表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
31/144

第30話:馬車に揺られて、スキル考察

 

 5日目:アルサ・リエーナ間:街道



 ガラガラと、わだち(?)を作りながら馬車は街道を行く。


 想定したより、揺れないというのが感想だ。


 異世界転移勇者のうち、生産系勇者は一定割合いて、その中に馬車を改造することに命をかけたアホが居たらしい。


 利権だのなんだのに妨害されまくり、全ての情報が広まった訳では無いものの。

 少しは民間にも広がり、独占するより、広めた方が良いと考えた一部地域で開発が進んでいた。


 まあ実際には、魔物に滅ぼされたり、知識が逸失したりしてるんだけど。


 なんにせよ、中世×馬車=ヤバイ。理論が破綻した。

 有り難いことだ。


 この身体、三半規管も強いし、バランス感覚も良い。

 回復魔術や氣力も有るが、酔わないに越したことはないのだ。



 今護衛している商隊は、5台の商用馬車と、2台の護衛用馬車。


 ロンドのCランクパーティー<斬破>と、ソロのFランク冒険者の俺:レッド。

 で、1台の護衛馬車。


 もう1台に、


 Eランク冒険者パーティーだ。

 まあ、妥当な分け方だろう。

 高ランクパーティーと一緒にされた俺を、Eランクパーティーが恨むかとも思ったが、むしろ可哀想な目で見られた。


 ああ、うん。乱暴者(ロンド)ですね。



 実際に、ロンドは乱暴者で粗忽者なのだが、上手いこと言いくるめたら、何故か気に入られた。


 1人筋肉が居るため暑苦しいが、残りのパーティーメンバー3人は細身のため、そこまで狭くは感じない。


 そして、パーティーメンバーは喋れるらしい。

 いや、そうなんだけど。普通なんだけど。

 ロンドのやることに口を挟まないらしい。

 幼馴染み故の理解力。


 恐らく、周りが思っているだろうことにはならず、明るい会話が出来ていた。


 会話しているうちに、頭の片隅で、今日の朝見た新規スキルを思い返す。


 ───────────


 エル:新規スキルを表示します。




【ステータス】


 ノーマルスキル


<薬・毒剤生成:レベル:2(+1)>up及びnew統合


<皮膚強化:レベル:1>new

<薬効強化:レベル:1>new

<採取:レベル:1>new

<解体:レベル:1>new

<工作:レベル:1>new


 エクストラスキル


<極限集中:レベル:1>new(<集中>が上位化)


 耐性


<斬撃耐性:レベル:1>new

<火属性耐性:レベル:1>new

<風属性耐性:レベル:1>new



 うむ、既存スキルもアップしていたし、新規も多いな。

 マジで1日に上がるような、生易しい世界ではないのだが、リソースの殆どをぶっこんだだけはあるな。


 というか、エルさんマジで凄すぎら。


 エル:それぞれのスキルの解説を表示します。


 安定のスルー。



 ノーマルスキル


<薬・毒剤生成:レベル:2(+1)>up及びnew統合


 既存の薬剤生成スキルに、毒剤生成スキルを統合した。

 薬と毒に大きな違いはなく、その量と対象による。

 統合したことで、より詳細に薬・毒の境界に迫ることが出来る。



<皮膚強化:レベル:1>new


 皮膚を傷付け、氣力・魔力で再生を続けたことで獲得。

 主に<耐性>に関わる。

 現在は、主に<斬撃・火属性・風属性>に強い。

 皮膚そのものは、外から触れた場合、違いは殆ど無いが、危害を加えられると、耐性が効力を発揮する。


 また、火傷しにくい。切創が出来にくい。

 擦れても傷付きにくくなり、ターンオーバーによる再生が早まる。

 皮膚のなめらかさ、艶やかさ、キメ、張りも上昇する。魅力値上昇。



<薬効強化:レベル:1>new


 主な効果は3つ。


 1、<薬・毒剤生成>スキルに補正。作り出した物の効能を上昇させる。


 2、薬剤などを摂取した際に、その薬効の吸収率を上げる。ポーションなどの効能を余すことなく吸収出来るように成っていく。


 3、後述する<採取><解体>スキルの補正。

 薬効に類する素材が劣化・流出しにくくなる。



<採取:レベル:1>new


 採取に関わることに補正。

 採取とは、取る、採ることに関する全てに補正が入る。

 採取時、価値の減少を食い止める。より良い物を採取出来る確率が上がる。

<ソナー>等とのシナジー効果有り。



<解体:レベル:1>new


 解体に関わることに補正。

 解体とは、バラバラにすること。その全てに補正が入る。

 解体時、価値の減少を食い止める。

<ソナー>等とのシナジー効果有り。

 また、生体を解体する時に、より痛みを与えない、もしくは与えると言ったことにも補正が入る。



<工作:レベル:1>new


 工作に関わることに補正。

 主に、生産系の補正だが、目的のための計画・下準備にも補正が入る。

 様々なスキルとのシナジー効果有り。



 エクストラスキル


<極限集中:レベル:1>new(<集中>が上位化)


 集中が上位化して生まれたスキル。

<集中>の効果を拡大発展させたスキル。

 また、特殊状態<極限集中(ゾーン)>の任意使用可能。


<思考技術>スキルとの、強大なるシナジー効果有り。


 耐性


<斬撃耐性:レベル:1>new

<火属性耐性:レベル:1>new

<風属性耐性:レベル:1>new


 一括説明。

 それらに対する、耐性。

 ダメージ軽減。回復も容易になる。

<皮膚強化>との関連性が強く、特に皮膚に関しての耐性が高い。



 おおー。

 凄いな。どれも基本のスキルが見えるけど、効力が半端ない。

 スキルの補正値こそ、小さいものだが、範囲が異様に広い。

 偏極型を目指す俺にとっては、有難い。

 重なれば、更にシナジー効果を起こすし、育つのも早く、新規獲得のハードルは低い。


 エル:マスターのスキルに置ける汎用性の広さは、認識によります。


 それもなのか?


 エル:明確なスキル名を認識していること。単語に関する知識を持つこと。スキル名などに対し、文学的なアプローチで認識していることによります。


 文学的なアプローチ。どこかの感想欄で読んだことが有る気がするな。

 それもあって、こんなスキルになっているのか。


 エル:また、<採取>等に関しても、<薬草採取>、<鉱石採取>ではなく、<採取>という大分類になっていることにも起因します。


 だからあれだけ広いのか。

 とすると、<感知>は。


 エル:個別のものを統合しているので、大分類<感知>より、それぞれの補正値は高いです。今後も、<感知>系統の獲得を推奨します。


 ああ、そうだな。

<感知>系は重要だ。俺も頑張るが、エルも頼むぞ。


 エル:了。


 しかし、皮膚に対する俺の認識はなんだろう?

 いやまぁ、良いことに関して文句はないのだが。

 耐性も有るし、皮膚そのものの再生も早くなっているようなんだが。

 美容系に行ってないか?

 前世の遠い記憶──エルに頼めば即リカバリー──を探っても、家族という枠組みだった人間たちに、美容に力をかけていた者は居なかった。

 美人らしいと聞いたことは有るんだが……。


 美容系のアイテム売れるだろうか。

 みんな大好きNAISEI。エルさんにお任せコース。


 エル:案を構築しておきます。


 あれ!? ネタがマジ拾いされた!?

 まっ、ええか。


 生産系でも、木を削ったりしただけで、<工作>。

 しかも、そっちの意味も。これぞ文学的なアプローチ。

 隠蔽工作や、懐柔工作はしていたが、こーなるか。

 なんだろう、こっちの意味での成長の方が早そうだ。


 そして、第3のエクストラスキル!


 一般人が死ぬような思いで努力して辿り着く、エクストラスキル。


 そう、5日目で2つ上位化。1つ、更なる上位化しました。

 ええ、成長チートです。


 まあ、<集中>だしな。それの上位化。

 無駄になるであろう、全てのリソースをぶっこんで効率をなすエルさんが使うと、マジヤバイ。

 俺も使うけど、どんどん使いやすくなって、すぐ上位化したしな。いつの間にか。


 んで、ゾーンか。


極限集中(ゾーン)


 ゾーンに任意で入ることが出来る。


 ・ポテンシャルをフルで展開できる。

 ・一時的なスキル補正の上昇。

 ・ゾーン継続に伴う、莫大な消耗・疲弊。レベル・熟練度の上昇により、ゾーン時間、消耗に補正。

 ・より深く、ゾーンに入れるようになっていく。



 うわー。


 エル:凡そマスターの想定するゾーンと同じものです。


 つーかこれ。エルさんが普段やっているような状態なんじゃ。


 エル:否。ゾーン発動には、それだけのリソースを消費します。睡眠時トライアル、緊急事態等に限定しています。


 してんのね。

 というか、<氣力活性>、<思考技術>の思考加速と、限定的身体加速。

 そして、ゾーン。


 限界いけるんじゃね?


 エル:非推奨です。


 いや、緊急事態とかにさ。

 その時のための、手段でね?


 エル:……非推奨です。


 そりゃー、ならないように、<工作>はするよ?

 緊急事態にならないようにするのが、腕の見せ所。

 だけど、何が起こるかなんて分からない。

 その時に、不慣れな限界突破と。

 既にデータ取りが出来ている限界突破なら、データを取っていた方が良いだろう?


 エル:…………非、推奨ですが、賛成します。


 ありがとう、エルさん。


 エル:無理はしないでください。


 自分の能力に謝る図。だが俺は、これで良い。

 俺はエルを個人として見ているんだからな。






スキルとは、認識によって変わる。

可能性とは、無限大である。Byマ・コトーサ=トゥ

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ