第52話:絶対に見付かってはならない異世界:イリガルド──見付かってもなんとかなる
本日ある意味3話目?
8日目:ミリロの町:渡り鳥の止り木亭、客室
「お食事をお持ちしました」
偽装用に、幸運兎と氷だけ出しておく。
止り木にツララを乗せ、フォルは俺の膝。
鍵を開け、中に入れる。
「お客さんのことは聞いてますので、安心してくださいね」
「どうもありがとう。これは取っておいてくれ」
「ありがとうございます。追加もすぐにお持ちしますね」
「よろしくね」
うむ。やはりチップとモフモフは重要だな。
そして味方につける話術。
食事を食べ、幾つかを収納しつつ。
ん?
エル:新しくスキルを獲得しています。
<変態機動:レベル:1>new
なにこれ!
変態……確かに変態的な成長の仕方はしてるけど、なんか納得したくない!
人外扱いは望むところだが、変態って……。
<変態機動>
特殊な移動方法に関する補正。
特に戦闘時、逃走時などの、非常時に強く補正が入る。
本人の移動だけでなく、生物への騎乗、乗り物の操縦時にも補正が入る。
役に立ちそう。
立ちそうなんだけど、変態……。
いや!
本来の意味は、動物や虫とか、植物の、生態が変わることだ!
変な意味に取る方がおかしいんだ!
自分を納得させつつ、作業に入る。
ツララとフォルを訓練に向かわせ、装備やアイテムを作成・点検していく。
そして、エルさんに睡眠時トライアルをより隠蔽させ、<レッドの腕輪>による時間加速を起動しつつ。
んじゃ、また明日!
──────────
9日目:ミリロの町
本日から、スキル詳細は出さないことにするよ?
ちゃんと見てるけど、ターニング毎に一括で出すから。
うん。良くある、最初は頻繁に出しているけど、徐々に頻度が落ちる現象のことだよ。
フォルとツララは宿に残し、冒険者ギルドで資料室を借り、変態的な閲覧方法で情報収集。
その後、時折<変態機動>しつつ、従魔用のケア商品を見繕い、買っていく。
<隠密>行動しながら、掘り出し物を探す。
おっ。
<膂力の腕輪>
ランク:レア
膂力を上昇させる。
膂力が育ちやすくなる。
値段の割りに、効果が高い。というかレア。
「おっちゃん、これを。それとこれとこれ」
「あいよ。こっちはどうだい?」
「んー。今回は止めておくよ」
他に、怪しまれないように安めの、そして役には立つアイテムを買い、即座に離れる。
露天にも良いのが有るな。
サンプルが増えるとより良いものが作れるから有り難い。
と言うか、いい加減諦めろし!
けっこう長いこと探されてる。
その為、綱渡りのように。
それぞれの作業を済ませねばならなかった。
<隠密・潜伏>にモリモリ熟練度が入ってくぜ……。
新しく創造した魔物達の目を通しつつ、観察する。気付かれように、さり気なく。
【ステータス】
個体名:───
年齢:0
性別:男/女
種族:マッド・ラット(鼠種)
レベル:1
ランク:1
【ステータス】
個体名:オーグチ、ダイロー
年齢:0
性別:男/女
種族:ビッグ・マウス(鼠種)
レベル:1
ランク:2
昨日、スラムに寄って、鼠を幾つか殺傷。
魔鳥達と同じように、色々弄くりつつ、出来たのがこの2種だ。
まぁ、ドブネズミだな。
何処にでもいるネズミ。
繁殖力特化で、町の情報を集めさせる係りだ。
俺が創造したので、比較的頭もいいし、魔素で活動できるので、食料事情も必要ない。
ビッグ・マウスは、少し大きなネズミで、口も少し大きい。
ラットよりかは、可愛らしい顔つきだ。
コイツらは、ラット軍の指揮役だ。
一応、名前も付けている。
鼠種は、これからも町では役に立つだろうから、<レッドの腕輪>内でも、ネズミ繁殖場を作っている。
従魔といより、使い魔だな。
幾つかギルドで購入した登録証は、何か情報送信機能が無いか調べてから、若干のアップデートを加えて、装備させている。
スキル持ちなら、登録証を先に買うこともできる。
悪用しにくいし、悪用したところで犯人は分かってしまうからな。
悪用しないようにね、と言われたので。
はい、と答えておいた。
当然だ、俺の正義に反するような扱いはしないとも。
ネズミ達は登録証はなし。
町に住んでる、厄介なネズミ扱いだ。
幾つかは、病原菌等のキャリアだ。
毒耐性だけでなく、病気耐性も上げられるな。
ふふふ。こっそり裏から、仕込んでおくのだ。
何とか宿に戻り、チェックアウト。
門まで裏道を通りつつ、到達。
さぁ! にげろー!
──────────
「ダメ、本当に見付からない」
「ミリロの町は、そこまで大きくない町なのに。全くスレ違いませんね」
「ふん。あの男も会いたくないんだろうよ! 謝罪はしたのだし、もう会わなくても良いのではないか?」
「私がきちんと謝罪した訳じゃないからね。きちんと、謝罪しないと。
じゃないと私が納得できないよ」
「ミスハ。どうも門を出たみたい。今聞いてきた」
「! いつの間に」
「なら、もういいのではないか? それに、ミスハならまた会えるかもしれないだろう?」
「そうね。珍しくジェスが良いことを言ったわ。
ミスハ、そろそろ私たちは、私たちの目的に移りましょう?」
「そうね……。また会えるかも、しれないし」
「おい。私に関して酷くないか?」
「ジェスだから、仕方ない。
みんな、この依頼はどう?
私たちの目的の1つ、ランクを上げることだけど、この依頼ならポイント稼げそう」
「ほう。迷宮都市までの依頼か!」
「これなら、あの地を通らずに済むコースだし、迷宮都市ならランクも上げやすいし、強くなりやすい」
「そうね。そろそろ迷宮都市に行くのも良いかもね。地力も付いてきたし」
「ミスハ、どうする?」
「……うん。そうしようか。
私は、私たちは強くならないといけないもの。
それに、認めさせる実績を作るのも、迷宮都市は良いしね」
「それじゃあこの依頼:迷宮都市ガザラエンに向かうコースの護衛を受託する」
「それでは、準備しましょうか」
これで、彼女達は一旦リタイアです。
確実に再会フラグが立ってますけどね。
レッド君は殆どゲーム感覚で逃げてました。
MAPに表示される、敵の行動進路。
それを意識しつつ、道なき道を作りながら、こっそり逃げる。
彼のゲームメイクにも生かされそうです。




