表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
32/144

第31話:野営地における訓練──炎が飛んでいく

本日、2話目らしい?

 

 5日目:アルサ・リエーナ間:街道近くの野営地



 馬車で、<斬破>パーティーと会話して情報収集したり、モンスターと出くわしたので、討伐に出たり。


 というかずっと馬車に揺られているうちに夕方に。

 うーん、索敵とかはともかく、魔術とか、見た目的におかしなやつは熟練度稼ぎ出来ないなー。


 この街道には、アルサの町しか道がないため、途中の宿場町はない。


 リエーナからは、宿場町や、定期馬車が有るらしいのだが。

 宿場町が作れるのも、ある程度安全だからだ。

 より安全なアルサの町。しかし不便なアルサの町。


 まぁ、この辺は良し悪し。

 俺としては、護衛依頼はもう止めておこうかね。

 性に合わない以前に、熟練度稼ぎがマジで出来ないし、デメリット多し。


 それを確認するための、初依頼なのだから、しゃーなし、だな。


 出来ることをする。それだけだ。

 引き際は大切。

 諦める、ということは実際にはとても難しいことだ。

 すっぱりと、割り切るのは。

 それも見越して、熟練度を稼げるスキルを増やしているのだが。


 しかし、予定は、ある。


「レッド君、約束通り訓練しよう。邪魔にならないようにあっちでね」


 今のは、ロンドのパーティーメンバーの1人、カノンだ。


 それぞれ、自己紹介され、覚えている、エルが。


 Cランク冒険者パーティー<斬破>


 ロンド:リーダー(お飾り)

 斧を主体とした、メインアタッカー兼タンク。


 カノン:斥候(実質リーダー)

 盗賊(シーフ)系統で、調査・採取等の担当。

 サブアタッカー、雑魚散らし。


 リロ:狩人

 弓を用いた遠距離戦。鉈を用いた近距離戦もこなす。

 また、ポーション等による回復担当。


 トレイン:攻撃魔術師

 魔術を用いた、中・遠距離担当。簡単な補助、回復も出来る。


 全員、男性で組まれたメンバーで、前述通り幼馴染。

 本来はリエーナ以南の町々を拠点にしていたが、ロンドがミーシャにアタックするために、ちょくちょくアルサの町に来る。

 あの時は、久し振りに会えると思ったら居なかったのでイラついたらしい。


 カノンはアルサの町に恋人が居て、トレインはそもそも結婚していて、こちらもアルサの町に居る。

 ロンドとリロは現在、アルサの町で頑張っているのだそうだ。知らねぇよ。



 だが、その技術を知れるのは嬉しい。

 特に、カノンの斥候としての能力と、トレインの地属性魔術だ。

 もはや、ラーニングシステムにすら太刀打ち出来る位だ。エルが。



 この護衛依頼、本当に新人の訓練に近いようで、割りと自由だ。

 食事も、商隊が作ってくれる。その分、報酬は少ないが、経験が積めるし、上位冒険者もついでに下位冒険者の面倒を見ることで、信用を培える。



 そこかしこに、火が焚かれている。

 火を見て、この辺の魔物は近付かなくなるそうで。

 また、焚き火そのものに、簡易の使い捨てマジックアイテムが使われていて、魔物避けになるらしい。

 虫除けスプレーならぬ、魔物避け焚き火だ。虫も避けてくれるけど。


 確かに魔物も居ないな。()()()()()()()()()



「おうレッド!」


「どうもロンドさん。今日はお願いしますね」


「なぁに、1日だけとはいえ、きっちり稽古つけてやるよ。色々教えてもらったしな」


 ラノベ知識をなー。あれを、俺流に飲み込み、ロンドにも分かるように伝えただけなのだが。

 見た目通りの頭なので、目から鱗がぽろぽろ落っこっている。


「最初は俺の斧を教えてやるぞ。色々教わりたいって言ってたからな」


「ええ。獲物は<ゴブリン・ウォーリアの斧>ですけどね」


「なーに。小振りだが使えなくはねぇ。気に入れば、良い斧を手に入れれば良いからな」


 そういい、背中に担いでいたデカイ斧を構える。

 それ、ポールアックスなんだけど。見た目。


 肉厚で、両刃のでかい斧。

 腕力と遠心力で叩き切る、破壊力抜群の武器だ。

 見た目通りの筋肉で、筋力値も高い。

 見た目とは裏腹に、器用値も有る。

 これはジョブやスキルの効果だろう。

 レベルが50を越えているので、ジョブ枠3つ。

 いいなー、俺はまだ先になるんだろうなー(棒)


 ロンドが、斧を振るう。


 筋肉が暑苦しいという思考はどうでも良い。

 強くなるのに、それは必要ない。

 出来れば、美人の異人種(アマゾネス)とかが良いのは仕方無いけど。


 長柄の斧を振るう。その動きを、視て、解析して、蓄積する。


 横で、俺も小振りの手斧を振り回す。


 体重を乗せて振るう。

 遠心力、足の向き、腰の入れ方。


「おー。レッド、お前斧もイケそうだな。

 んじゃ、取って置きを見せてやるよ」


「良いのかロンド」


 おっと、見たいけど流石に止めるか?


「あれ目立つから先に言っておいた方が良いんじゃないか?」


 あっ、そっち?


「言っておいたぜ!」


「なら良いな。レッド君、少し下がろう。あれは派手だ」


 やるのは良いのかよ。というか、ロンドに要らん知恵付けたか……?

 いや、これでようやく人並み以下だから良いか。


「行くぜ! <氣炎斬>!」


 大丈夫か!? あっ、大丈夫だ。


 ふーむ。氣力を完全に別属性に変えるのは初めて見るな。


 ──エル。


 ──エル:勿論です。既に情報収集を厳にしています。


「うおおおお!!!!! <氣炎撃>!」



 斧に纏わせた、氣力の炎。あれは破壊力と、火属性だな。

 しかし、炎は、火の一形態でしかないのだが、良いのだろうか。良いのだろうな、創造神だし。


 斧から、炎の斬撃波とでも言うものが、空に撃ち出される。

 そして、歓声が上がる。

 悲鳴ではないため、きちんと根回ししてたな。

 結局やるつもりだったんじゃねぇか。


「ふー、どうよ。俺は斧と炎がメインなんだが、カッコいいだろう!」


 この辺は燃えるような木のない、野営地だから良いが。確かに派手だな。


「ええ! 凄い威力が有りそうですね」


「おう! もっと凄いの見せてやる。下がってな!」


「おっと、レッド君、もっと下がるよ」


 ロンドは、斧を構えて力を溜める。


 そして──放つ!


「おらっ、おらっ! おららららら!!!!!」


 大丈夫か!?


 さっきの<氣炎撃>のような炎撃が、斧を振り、切り返す度に撃ち出されていく。


「はーっ、はーっ。どうよ! 俺の大技だ! 前に囲まれたときに連発してみたのよ!」


「あれはそれで助かったね。だけどリロを少し焼いたのは忘れちゃダメだよ?」


「分かってるって! 謝ったしな。どうだったレッド」


「ええ。1発毎はさっきの方が強くとも、あれだけの数。一撃毎の重さ。凄いですね。

 どんな技名なんですか?」


「ねぇ!」


「あっ、教えられないのなら、勿論聞きませんよ」


「だから、ねぇ! 名前つけてねぇ。<氣炎斬>や<氣炎撃>は鑑定で分かったやつだけど。

 今のは俺が編み出したやつだからな。

 そうだレッド。お前色々発想良いし、名前付けてくれないか?」


「俺でいいんですか?」


「ああ! お前が良い!」


 技名ってのは、結構大切だ。

 スキルが認識によるもの。技名もそうだ。

 良い技名は、それだけ強いものになりうるし、実際にスキル技に昇華しやすくなる。


 鑑定協会での鑑定では、レベルとスキル、耐性が基本的に表示される。

 そして、スキルのスキル技も、技名だけは表示されるのだとか。


「そーですねー」


 どうするかねー。


「そうですね。氣炎・大瀑斧……、なんてどうでしょう?」


「おう?」


 こんな漢字で、こういう意味だと伝える。

 公用語が日本語、創造神アザス!


「でっかい滝か! 良いじゃねぇの!」


「うん。僕も賛成だ、良い語呂だしね」


「そうだ、ロンドさん。斧を毎回切り返してましたよね?」


「そうだぜ? ラッシュ、ラッシュ! で押しまくるんだ」


「回転してみてはどうでしょう?」


 切り返しにより、撃つタイミングになるのは分かるが、ロスが気になる。


 顔に疑問を浮かべるロンドに。


「こうやって、こう!」


 手斧を構え、ぐるんぐるんと何回転かする。

 足の加速でタイミングを取り、加速毎に威力を増す。


「おお! 良いな! やってみるぜ!」


 さて、どうだろう。

 厨二病の精神で、ついアドバイスしてしまったが。

 あれ、難しいけど。<体術>と<格闘術>、そしてエルさんでどうにかなったけど、俺は。


「カノンさん、また下がりましょう。自分で言ってみては何ですが、不安です」


「そう、だね。あの調子に乗った顔は、まずいな」


「習った魔術で、火と風のバリアを張っておきます。弱いですけど」


「お願いするよ」


 詠唱を聞こえるように挟み、発動。

 やはり、詠唱すると効果が大きいな。

 というか、レベル上がってるしな。


「よっし、やってみるぜ。回転版の、氣炎・大瀑斧だ!」


 ぐるんぐるんと、俺の手斧よりも長い斧は。

 その長さを持って莫大な遠心力を生み出し。


 滝のような圧力で、炎が撃ち出されていく。

 先程よりも、連射速度、威力は明らかに増している。


 そして──ズシャ!


「いってぇ!」


「……転んだね」


「……転びましたね」


 やっぱり目が回って、バランス崩したか。


「いってー、カッコわりぃな。レッド、確か回復魔術使えるって言ってたな。かけてくれないか?」


「俺の魔術で良いのなら」


 他者にかける貴重なケースだ。


「おっ、助かるぜ。しかし、最後はカッコつかなかったけど、ありゃー、良いな!」


「そうだね、命中率は低くなるけど、威力も速度も上だったように思える」


「んー、どっちにすっかね」


「使い分けてみてはどうでしょう? 敵が周りに居るのなら、回転。

 敵が固まっているのなら、切り返しで」


「そうだね。どちらかにする必要はないよ。どっちもやってみたら? フォローするから」


「おう! そうだな、レッド、アドバイスありがとよ」


「っと、回復はこれくらいですね。あと、これを」


「おっ、ポーションか? 良いのか?」


「これ、自作なんですよ。効果はまだまだ低いんですけど、良かったら」


「そうか! なら試してやるぞ」


 よしよし、同意を得た治験だ。


「ロンド、フォローするとは言ったけど」


「あん?」


 空き瓶を返して貰いつつ。


「あれはフォローしてあげないからね?」



『──てめー! ロンドォ! どこ撃ってやがんだ!』



「げっ、リロ!?」


「じゃ、レッド君。あっちで斥候系の技能を教えてあげるから、行こうか」


「はい、カノンさん」


「ちょっ、おい!」


「おらぁ! 俺っちの鉈を喰らいやがれぃ!」


「おい! 模擬用でもあぶねぇぞ!」


「テメーが言っても説得力ないわ! 1発喰らっとけ!」




「良いんですか? カノンさん」


「良いんだよ、殴りあえばすぐに収まるから。トレインの回復を使う良い機会さ。

 レッド君も後で、回復をかけてくれないかな?」


「ええ、良いですよ。魔力も有りますし」


 検体が増えるのは良いことだしな。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ