第2話:転移前における白い空間の存在意義
それは、ここに誕生した。
人に仇なす、否、人類に、滅びをもたらす唯一の者として。
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気付けば、俺は白い空間に居た。
そう、俺だ。
そして、白い空間。
ここはあの神が最後のサービスとして作ってくれた、異世界へ転移する前の待機空間。
再構成された俺のステータス確認や、心の準備の為の空間だ。
ここを出ようと強く意識すると、いい感じの地点に現れるらしい。
神自身は、相当に力を失っている。その状態で、適性のある者:つまり俺。を探し、俺を異世界に移動させ、尚且つ力を与える。
その為、かなり長い休眠に入るらしい。
一応、俺が何か、神の力を増やす行動を取ることで、復活を早めることが出来るらしい。
この世界:イリガルドでは既に名前も失い、信仰も定かではないので、他力本願は難しい。
イリガルドの人類がやらかした結果である。
俺が人類を滅ぼすと、ついでに復活出来る要素が揃うので、あまり気にしなくても良いらしいけど、どうせなら復活させてあげたい。
上から目線だが気にしない。
確かに力を貰っているのは確かだが、あくまでも対等、らしい。
神が言ってたし、意気投合したし。
ふむ、人間ではないお友達、いや相棒、親友、神友? おお心の友?
なんにせよ、良いものだなー。
さてさて、しみじみ感じてる暇はない。
この白い空間も、神が残り少ない力を割いて頑張ってくれたものだ。力が切れる前に、やることをやろう。といっても、俺は思考が中々速いらしく、そんなには時間経ってないが。
白い空間に存在する、全身鏡を見る。
……ふむ。
身長などは変わってないようだな。
日本の平均身長より少し高い程度。顔立ちは……少し若くなっているか?
興味が無かったので、ある程度しかケアしてなかったが。
ふむふむ、せっかく人間ではなくなったのだ。これからはもっと気にするか。人間ではない女の子には、モテたい気持ちは少しある。
…………すまん、結構ある。
ちょっと筋肉質になってるか? 戦うためだからかな?
そして一番は……髪……だな。
赤いだろ、これ。
濃くはないが、鮮やかな赤だ。目に痛くない赤だから良かったぜ。
イリガルドは異世界のテンプレらしく、髪の色は色々だ。文字通り。
むしろ、黒髪黒目だと、転移を疑われる確率が上がる。もしくは、その子孫。
赤色の髪は、あまり珍しくないらしい。多いのは茶髪や金髪。
目立ちにくいのは有りがたいな。
瞳の色は……黒か。こっちは変わってないみたいだな。
赤って、明らかにレッドに引っ張られてるな。
一人で、ルージュ・ノワール。どうでもええか。
瞳の色に関しては、黒はそこそこいる。黒髪黒目揃ってこそ、らしい。日本人、茶髪茶目多いよ?
世界的には、青辺りが多いらしい。あと緑。
ファンタジーらしく、色々。文字通りその2。
遺伝子以外に、影響因子が有るからだろう。
ある程度の知識は、神が情報ファイルでプリセットしてくれた。
とはいえ、身に付けた知識ではなく、簡易の辞書が頭に有るぐらいだけど。
それを補佐する能力も付与してくれた。
よーし。
いよいよ本題だ!
ステータスの確認だ!
次話へ続く。