第24話:殺戮者らしい活動をする
少し残酷描写が有ります。
4日目:アルサの町近辺:北の森
身体能力を上げるスキル群を用い、移動速度を上昇。
周辺の情報を読み取り、最も適した足場を踏みつけ移動する。
町での生活、特に睡眠時トライアルにより、スキルは大幅に増え、成長している。
ポーション類も有るので、ある程度の水準を保ちつつ、高速機動が可能。
<思考技術>スキルに統合された、思考加速により、例え高速で動いても、情報は取り零さず、ゴブリンとぶつかったり、集団で狼との衝突事故などは起こさない。
MAPの精度も上がっているし、索敵範囲も広い。
だが、安全な町と言われるだけあって、魔物が居ない。
移動中に居たのは、鳥でした。
<投擲>により確保。
<弓術>により確保。矢が勿体ない気もする。
<火属性魔術><火球>により確保、出来たは出来た。
分かってはいたが、燃えたことにより素材価値減少。
また、弾速がまだ遅いので、効率は良くない。
<風属性魔術><風刃>により確保。矢傷よりも傷が広い。弾速──刃速は、風属性だからか速いため悪くはないが、鳥相手には要らないな。
<氣力闘法><氣弾>による確保。上手く操作でき、中々良いのではないだろうか。
ただ、石が有るのなら、氣力の消耗は少ないため<投擲>で良い気がする。
というか、モンスター何処よ!?
鳥は結構居るんだよ。
高速で移動しつつ、<隠者の半仮面>での隠密と、存在希薄を試している。
感覚の鋭い鳥さんでも、ある程度効果が有るし、エルさんによる先読みで、鳥さんバキュン。鳥は死ぬ!
おっ、ゴブリン発見。
はぐれ個体だな。
【ステータス】
個体名:───
年齢:1
性別:男
種族:ゴブリン(ゴブリン種)
レベル:45
ランク:2
最初のやつより、明らかに強いな。
だが、ステータスを見ても俺の敵ではない。
しかし、警戒はする。
<速力強化:風>をかけ直し、<筋力強化:火>をかける。
ファーストアタックは、最大まで氣力を込めた投石。
石を投げ、素早く駆け寄り──2撃の、斬撃!
──は要らないのね。
ゴブリンの死因:投石による頭蓋骨陥没。
所詮はゴブリン。壁を2つばかし越えたところで、ゴブリンはゴブリンだ。
ランク3からは、グッと変わるらしいので、きちんと警戒はしておかなくては。
ゴブリンの心臓近くに有る魔石を抉りだし、耳をサッと切り取り、収納。
この辺に、ゴブリンの巣穴というか、部族が有るらしいんだが……。
エル:この方向に、ゴブリンらしき反応を数体捉えました。
よし、行ってみるか。
──────────
あのゴブリンどもは……。
隠密しつつ、様子を伺う。
エル:はぐれ個体ではなく、群れを構成する個体だと推定されます。
ゴブリンは3体で行動している。
レベルも高い。
ランク昇華していない、ランク2のゴブリンだが……。
よし、この手だな。
それぞれのステータスを確認して、と。
──────────
ヒュッと投石。
及びエルさんが<風刃>を複数起動し、1体を切り刻む。
1体は頭部に投石で死亡。1体は魔術により刻まれて死亡。
流石はエルさん、魔防と魔術を計算し、無駄なく殺した。
ゴブリン1体が、辺りを見渡し、理解したのか叫びだす。
隠密を解除、<投擲>し、ゴブリンの頭の横を通り、外れる。
周囲に、エルさんが<火球>を複数浮かべる。
ダメ押しで、<人間ヲ嫌ウ者>の殺気を投射。
ゴブリンの醜悪な顔が、(恐らく)恐怖に歪み、逃げ出す。
さぁ、<純粋なる殺戮遊戯>の試運転だ。
──────────
必死に逃げるゴブリンに、投石を繰り返し、速度を鈍らせない。
その為に、知能と速度が比較的高めなオマエを選んでやったんだからな。
エル:ゴブリンの群れらしき反応を感知。方向等を考えて、このゴブリンの群れで有る確率は高いです。
りょーかい。
よっ──<投擲>──と。
さて、これで4体分だな。勿論、前の2体も収納済みだ。
ちなみに、ゴブリンは一応、体数えでもある。ゴキ扱いするときは、匹呼びしてるけど。
再び隠密を起動。
ゴブリンの群れを観察。
……ふむ。最低限の家屋を作り、役割を果たす社会的な面は有るのを確認。
エル:ランク3と思しき個体を複数確認。リーダー種である、ゴブリンリーダーに率いられる群れだと確定。ランク4は確認できません。討伐可能と判断できます。
よし。ステータス確認、よし。装備確認、よし。アイテム確認、よし。ポーションを先に呷っておき、魔術による準備、よし。
では、殺戮に移る。
──────────
まずは見張りをサクッと<投擲>。
<火球>で、家屋を焼き、弓で射る。
矢には、ゴブリンには風を。家屋には火を付与し、放つ。
石よりも、矢の方が魔術付与のノリが良いし、連射が出来る。
アイテムボックスの活用による、即時矢を番えることで、より速く連射可能。
そして──
「逃がさねぇよ。<純粋なる殺戮遊戯>起動」
舞台:俺、レッドを中心とし、ゴブリンの集落まで。
ルール:俺を倒さない限り、もしくは解除しない限り、この舞台から逃げることは出来ない。
俺は隠れてはならず、必ず身を曝さなければならない。
このルールは、敵対者:ゴブリン全てに通知される。
「さぁ、殺戮の始まりだ。お前ら、精々腕を振るって参加してくれ」
そう言って俺は、全方向のゴブリンに向けて、矢を放ち、氣弾を放ち、火球と風刃を放った。
──────────
ゴブリンの群れは、大混乱。
しかし、俺を倒さなければ、逃げることもできず、家屋は燃やした上に、延焼をも起こしているので隠れることは出来ない。
<純粋なる殺戮遊戯>によるスキル効果は、ルールや舞台を設定し、ゲームを開催出来る。
ゲームの項目は殺戮に関わること。
俺が不利になるほど、相手に有利になるほど、俺が得られる経験値が増える。
今の俺では、設定できることは少ないのだが、今のこの状況で、逃がさないという設定は強力だ。
代償として、俺は必ず身を曝さなければいけないが、かかってくるが良いさ。
武器を剣に持ち変え、剣に<氣力纏>。氣力を纏わせることで、刀身の保護にもなる。
右手に剣を、左手にバックラー。バックラーにも、<氣力纏>。
近付いてくる雑魚ゴブリンに、遠距離攻撃を加えつつ、配分を考えて、何体かは剣で処理。
棍棒やら、木の槍やら、遅い。ギルマスに比べたら、まだまだ遅い。
そして、この群れのトップ。
【ステータス】
個体名:───
年齢:3
性別:男
種族:ゴブリン・リーダー(ゴブリン種)
レベル:51
ランク:3
50の壁を越えている、ランク3のゴブリン。
周りには、
【ステータス】
種族:ゴブリン・ランサー(ゴブリン種)
ランク:3
種族:ゴブリン・ウォーリア(ゴブリン種)
ランク:3
種族:ゴブリン・ソードマン(ゴブリン種)
ランク:3
この群れの親衛隊だろう、上位種のゴブリン。
だが、槍士に、戦士に、剣士て。
遠距離居ないじゃん。
石を投げたり、棍棒を投げてくるやつは居るが、高い<投擲>持ちや、弓使いは居ないのか。
<魔力障壁>や、派生した<魔力の盾>を用意しておいたのだが、避けるだけでいいな。
足元に転がる邪魔なゴブリンは既に収納し、足場は確保している。
おっと、これ以上の損耗は、雑魚と言えど見過ごせないか。
数十体居たゴブリンも、もう10体少し。
しかも、少ないメスを狙えたら即狙撃している。
<火球>の派生、<火弾>による、狙撃だ。試行錯誤殆ど無しで形になった。
まずは、遠距離攻撃を雨霰。
これで、動きを鈍らせる。
まだ威力の足りない俺の魔術では、ランク3の生命力は削りきれない。
だが、損耗は出来るし、数打てば全て命中で生命力は減っていく。
<詠唱技術>舐めんなよ? いや舐めなくていいよマジで、汚いし。
魔術をゴブリン・ランサーに集中。バックステップしつつ、サイドスローで<投擲>。
これで中距離武器は居ない。
3対1? 否、位置取りを上手くとり、最大でも2対1に抑える。
ゴブリン・ソードマンの剣を弾き、ゴブリン・ウォーリアの斧を回避。
ゴブリン・リーダーの棍棒は<魔力の盾>でガード。空いた剣で、<氣力斬>。
ゴブリン・リーダーを庇おうとしたウォーリアを<火属性付与>した剣で斬り、深手を負わせ。
ソードマンの剣を盾で逸らして、体勢を崩させる。
ソードマンの手を狙って焼き、剣を使えなくさせ、ウォーリアにも追撃。
破れかぶれになったソードマンをいなし、<風属性付与>で切れ味を増した剣で斬殺。
殆ど虫の息なウォーリアに遠距離で止めを刺し、機を伺っていたリーダーの足元に<氣弾>を炸裂!
土煙を巻き上げ、殺気を投射。
隠密は使えないが、殺気の隠蔽は可能。
囮の殺気投射に引っ掛かったリーダーに、<氣力斬>で、止め。
残った雑魚共が、わらわら襲ってきたが、既に人数もなく、質もない。
さっくり片付けて、残りのゴブリンを、殺す。
まだ育っていないゴブリン。
ゴブリン・ベビーとも言えるこいつらに、剣を突き刺し、火を浴びせ、風で斬る。
「良いゴブリンは、俺の眷属として生まれたゴブリンだけだ」
最後のゴブリンを殺し、ゲーム終了と共に、ふと出てしまったセリフ。
……確かゴブリンを主眼にした作品があったな。
──ふー。エル。
──エル:生存反応確認できず。全滅です。
よし、残りの魔力・氣力も、35%程残っている。体力も。
中々良い殺戮だったかな。
少し休憩……出来ないな。
片付けてから、休憩しよう。
エル、警戒よろしく。
エル:了。今回の戦闘データを纏めておきます。
休憩したら、今回の戦闘の見直しだな。




