第37話:思う存分モフる──ただし、丁寧にだ
本日3話目?
モフ? ̄(=∵=) ̄
7日目:未だに森の小さな切れ間
さぁ、最後の2体の召喚だ。
実は、魔物の創造なのだが、詳しく設定する。
ある程度のプロットで創造する。
そのまま創造する。
そして、自由設定のまま、運に任せて創造するパターンも有るのだ。
そう、賢明なる読者諸君なら分かるだろう。
ガチャだ!
箱庭ゲームに付いている、ガチャ要素なのだ。
ガチャの意味は有るのか?
有る。
1つ。
リソースを10としよう。
そうすると、5~15位の総合力を持ったモンスターが出来上がる。
つまり、運が良ければより強いのが生まれるのだ。
2つ。
レアものだ。
俺が創造できるのは、殺害・理解した魔物のみ。
しかし、これを使うと、違うのが生まれる可能性が有る。
魔鳥も、似たような感じで作れた。
これは、創造する可能性の幅を広げることで、生まれる魔物の多様性を広げる。
これは、俺自身の経験にも左右されるし、今までの創造経験にもよる。
そして、残りの召喚した2体がこちら。
【ステータス】
個体名:フォルトゥーナ(愛称:フォル)
年齢:0
性別:女
種族:ニードル・ラッキー・ラビット(ラビット系幸運種)
レベル:20
ランク:2
ノーマルスキル
<突進:レベル:1>
<幸運:レベル:MAX>
【ステータス】
個体名:アウト
年齢:0
性別:男
種族:ゴブリン
レベル:5
ランク:2
ノーマルスキル
なし
ではそれぞれ解説していこう。
まず、うさぎさんですね。
ええ、モフモフ枠です。
モッコモコです。
足をたたむと、まん丸になる。
お目目はぱっちりブラウン。
お毛毛はふんわりホワイト。
目元がちゃんと見えるタイプで、耳は長い。
脚にはかなりの筋肉が付いていて、前足:手は以外と器用なようだ。
言うまでもない。
ニードル・ラビットの亜種。
それも激レアのレア、排出率極低、運営表出ろ! レベルのレアだ。
あれか? ビギナーズラックと言うやつか?
それはそれとしてモコモコでモフモフなので良い。それに。
ニードル・ラッキー・ラビット
ラビット種のニードル・ラビットの亜種。
種族スキルとして<幸運>を持つ代わりに、<発情>がなく、繁殖力が低い。
ステータスは、ニードル・ラビット:原種よりもかなり低いが、速力は上である。
特に、その<幸運>により、回避力や隠蔽力はすさまじいの一言。
生まれる可能性も極めて低く、また同種による生殖での繁栄も期待できない為、野生での遭遇率は極めて低い。
それを仕留めることも、極めて難しいだろう。
その代わり、その肉質や、羽毛の質は原種よりもかなり良い。
誰が食うかばかものめ! モフってなんぼじゃ!
原種よりも弱い。角もそこまで鋭くないし。
だが、モフモフなんだぞ!
しかも、俺にめっちゃ懐くんだぞ!
創造主特権も有るが、個人的には撫でテクと、甘い果実:苺もどきを与えたからだと思っている。
ほーれほれここがええのんかー。
原種よりも、知能も高いらしく、まず捕まらないレアうさぎ。
既に<人間ヲ嫌ウ者>で隠蔽済み。
モフいうさぎ扱いにしてある。
誰にも渡してなるものか!
フフフ、貴様の弱いところは分かっている。
ふはははは、ここだなおまえー、可愛いなー!
ぷーぷー鳴いている。
ふふふ、貴様がうさぎにも関わらず、声帯はしっかりしていることなど既に把握済みよ!
ほぅれそこだ! 角の根本が気持ちいいのだろう!
うりうりうりうりーー!!!!!
──────────
さて、暴走を続ける思考の一角を放っておいて、最後の1体に行こう。
実は、最後に創造したのは幸運うさぎのフォルで、色々全部突っ込んで生まれた、当たり個体だ。
だが、こちらは、一般的にはかなりの外れ個体と言えるだろう。
何故なら、
このゴブリン:アウトのとっちゃんは、何も出来ない。
スキルは、まさかの何もない。種族スキルもなく、獲得もしていない。
レベルも、他が20なのに、未だに5。
他が早すぎるという意見もあるが、コイツは遅すぎる。
そして、本当に出来ることがない。
現在、俺が持っている武器類もダメ。
<念動力>で教え込んでも、さっぱりと覚えられない。
体術もダメだ。動きが悪すぎる。
なら、単純なステータスは?
めっちゃ低い。
そもそも、矮躯なゴブリンの中でも、更に小柄。
力も速度もなく。
特別な技術もなく、身に付けられる訳でもない。
知能こそ、普通のゴブリンよりもかなり高い。これは俺の影響だが、にも拘らず何も出来ない。
蹴りすら、まともに放てないのだ。
投げることも満足に行かない。
ようやく出来るのは、グーパンチ。
拳を握って、殴りかかる。これだけ。
しかも、出来たといっても、他に比べれば、だ。
その唯一の武器たるグーパンチ。
ゴブリン達の中でも、最も格闘戦の弱い、アナやマホにも、グーパンチで敵わない。
平均よりやや劣る。そんなグーパンチ。
グーパンチ以外は、平手打ちも上手くいかず、あくまでもグーパンチのみ。
それ故に、俺はアウトと名付けた。
そう。
こいつは。
──とてつもなく面白くなると──
ゲーム脳で何が悪い。
この、日常生活以外は、本当に何も出来ない。
まともにできるグーパンチですら、落第。
リセット確実な雑魚の中の雑魚。
ああ、楽しみだ。
とてもとても楽しみだ。
こいつを育て上げれば、どこまで育っていくのだろうか!
「そんなわけでとっちゃん」
「はい!? オッ、オイラは何をすればいいっスか!?」
あと気に入ったのは、オイラっスであることも否定できない。
他のゴブリンに、更に輪をかけてコミカルな見た目だからな。
「これから、俺はこの森を探索する。
とっちゃん、お前と、俺の頭に乗っているフォルトゥーナは俺と共に行く。
お前達はまだまだ弱い。たとえ、<レッドカード>があってもまともな経験を積めない。
だから、俺と一緒に経験を積んでもらうぞ」
「ぷー」
「はっ、はいっス! 親分!」
親分て、ゴブリンは大将とか呼んでるし、まぁいいか。
「とっちゃん、俺のことはアニキと呼べ!」
「へっ!? アッ、アニキって呼んで、いいんスか?」
「俺が許可……命令する!」
「へい! アニキ!」
あれ、更に下っぱ度合いが上がったな。
その代わり、いい味が出そうだな。
──エル:盗賊の根城を確認しました。
──よし、情報収集だ。下手に刺激せず、上手く殺りたいな。
──エル:了。
よしよし、このまま進めば良さそうだな。
この根城を、今日の野営地とするか。
今度は燃やさないようにしないとな?
「アッ、アニキなんか怖いっスよ?」
「そうか? 頭にうさぎ乗ってるし、怖いというか変だと思うんだが」
「えー、どう言えばいいんスかねぇ」
「ぷー」
おっ、薬草だ。
レッド、暴走
レッド君は、雑魚中の残念を大変お気に入りのようです。
彼の今後をお祈りいたします。
「何をっスか!?」




