第57話:飛ばすと凄く展開が早い──とは限らない
本日4話目?
11日目:アーランの町:宿屋
いやー、面倒事が起こらないって、良いね!
門番をさらっとスルー。
今回は従魔連れてないからな。
怪しまれることなく、入町。
少し混んでいたギルドをすいすい抜けつつ、売る素材は売り、対価を受け取る。
また、依頼が残っていた素材も幾つか納品。
冒険者の擬態は止めることはない。
というか、冒険者は冒険者で楽しいので続けている。
面倒事も多いがな!
ゆるゆる、Cランク冒険者位には上げておこう。
今んとこEランク冒険者だ。
冒険者のギルドカードの縁取りは、青くラインが入っている。
きちんと改竄されたスキルが載っている。
必ず確認しているが、位置情報の発信等はないようだ。今のところ。
怠らないようにしよう。
その後、オススメの宿屋に寄り宿泊。
こっそり道でネズミ軍団を放ちつつ、シレッと歩いていく。
コツは堂々としていること。そう<工作>先生が言ってた。
朝起きたら、町の裏道などの情報が一杯更新されてた。
空からのデータも入っている。
何匹か、猫に倒されたようだが、支障はない。
むしろ猫を倒したようだ。
一匹の英雄君が、猫の口に入り込む自爆攻撃で倒した。
その猫の屍体と、英雄君の遺体は俺の元まで運ばれている。
猫は検体コースとして。
英雄君は、丁寧に氷付けにし、<レッドの腕輪>へと埋葬する。
またいつか、力になってもらう為に。(フラグ)
ネズミ達が見聞きした情報を精査し、また冒険者ギルド、町での会話なども拾い上げ考察。
ここ:アーランの町から、交易都市ハラスラまでは、平原だ。
主要な街道も、ハラスラからは多く繋がっている。
森と違って、こっそりしにくいため、警戒しながら行くとしよう。
そう、冒険者ギルド・資料室での、推理マンガ的閲覧法で情報収集。
昨日と合わせて、食料や調味料を補充していく。
酢を消耗してしまったからな。
醸造酢と、果実酢問わず買っていく。
俺個人としても作ってみたり。
リンゴのような果実を使ったり。
麹とかも買い、エル式顕微鏡と、エル式監視術で作成。
おかしい。<レッドの腕輪>の居住スペースは、魔物達の待機・訓練場所なのに。
お肉の熟成。お魚の養殖。
お酢等の発酵食品。
<料理>スキルめ!
いつも美味しく仕上げてくれてありがとう!
どういたしまして!
このままだと、トレントさんとかを改造して、美味しい木の実とか、樹液とか出す生産トレントにしそうだ。
面倒なこともなく、掘り出し物もないので、外に出る。
何時ものごとく、うさうさウサミミを揺らすフォルトゥーナさんをお供にしつつ、草原を進む。
草原と言っても、木は所々に有るし、背の高い草木も有る。
草の切れ間に、うさうさウサミミが揺れていたので苦無を打ち、仕留める。
苦無の紐を引っ張りつつ、<念動力>で回収。
俺の可愛いウサミミは、フォルトゥーナと仲間になったウサミミだけなのだよ。
そしてフォルトゥーナさんは美味しそうなものを見る目で獲物を、茶色い目に映す。
フォルさん、それでいいぜ!
美味しく仕上げて上げるからなー。
「キュ」
ん? 器用になったモフお手手の先には……。
エル:薬味として使える草類<ニタネ>です。
あっ、これ付けろと?
ハイハイ、<採取><採取>。
「キュキュ」
今度は、木だな。
おっ、木の実ついてる。
エル:レモンに近い果実<エノバ>です。食用、調理用に適します。
「キュキュー!」
「お次はなんだー?」
…………うし?
【ステータス】
個体名:───
性別:男
種族:ワイルド・カウ(牛種)
レベル:55
ランク:3
牛だね?
『食べたいの?』
『キュー!』
君<幸運>の力そっちに使ってない?
そんなにナイフとフォーク使えたの嬉しいの?
くいしんぼうさぎさんなの?
よかろう、俺も食いたいし。
ワイルド・カウか。
雄だけあって角つき。
ランク3上位で、その肉質は普通の牛よりも良い。
一部の農場では、テイマーがカウ牧場を経営している。
荒らしに来るゴブリンを蹴飛ばしてくれるほどの脚力を誇る。
野生種は狂暴だ。
……そもそもワイルドなのに畜産になんなよ!
エル:家畜種となり、ストック・キャトルという牛の魔物が確認されています。
キャトル? 確か……家畜じゃねぇか!
『キュキュキュッ!』
いや、君も野生じゃなくて愛玩動物化してるけどね?
とりあえず、フォルさん、GO!
『キュ!』
フォルトゥーナを軽く<投擲>。
投擲武器:兎は器用になった為、更に威力を増しているが、今回は挑発だ。
「キュッ、キュッ、キュッ!」
くるくる周り、丸しっぽを振りながら、挑発。
「 ンンンオオオオオ!!!!!」
モーじゃない!?
突進していく牛をひらりひらりと躱しつつ、所定の場所へ誘導。
まさかの闘牛うさぎさんである。
「オオッ!?」
「キュッキュー!」
落とし穴先生にハメて、地属性とワイヤーで縛る。
んで、太い動脈を<解体><料理>で<剣術>に補正をかけつつ、切り裂く。
<回復魔術>と<水属性魔術>で血液に干渉。
魔力抵抗を貫通し、血液の流れを加速。
血液と共に生命力が流れだし、屠殺と血抜き完了っと。
んー、ランク3だと相手にもならんな。
ランク4でも、互角以上に戦えそうだ。
あの盗賊団との戦いは効いてるなー。
でも油断せずに行こう。
「フォル、昼時になったら出してやるからな」
「キュウ♡」
よーしよし。可愛いぞ。
「キュ?」
ん?
幸運兎、エル、<超直感・観>が揃って異変を告げた。
地面から、微振動感知。
及び生命反応、地下を進んでるのを確認。
エル:もぐらです。
だよな。
かなり前のフラグを回収したな。
地・風属性で、近くの地面に干渉。
ドバン!
巨大土竜の不意討ち!
ミス!
空中に仕掛けられた<魔力機雷>が発動!
巨大土竜に大ダメージ!
うわぁ、単純。
レッドの追撃!
<投擲>!
投擲武器:フォルトゥーナ!
フォルトゥーナによる<スパイラル・ホーン>!
巨大土竜にクリティカルヒット!
巨大土竜を倒した!
うわぁ(その2)
相変わらずフォルトゥーナの<幸運>は凄いな。
狙った以上の破壊力が出ている。
きちんと考慮して使わないと。
<幸運>で悪い結果にはなりにくいけど。
もぐらを収納。
おっ、この爪、土への親和性高いな。使えるぞこれ。
あれれ?
魔物ばっかで町飛ばしたのに、進んでなくね?
幸運兎フォルトゥーナ。
更に属性が追加されていく。




