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第38話:いやそこまで考えて付けた訳ではないよ?

本日4話目?

 

 実時間は7日目:リエーナの町近辺:森の中



 視点:ゴブリン隊:シレイ



 俺はゴブリンである。

 創造主である大将:レッド様に、シレイという素晴らしき名を与えられ、ゴブリン隊をまとめ指揮するという役割を預かったゴブリンである。


 俺たちは、大将に知能を高く創られたので、様々なことを理解できるらしい。

 大将の大切な存在である、エル様に色々な知識を頂き、学んでいる。


 生を受けてから、日は経っていないが、俺たちが住めるように整えてくれたスペースと、紅の部屋と名付けられた訓練施設が、俺たちの居場所だ。


 特殊なモンスターである俺たちは、食事の必要はないが、食事を与えてくれるし、武器も新しいものをくれる。


 名前も頂き、すばらしい創造主だと、紅の部屋で訓練する中、日々忠誠心を培っていく。


 紅の部屋で訓練し、仲間たちも大半がレベル20の壁にあたり、幾つかのスキルを得た頃。


「みんな、大将が御呼びだ。準備しろ」


 また、お会いできる!

 最初に創造されて以来、訓練の日々、お役にたてる!


 森の中に呼び出された、俺たち9体。

 大将の目となる、ネームドの魔鳥達が、大将の周りを飛んでいる。


 おお! なんという覇気と雰囲気か!


 素晴らしきご尊顔を見られないのは残念だが、跪くことこそ、忠誠の表れ。

 俺たちは、知能を高められ、エル様に教育して頂いた選ばれたゴブリン。

 決して、不敬を働いてはならぬ。


「全員、立て。めんどいし。

 これからは、重要な時以外フランクでいいぞ」


 おお! 大将のお姿を目に入れることが出来る!

 だが、間違ってはいけない。

 敬意を払うことは、決して止めてはならない。

 俺たちの創造主たる大将:レッド様、エル様、そして大将の盟友たる、名もなき神に忠誠と信仰を捧げつつ。


 俺たちに命が下った!


「ハッ」


 声を抑えつつ、命令を受領する。

 本来のゴブリンであれば、ゴブリン語と呼ばれる言語を用いるが、俺たちはきちんとニホンゴと呼ばれる言語を用いることが出来る。

 創造主がそうあれと望み、エル様に教育して頂いた結果だ。


 ゴブリン語も扱えるため、作戦次第では使うだろうが。



 まずは、移動しよう。

 斥候の役割を持つ、トウゾに先導してもらい。


 軍師の役割を持つ、アナと相談しながら、道を進める。


 隊列を組みながら、進む。

 俺たちはまだまだ弱い。

 大将の命通り、無茶は決してしてはならない。

 その上で、より良い結果を出すのだ。


 それぞれの特性を把握しつつ、リーダーとして役割を持つ俺はみんなに命令を出す。


『まずはこの辺りの薬草を採取する。採取セットを用意。

 トウゾは警戒だ。採取の腕よりも警戒を取ってくれ。

 同じく、ユミも警戒だ。

 アナ、薬草採取の指示を』


 ただし、声は出さない。

 俺たちは、大将の力で念話が出来る。

 念話の相手は、大将の配下達だ。

 動物型の魔物達も、知能が高いため、言葉ではない部分でコミュニケーションが取れる。


 また、大将とも念話は出来るが、基本的に止められている。

 まずはエル様に伺いを出す。

 出さなくてもエル様は知覚しているが、必要なことだ。

 大将に念話して良いのは、許可された時と緊急時のみ。


『シレイ、この一帯の薬草は取れた。

 移動しよう』


『よし。トウゾ、次はどの方向だ』


『こっちだぜシレイ。それと、(ホムラ)達から、こっちの方は冒険者の影あり。避けていこうぜ』


『私も同意。疲れない程度に早く行きましょう』


 うむ。動くとしよう。



『! ニードル・ラビットだ。シレイ、どうする?』


『アナ、お前の見解は?』


『相手は1羽。周辺に邪魔なし。挑むことを進める』


 うむ、魔鳥達からの情報も問題なし。

 ただ、エル様にも確認を取っておく。


 エル:許諾。


『総員、戦闘態勢に移れ。事前案の4だ』


 ゴブリン隊の初戦闘だ。


『<レッドカード>によるステータス低下を忘れるなよ!

 全員、支給されたポーションを用いて強化!』


『了解!』



『総員所定位置についた』


『よし、まだ気付かれた様子はない。

 初手はユミの矢。

 そしてマホの魔術と、トウゾの投擲。


 その後は、トウゾは警戒。センシ、キシ、ソウシが攻撃。

 ホリィ、マホ、は温存。

 ユミはアナを護衛しつつ、逃げないように機先を制せ。

 俺は中衛で行く』


<指揮>スキルで、全員の動きが微補正される。

 マホ達はまだ支援魔術を使えない。

 俺たちも覚えられる者は覚えておかないとな。


『シッ!』


『<魔力弾(マジック・ボール)>』『<投擲>だ!』


 よし、矢が当たった。

 投擲の石も当たったが、速度の遅い魔力弾は外れたか。


『前衛、行け!

 さっき言った通り、素材は気にせず、一気に行け!

 角に警戒しろよ!』


『<挑発>俺に来い!』『<斧術><強撃>!』


 キシが<盾術>でヘイトを集める。

 最も防御力の高いキシに攻撃を集中させたい。

 センシが<斧術>のより強い攻撃を放つ。


 ソウシは長柄の槍のため、機を伺う。


『<突進>が来る!』


 アナの予測だ。


『<盾術><防壁>!』


 キシの、少しの時間だけ防御力を跳ね上げる技だ。


「ブッー!」


 ニードル・ラビットの突進!

 よし! 上手く盾でいなせた!


『<槍術><突撃>!』


 ソウシの槍が直撃した!


『ホリィはキシの回復!

 武器持ちは攻め込むぞ!』


『<強撃>!』『<強打>!』『<突撃>!』


 センシ、俺、ソウシで追撃。


 どうだ!


『……死亡確認』


『トウゾ、警戒!』


『今んとこ大丈夫だ。俺が見とくから回復しといた方がいいぜ』


『よし、みんな休憩だ』



 そして、全員で反省会をする。


 ここでこの技は必要だったか?

 ここの連携はこちらの方が良いのではないか。

<レッドカード>によるステータスダウンが大きい。もっと気を付けるべき。

 等々。


 キシも<突進>での角は避けたが、ダメージは有ったし、センシもダメージが有る。

 どちらも、ホリィの<回復魔術>で治るとはいえ、傷付かないに越したことはない。


『みんな、休憩はいいな? ニードル・ラビットを持って、進むぞ』


 武器の消耗も大丈夫だ。

 ふーむ、荷物持ちや、鍛冶師などの担当も欲しい。

 今度、エル様に掛け合ってみよう。


『鳥を発見。(ツララ)が追い込んでる。ユミ、トウゾ』


『トウゾはそのまま警戒、ユミ』


『行ける。 矢玉もまだある』


『ならば機を見ていけ!』


『…………シッ!』


『……命中』


『あっちだ! 警戒しつつ行くぜ!』


 ふむ、まだまだこの辺りは魔物が弱い地域と聞いているし、鳥が多いとは聞いたが、いいペースだ。


 だが油断せぬように進めなければ。


 俺たちはまだまだ弱者なのだから。


狂信者染みた、ゴブリン隊のまとめ役、シレイですが、忠誠心は創造されたもの達はデフォルトで持っています。


ただ、せんの……、教育したエルさんが大体の犯人です。

エルさんはレッド君至上主義のようです。

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