第35話:1人旅、開始──厳密にはかなり違う
7日目:リエーナの町:冒険者ギルド、資料室
さて、朝のスキル確認を済ませ、朝食諸々こみこみを買い込み、冒険者ギルドに。
ここで<斬破>パーティーと遭遇したのだが。
「ようレッド。依頼探しに来たのか?」
「ロンドさんおはようございます。依頼と情報収集です。
今日の昼前辺りにリエーナを出ようかと」
「やっぱ行っちまうのかー。……俺たちは依頼だ。それも、中々に緊急のな」
ほっ、良かった。これなら準レギュラーで済む。
レギュラーキャラクターは、もっといい感じの女の子で頼みたい。
「昨日、レッド君に、もぐらの魔物の話をしたよね? それの上位種や亜種が出たみたいなんだ」
「ランク5だと、Dランクでも行けるっちゃ行けるんだが、もぐら共はめんどくさい相手だからな。
慣れてて、トレインの居る俺達が適任って奴だ」
「そんなわけで、すぐに出発なんだ。村に被害が出てるみたい。
トレインとリロは、今準備中だよ」
それで二人しか居なかったのか。
「そうですか……、気を付けて下さいね」
「おう! なーに、お前が名付けてくれた技も有るし、ちゃんと警戒してるさ。
奴らは油断していい相手じゃないからな」
「ありがとね。それじゃあそろそろ行くとすると。君も頑張ってね」
「はい。お二人にもよろしくお願いします」
手を振りながら、ギルドを出ていく。
大丈夫かね? フラグ立ってた気がするけど。
さて。
「すみません。資料室を利用したいのですが」
「分かりました。ルールはご存知ですか?」
「大丈夫です」
リエーナの町の資料も確認しておく。
複数の情報を調べ、統合し、比較検討する。
必要なことだが、エルさんが居るから出来ることでもある。
俺も出来ないことはないが、大変だしな。
資料室は、俺以外に居ない。
気配もなく、魔力等と検知するアイテムもなし。
やるか。
<念動力>起動。
<思考技術><感覚強化><速読>により、資料の閲覧速度上昇。
<極限集中>により、それらの補正を強化。
<平衡感覚>で、丁度良い相対位置に固定。
一連の行為を、<隠密・潜伏><工作>により秘匿化。
そして。
──エル。
──エル:閲覧開始します。
綴られた紙、本。纏められた情報。
それらを一括で読み進めて行く。
<身体特殊構成:レベル:1>により、これまで以上にスキルの効果を発揮できるようになった。
今までは、並列思考出来ても、意識の焦点を分割したところで、視覚の焦点はあくまで1つ。
エルの補正と、思考加速で順番に見ていく、という感じだった。
だが今では、視覚における意識の焦点を複数合わせられる。
<身体特殊構成>、これヤバいな。
─────────
<速読:レベル:4→8>に上昇。
「あれ? もう良いんですか?」
「はい。欲しい情報は読めましたので。元々、読みたいものは決めていたので、時間はそれほどかからなかったようです」
「そうですか。それは良かったです」
ふう、誰も入ってこなくて良かったぜ。
実際には数分だったけど。
いい訓練にもなった。
時間潰しと、<速読>のレベル上げも兼ねて、数十分居たけどな。
次は、鑑定協会だ。
鑑定用の魔法紙は、複数回使えるが、日付も入るからなー。
また買わないと。
──────────
「有り難うございました」
「またのお越しをお待ちしております」
よし、いい感じに設定できた。
新しく偽装用のスキルを設定したが。
特に設定したかったのは、<魔物使役>というスキル。
これは収集した情報の中で、最も今、設定しやすいスキルだった。
必要だからな。これからのために。
よしよし。時間はまだ昼にもなってない。
色々と買い込んで、出発だ。
近くの街道を外れて、森へ行こう。
リエーナの町からは、幾つかの町を経由して、交易都市ハラスラに行ける。
まぁ、ショートカットだな。
──────────
門を抜け、街道を逸れ、そこそこの森。
近辺に冒険者、魔物の気配はなし。
否、4匹の鳥型魔物の気配あり。
俺に向かって飛んできて、その嘴は俺をつつく!
「おいおい、甘えるのはいいが少し痛いぞ?」
まぁ、使役・支配してるんですけどね?
ミソロジースキル<とある神与の迷宮創造>
これは、ダンジョン関連、及びモンスター関連のスキルだ。
今は、成長力にリソースの全てをぶっこんだため、ダンジョン関連の能力は、まるで発揮できない。
使えるのは、<レッドの腕輪>と関連したものだけ。
だが、モンスター関連は、今までは色々と殺してきたため、幾つか支配できるようになった。
ダンジョン、モンスターには、分かりやすく表現するなら、DP:ダンジョンポイントが必要になる。
俺が何かを殺すこと、屍体などを取り込むこと、生命力・体力・魔力・氣力を注ぐこと、魔素を吸収すること。
その他諸々で、DP獲得。
獲得したポイントで頑張ろうぜ!
そういうことだ。箱庭ゲームに近いかな?
今まで得た情報と、ポイントで、<レッドの腕輪>に固有空間・近似迷宮を作成。
これをしないと、モンスターを呼び出せないのだ。
そして、残りのポイントで、モンスターを作り出す。
作り出すために、情報が必要なのだ。
そこで、俺は気付く。
魔物ではない、鳥も支配対象だと。ついでに鹿。
鳥による、高空情報や、移動速度は魅力的だ。
そこで、鳥を作り出そうとして、またもや気付く。
設定が弄れるのだ!
鳥という存在の持つ、リソースをある程度自由に振り分け可能。
しかも、追加で魔力や魔素とかぶちこんだら、こうなった。
【ステータス】
個体名:───
年齢:───
性別:───
種族:魔鳥(鳥種)
レベル:1
ランク:2
種族、雑! 大きさは中くらいの鳥だ。
ランクこそ2だが、ランク2最下位の力しかない。
だが、色々と使える鳥だ。
育てれば、使えるようになるだろう。
スキルは少ないが。
【魔鳥・スキル】
ノーマルスキル
<鳥眼>
俯瞰・鳥瞰能力への補正。
人間よりも、可視範囲が広く、焦点距離も長い。
個体名:レッドにより創造された<魔鳥>に限り、夜盲ではなくなり、視覚への保護が成される。
<嘴・爪強化>
嘴と爪の強化。攻撃力や耐久力、保持力に補正。
個体名:レッドの知識により、補正値上昇。
<連携>
同種との連携強化。
個体名:レッドの創造した魔物との連携も強化される。
レッドとの連携はより強い補正が入る。
持っているスキルは、種族スキルだけだ。
成長以前の問題だからな。
追加コストで増やせるけど。
そのスキルにしても、なんか強化されてるよね?
とりあえず、魔鳥は、16羽創造した。
うち、12羽は、普通に創造する。
4羽で1編隊を編成、3編隊を各地に飛ばす。
魔鳥が居てもおかしくない地域に派遣し、データ収集。
及び、数増やし。増やせたらいいな。
そして、4羽は俺がかなり設定を弄くった。
まず、知能・賢さ系に、割り振れるリソースを極振り。
残りを成長力に極振り。
加えて、個体名を付ける。
名前を付けると、支配力の強化だけでなく、より存在が強くなるため、ステータスも上がるのだ。
勿論、コストはかかる。
とりあえず最低限のコストで名付け。
【ステータス】
個体名:炎・氷・風・雷
年齢:0
性別:女
種族:魔鳥(鳥種)
レベル:1
ランク:2
名前が厨二? バカ言うな、実験だよ。
もしこれで、それぞれの属性を手に入れたり、上位の魔物に昇華したら、良いじゃないか!
認識によるんだ! 世界は!
あとついでにノリだよ! ごめんね!
ちゃんと考えて付けたから許して!
そして不思議なことに。
炎:攻撃力
氷:防御力
風:回避力
雷:速力
が若干強い。
若干だが、誤差にしては大きい値だ。
マジか? とも思いつつ。
この4羽は、俺近辺の情報収集だ。
というか弱いので、放し飼い出来ないのよ。
これで、俺が創造・支配する現魔物27のうち、16羽の紹介が終わった。
次は、<レッドの腕輪>から召喚しよう。
こいつらは、見られたら面倒だからな。
そうして、わりと羽毛がモコモコで気持ちいい魔鳥×4の止まり木ならぬ、止まり人外になりつつ、
召喚!
魔物達、登場。
最初から27とか、何してんの君?
すごく管理大変なんだよ?
安易な気持ちでペットを飼っちゃいけないよ?




