表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
59/144

第58話:中々魔物が豊富になってきたぞ──交易都市は?

 

 11日目:交易都市ハラスラまでの草原地帯



 見通しが良いため、色々と見付かる。


 隠れていたコボルトを敢えて嗅覚攻めをやめる。

 解体めんどくさかったよ。そうくさかったの。


 なので、<風属性魔術><音響爆弾(サウンド・ボム)>で聴覚破壊。


 あれ? 気絶してる。

 雷を追加して、フラッシュバンにしたからかな。

 魔物なのに、軟弱だぞ?

 スタグレさんが実は非殺傷とは名ばかりの威力とはいえ。



 フォルトゥーナさんが、舵輪型投擲・殴打武器<ツェール>で倒れたコボルトに止めを刺す。


 新しく作ってみた、フォルトゥーナ専用武器だ。



<ツェール>


 ランク:レア

 スキル:<思念誘導><運命砕き>


 舵輪のような形をした、投擲・殴打武器。

 個体名:レッドが、個体名:フォルトゥーナの為だけに作り出したマジックアイテム。


 地属性魔術による鉱石と、木属性魔術による木材。

 そしてフォルトゥーナの体毛と生え代わりで抜けた角を用いて、錬金術により作成された。


 フォルトゥーナの魔力を用い<変異誘発>が仕事をして、スキルが付いた。



<思念誘導>はいい。

 これは俺が武器によく付ける奴だ。

 フォルトゥーナ由来の素材を使い、魔力も練り込んだので、<投擲>しても戻ってくる仕様だ。

 カーブも出来る。


 問題は<運命砕き>だ。

 マジかよ……。

 女神のいい感じの名前を付けた可愛いうさぎさんなので、それにちなんで武器を作ったらこれだぞ?


<運命砕き>


 舵輪がぶつかった相手の運命を砕き、不運にさせる。

 行動失敗率上昇。

 回避率ダウン。耐性ダウン。状態異常確率上昇。


 持ち主の不運な運命さえも、砕いて進む。



 相手へのバッドステータスは良いんだ。

 この能力は有用だ。


 だけど、自分の不運すら砕くって、凄いな。

 もしかして俺は、球体と靴と壺まで作らないといけないのだろうか。


 あっ、ちなみに舵輪の大きさはフォルトゥーナより少し大きいサイズだ。

 それを投擲する光景の不思議さよ……。


 使わないときは、俺が収納している。

 使うときは、フリスビーのようにフォルトゥーナに投げる。


 戦わなくても投げる。

 フォルトゥーナは楽しい。

 可愛いので俺も楽しい。



 くいしんぼ兎さんに連れられて、食材を集めつつ、食用の魔物も狩っていく。

 凄いよな、一度も引き返してない。

 ルートはきっちり交易都市ハラスラ方面だ。


 しかし、使える素材多いもんだなー。

 魔素なんてものがある世界だから、素材も更に多種多様だし。


 エル:壁の外は死に繋がる世界です。例え食用の素材を見付けても、持ち帰る量、換金時の金額等を鑑みるため、普遍的な素材は残りやすいものと思われます。


 俺みたいに便利なアイテムボックスなんて、流通どころか国宝だからなー。

 もっと簡易なアイテムボックスでも、数が少なく出回らないし。


 空間属性とか、収納スキル持ちも激レアさんだし。

 空間属性……欲しいなー。

 俺が出来るの<レッドカード>にくっついてる緊急転移位だし。

 解析かなり難しいからなー。


 エル:精進します。


 エルさんはめっちゃ頑張ってるよ。無理してない?


 エル:限界までは遠いです。まだ大丈夫です。


 うむ。無理する前に言えよ?


 エル:マスターの無理も非推奨です。


 はい! すみません!


『キュ!』


『すみません! じゃなかった。おっ、あれは』



 首を下に伸ばし、草を食んでいる。

 強靭な脚の筋肉。固そうな蹄。

 縦長な顔。


 馬面だ。


 というか馬だ。



【ステータス】

 個体名:───

 性別:男/女

 種族:グラスランド・ホース(馬種)

 レベル:21~50

 ランク:3



 草原の馬? 場所で変わるの?


 エル:森のフォレスト・ホース、砂漠のデザート・ホース等も確認されています。


 グラスランド、名前カッコいいよね。名前だけ。

 横に付いた目で、広い視野を持っている。

 草食動物出身だしな。


 数頭の群れ。リーダーの居ない、単なる集団か。


 6頭の頭上から、誘導加速させた<投擲>。

 広い視野の狭い死角。


 空から、音のしにくい誘導投剣を落とす。

 地上から魔術込みで全力<投擲>。

 最高点に到達してから、下向きに落ちていくのを、刻み込んだ術式とスキルで誘導。


 真っ直ぐ加速しながら落ちてきて、グラスランド・ホースの頭蓋に突き刺さる。


 ランク3や、人類のレベル50位までは、物理法則先生は強い。

 心臓を潰せば、首を絶ち切れば、眼球を穿ち脳を抉れば、生命力は刈り取れる。


 警戒させるまでもなく、ささっと馬たちを収納。

 これで、馬車フラグが立ったぞ!(厨二脳)


 ちなみに、ランク6や、レベル100を越えた辺りから、物理法則さんは勝てなくなる。


 やべー、首切られちゃったよ。一瞬で付け直して回復したから平気だけど。とか。

 心臓吹っ飛ばされたわー、全身の筋肉で血液回しながら戦って再生させたけど。とか。


 コイツら頭おかしい。 (そんなことを言う) (この俺は人外である)


 だが、頭おかしい奴等こそ、狙いだ。

 作戦たてて、地力を付けなければ。


「キュー(お腹すいた)」


「そろそろ昼だな。色んな肉あるし、食べ比べするか?」


「キュー!(わーい)」


 うむ。

 兎なのに、完全に肉食である。

 魔物の馬や牛も、肉と言うか、人食うしな。


 ストレスに弱いどころか、スピード出すの好きな兎さんだ。

 めっちゃ楽しみまくってるよこの子。



 ──────────



 フォルトゥーナのご要望通り、お肉の取り合わせ。

 生食出来る部分の取り合わせと、いい感じの焼き加減の取り合わせ。


 生食イケる?

 あっ、イケるんですか……。

 ちゃんと<回復魔術>と<料理>で、細菌処理はしとくけど、気を付けるんだよ?


 あっ、美味しい? それは良かった。

 こっちの大根モドキのすりおろしと、レモンモドキもかけてみろ。


 おいしかろー?


 あれ? 可愛い (人外の)女の子にご飯作ってもらう筈なのに、俺はうさぎさんにご飯作ってる?


「キュー?」


 可愛いから良いや。


 ほれほれ、果物の盛り合わせだぞー?


「キュ!」



 ──────────



<レッドの腕輪>内で猛特訓中の魔物たちにも、料理をたっぷりと送りつつ。

 フォルトゥーナの顔周りと、歯を磨いてやる。

 兎マークの入ったナイフとフォークを収納し、出発。


 昼食中も含めて、ゴブリンやコボルト。

 猪、馬、牛、兎、鳥を刈り取りながら進む。


 どうも、フォルトゥーナが<幸運>を無意識に使って食材を引き寄せてるみたいだ。

 それはそれで、素材も増えるし、リソースも増えるので良いこと尽くめ。


 高ランクとは遭遇しない、流石は幸運!?


『キュー!!!』


 あれは!


【ステータス】

 個体名:───

 性別:男

 種族:幸運兎(ラッキー・ラビット)(ラビット種)

 レベル:82

 ランク:1


 角のない、単なる魔物の兎!?

 ラッキー種だ!


『キュアー!』


 容赦なくやれと!


 よし、<投擲>!────外れた!?


 エル:相手の<幸運>によるものです。フォルトゥーナを<投擲>することを推奨します。


『フォル! お前を投げるぞ。ただし、肉質が悪くならないように、キックだ!』


『キュー!』


 気合いの入っている兎を狙う兎(フォルトゥーナ)を装備。

 逃げようとしている、野良幸運兎に、<投擲>!


 ラビット・キック!


 敵:兎の頸部に直撃! クリティカルヒット!


『流石だ! すぐに<解体>するからな!』


『キュゥゥウウウ!!!』


 幸運兎(じぶん)が美味しい種族であることを知っている兎さんである。


 今までよりも全力を以て<解体>する。


『フォルトゥーナ、これは、もっと良い設備の有るところで料理しよう。

 その方が上手いぞ』


『キュ? キュー……。キュ!』


『よしよし。これはお前の獲物だからな。このお肉はお前の好きにして良いぞ』


『キュウ!』


『おっ、みんなで食って良いのか? お前は優しいなー』


『キュー♡』


 くいしんぼ兎さんは、味にうるさいが、量には拘りのない、分け合う良い兎さんである。


 食材は兎だが……。



 兎さんを撫で撫でしながら、遠目に見えてきた。

 他の町とは明らかに規模の違う、都市。


 交易都市、ハラスラ。













 ────ここで俺は、出会うのだ────






 ────あの存在と────






















 エル:マスター、それはなんですか?


 フラグ立ててたの! シー!

 カッコつけたから恥ずかしいだろ!


『キュー(やれやれ)』


 あっ、フォルトゥーナまで!

 こうしてやる! こうしてやる!


『キュー♡♡♡』



保存しようとした瞬間、ロードが遅くなり、落ちてビビった。

保存されてて、良かった。マジで良かった。



ようやく、交易都市ハラスラに入ります。

今章の山場です。章立ててないですけど。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ