第42話:やはり人間だと効率が良い
本日3話目?
7日目:旧砦:元盗賊の根城
エル。
エル:おはようございますマスター。現在時刻は15:15です。
エル、俺を寝かせたな?
エル:肯定します。マスターの回復を最優先しました。
全く……。何か問題は?
エル:特にありません。ゴブリン隊が、残っている人間達を纏めています。そちらは薬により、まだ目覚めてはいません。
そうか。エル、俺を優先してくれるのはいいが、眠らせる前に一言くれよ?
エル:了。
さあて。
後処理と行こうか。
──────────
「シレイ、ゴブリン達、良くやったな」
「ハッ。有り難きお言葉」
畏まらなくていいと伝えつつ。
「それで、女も居るんだけど、男連中はどうする?」
ゴブリン達が、念話で話し合ってる。
っと、決まったか?
「<繁殖>相手というなら、俺たちは要りません。
俺たちの役割は戦うこと。
<繁殖>でしたら、<繁殖>用のゴブリンにお願いします」
えっ、君たちゴブリンなのに。
随分と高潔ですね。てっきり男は殺せ! 女は犯せ!
とか思ってたよ。
「そうか。じゃあ装備の更新を褒美としとこうか」
「俺たちとしては、当然のことをしたまでです。
装備を新調していただけるなら幸いです」
うわぁ、キシが特に騎士っぽい。
「うん。では、女子ゴブリン達は?」
またも話し合い、アナが代表となる。
「私たちも<繁殖>相手は要りません。
そもそも人間は嫌です。
武器であるなら有り難いです」
あれー、人間嫌なん?
ゴブリンはお互いに、人間が良いと聞いたのに。
確かにこいつら臭そうだけども。
「じゃあ、それぞれの武器・防具を新調しようか」
魔鳥達と、幸運うさぎさんは、ブラッシング希望。
ふふふ、ブラシを新調してやろう。
君たちの抜け毛を錬金術でブラシに形成する。
同じにおいのする道具だと、警戒心がなくなりリラックス出来ると聞いたしな。
「アウト、お前はどうだった?」
「オイラっスか? ひぃ!? えーと、シレイさん達の動きを見てましたっス。
オイラのパンチじゃ役に立たなそうだったんで。
一人だけ、股間に1発入れてやったっス!」
そんな睨まなくて良いから。
そんなとっちゃんが、僕は気に入ってます。
「おっ、動けたか。シレイ」
「ハッ。邪魔になることは有りませんでした」
役にも立ってなさそうな言い方だが、そこまで望んでないからな。まだ。
「うーん。アウトは武器装備出来ないしなー。
よし、お前には褒美として、特別訓練メニューだ!」
「ええ!? そんなの──ヒェッ。喜んでお受けしますっスよ!」
うんうん。
みんなどんだけ忠誠心高いのよ。
というか、特別訓練メニューって、なんだろう。
自分で言っておいてアレだが、考えておこう。
「よし。確か、ゴブリンって人間食べるっけ?」
「……食べますが、無理に摂取したいとは」
うーん。
じゃあ、死体は別のことに使おう。
というかコイツら、めちゃくちゃ高潔だな。
良い意味でゴブリンらしくない。
「よし。ではエルさんに教えて貰いつつ、解剖を実地で学んでおけ。
トウゾ、アナ、お前達は俺と来い。
周りに仕掛けた罠を回収がてら、色々教えてやる
では、行動開始!」
「ハッ」「キュー」
魔鳥達は、外を監視。
フォルトゥーナはエルさん監修の元、<幸運>のテスト。
俺とトウゾ、アナは旧砦の周りに出る。
結局使わなかった罠を回収。
危険な罠は解除し、起動はするが、何もダメージはないようにしておく。
情報係のアナと、盗賊役のトウゾには、罠に詳しくなっておいて欲しいからなー。
全部やる、というのは無理な話だ。
まずは使える武器となるものを極めさせる。
俺? 俺はほら、特別というか、異常なので。
罠の見分け方から始まり、解除の仕方を教えていく。
知能が高いとはいえ、すぐに覚えきるのは無理なもの。
何度も繰り返し教えていく。
当然だ。何度も教えて、上達させていく。
上司として基本だな。もう一人の上司さんもきっちり教えているらしいし。
その後、中から出れないように張った罠を回収したら、外から来る相手向けの罠を張っていく。
トウゾにも、簡易の罠を仕掛けさせつつ。
俺も物理的、魔法的、組み合わせた奴も張っていく。
「んじゃ、戻るぞ。
次は人間達の拷問の習得だ」
──────────
エル:色々カットします。
──────────
「よし、みんな大分学べたな?
だが、こんなことを出来るのは既に勝ちが決まってるときだ。
やるときは、必ず勝負を決めてからやること。
まずは自分達が死なない、傷付かないのが前提。
そして殺すことが先だ。
今回みたいに、生け捕りに出来たのは運が良かったからだ。
殺しが前提で良いんだからな」
うんうん。みんな分かってくれているな。
大切なのは、お前達であって、情報は後からでも手に入る。
生け捕りにするに越したことはないが、大切なことは履き違えないこと。
というか、<幸運>先生が働いたのかな?
宴してたなんて。
夕方になったので、食事の準備。
ゴブリンの中でも、器用な奴等に下拵えを手伝わせつつ。
不器用な奴等には、出来ることをさせる。
とっちゃんことアウトには、正拳突きをさせておく。
料理をさせてたまるかー!
「みんな、頂きます! 遠慮せずに食えよ。俺はあっちで食うからな」
遠慮せずに、なんて言っても無理だからな。
あえて<レッドの腕輪>には入れず、皆で食事してるが、遠慮しちゃうので、モフ5羽と、とっちゃんを引っ張ってくる。
「お前は訓練込みだ。特別メニューだぞ?」
「ひーん! 嬉しくないっス! でも美味しいっス!」
ついでに、全員のステータス確認。
おお! やはり人殺しは経験値の入りが良いな!
昼の時点で、レベル20→21と壁を超えたばかりなのに。
もうレベル51超えてるじゃないか!
魔物の方が、人間より成長が早く、壁も低いとは言うが。
これは凄いな!
魔鳥達は流石にレベル40の壁を超えた程度か。
仕方ない。殺してたのは主にゴブリンだからな。
幸運うさぎさんは、うわっ!?
レベル62!?
<幸運>やべぇな。この子必要経験値多いはずなんだけど。
なして壁を超えまくるのか。
「キュー?」
可愛いから良し!
エル:<幸運>によるものです。経験値を稼ぎやすい方向に行きやすく、経験値を稼ぎやすい行動を取りやすいようです。これはマスターによる影響でも有ります。
あっ、<幸運>先生だけじゃなく、俺もなのね。
こっちは、えー。
「? なんスか?」
「アウト君、アウト! メニュー倍!」
「なんでっスか!?」
レベル35か。
やはりコイツは遅いな。ただスキルは獲得している。
<殴拳>
そのまんまやん。
他の奴のスキルのうち、俺が覚えてないものが幾つか有る。
教えてもら────
「マホ!」
「ハイ! 何でしょう!?」
「っと、すまん驚かせたな。
マホ、君は<水属性魔術>を獲得している」
「本当ですか!」
魔物は、成長によってスキルを獲得することがある。
それは、ランクアップによる昇華だけではなく、本人の素質もだ。
魔術系の素質が有るのは分かってたが、俺の持ってない属性なのは有り難い!
「それを俺に教えてくれ。水はまだ覚えていないんだ。
それに水属性が有れば、この砦の血を洗えるし、便利になる」
「勿論です! 私はお役に立てましたか!?」
「ああ! 立っているとも!」
水かー。
水は人体にも関わるからなー。
また、ナイスな覚え方だ。
「それと<風属性魔術>もだ。こちらは俺が幾つか教えるからな。
他のみんなも、スキルの更新を伝えるから、飯の間楽しみにしておけ!」
「ハッ!」
「オイラも何かあったっスか?」
「ああ、グーパンチだ」
「そのまんま!?」
───────────
後日、リエーナの町にて。
「いやはや、まさかランク5が複数とは」
「僕たちが行って良かったね。Dランクなら危険だったよ」
「なんであんな上位種が固まってたんだか」
「ロンドの技には感謝だね。一気に燃やしてくれたし」
「俺に被害来たがなぁ!? なぜ俺に被弾する!」
「おい! みんな! 聞いてくれよ!」
「鑑定が終わったのかい? どうも良いことがあったみたいだね、ロンド」
「おう! 伸び悩んでた<氣炎術>が上がったぜ!」
「中々上がらないと言っていたものか。良かったな、ロンド」
「それだけじゃねぇ! 技もあったんだ!」
「おっ、マジかよ! もしかしてアレか!」
「そうだ! <氣炎・大瀑斧>だ」
「レッド君の名前通りだね。彼には感謝しないと」
「ああ、でもそれだけじゃねぇ! 2つ有ったんだ!
<氣炎・大瀑斧:壱式>ってのと<氣炎・大瀑斧:弐式>ってのだ!」
「2つ? もしかして、回転するのと、切り返すの2つ?」
「それはわかんねぇ! 試しに行こうぜ!」
「そうだなぁ、良い依頼が有ると良いな。つーか俺もレッドになんかアイデア聞いとくべきだったか」
「あれ? リロも恋愛指南聞いてたよね?」
「そっちじゃねぇよ! 技名だよ!」
「ごめんごめん、そうだよね」
「おい! 早く行こうぜ!」
「では行くとしようかみんな。騒がしくて済まなかったね」
「いえ、またのお越しをお待ちしております」
<氣炎・大瀑斧:壱式>
前方直線10マスに炎・氣ダメージ。距離と威力は反比例。
<氣炎・大瀑斧:弐式>
甲:前方斜め含めて、3×3=9マスに炎・氣ダメージ。距離と威力は反比例。
乙:自らの周囲8マス、及び16マスに炎・氣ダメージ。距離と威力は反比例。
距離は壱式。範囲は弐式。威力は弐式:甲、広範囲は弐式:乙
デメリットとして、弐式は確率で、ダウン:目を回す、1ターン行動不能になる。
フレンドリーファイア上等。
時折、炎が変な方向に飛んでいく。
将来獲得スキル技
<氣炎・大瀑斧:参式>
<氣炎・大瀑斧:零式>
ゴブリン達は、その知能の高さ故に、武人気質のようです。
もっと、殺せ!犯せ! 的なゴブリンは、後々配下にします。
知能が低い=普通のゴブリンの場合ですね。




