの中で、下着に並々ならぬ熱意を注いでいた奴が、時折洗われる。
現代知識チートとかを使っているようだ。
その辺の技術は、貴族王族が独占したり、高位冒険者達が使っていたり、マジックアイテムとなっていたりするようだ。
まずは、この既製服をユニの身体に合うように仕立て直そう。
ちゃっちゃっと。
「ユニ。まずはこの服を着ておいてくれ」
「はい。レッド様。わっ、可愛い服!」
「後で、俺が一から作ってやるからな」
「本当ですか! レッド様服作れるんですか!?」
ふふふ。
俺に不可能などないのだよ!
……
…………
………………ムズッ!?
女性用の下着って、どんだけ技術注ぎ込まれてんだ!?
レッド君は、服とかを作る漫画とかも読んでいたので、ある程度の知識もあったようです。
バラバラなデータを、エルさんが頑張って統合しました。
器用なレッド君ですが…………。
どうやら?




