第18話:武器屋には、ずんぐりむっくりしたおっさんが居る
2日目:アルサの町:ギルド協賛複合型ショップ
エル、鑑定を。
エル:了
<隠者の半仮面>
ランク:エクストラ
スキル:<薄場陰朧>
・顔のうち、目元を中心に鼻辺りまでを覆う仮面。
濃いグレーで、装飾はなく地味。目立つためではなく、むしろ影や、陰に溶け込むような、特徴の無い半仮面である。
スキル<薄場陰朧>解説。
・隠密系の能力を持ち、装備することで潜むことが容易になる。
・影、及び陰に潜むことで効果は上昇する。
・このスキルの隠密能力はかなり低い。特筆すべきは、意識されないことに有る。
・平たく言えば、凄く地味になる。存在感を薄れさせる。そして、気付かれたとしても、印象が薄く、覚えられないという能力。
・暗殺には向かないが、ただひっそりと隠れるので有れば有用。
・隠密性能はランク:ノーマル。
・存在感の無さはランク:ユニーク。
この装備:<隠者の半仮面>すらも地味であり、人目を引かず、ひっそりと忘れられ易い。
この装備、余りにも地味で存在感が無いため、みんなスルーするのだろう。
店員に聞いたところ、
「こんなの仕入れたっけ? 欲しいのなら銅貨5枚で良いよ」
これである。
この装備は、かなり凄いぞ。
隠れる、という性能は低い。
だが、気付かれない:存在感が無い、という性能は高く、しかも相手が上位者であっても効果を発揮する。
能力が能力なので、レジストされないのだ。だって存在感が無いだけだから。
装着するときは、顔に押し当てるだけでいい。
ランクがそこそこ高く、形の補正してくれるし。
装備時は、弱い吸着効果で顔に貼り付くのだ。魔力的な仕組みだが、辛うじてこの魔力反応をエルさんが拾った。
そう、ユニーク以上でないと、存在感を捉えられないのだ。
この装備、俺との相性は非常に良い。
隠密性能が低く、殺気などを出してしまう、違和感の強い行動を取る、などすると意識されて気が付かれてしまう。
しかし、俺はどうだ?
スキルや、前世での経験から、殺気を漏らさない。気取られない行動可能。
他者を隠蔽する能力はないが、存在感の無さならユニーク。
まさに、ユニークな品だ。
勿論買った。他にも、冒険者に必須のアイテム類。特にポーション類だ。
結構買った。こんなに買って大丈夫ですか? と聞かれたが、冒険者になる前に蓄えを増やしておいたので、今買い込んでます。というと納得していた。
さて、実は武器防具、アイテムにもランクが有る。
あの創造神様が、設定しないわけがないのだ。
まだ序盤だし、2日目だから、情報の章と言っても過言ではないね。
はいどん。
装備品ランク。
ノーマル。
レア。
エクストラ。
ハイエスト。
ユニーク。
レジェンド。
ミソロジー。
ジェネシス。
アルティメット。
といった、9つのランクに分けられている。
スキルのランク5つの間に、更に挟み込んだ結果だ。
アルファベットのランクではないのは、創造神様の気分次第だ。
ランク分けは主に、その武器の強さ、特殊能力、出自によって分けられる。
装備品ランクの簡易詳細。
ノーマル。
普通。良いも悪いも全てノーマル。
これに、人類たちは更に細かい分類を付けていることがある。
レア。
ノーマルではない、一歩突き抜けた武器・アイテム。
何かしらの特殊能力が有る。
腕の良い鍛冶師なら大抵作れる。
質の良い素材からなら、大抵作れる。
エクストラ。
何かしらの強力な特殊能力を持つ。
特殊能力もないのに、その鋭さだけでエクストラへと至る装備を作り出す、刀鍛冶が極東に居るらしい?
ハイエスト。
特殊能力を幾つか持つ。
普通の人類が、努力に努力に重ね、すべてを用いてようやく到達するランク。
それゆえ、ハイエストと名付けられた。創造神によって、ここまでは努力値で補正可能、と許可されたとも言う。
ユニーク。
凄く強い特殊能力が複数ある武器・アイテム。
才能がなければ作れない。
運がなければ作れない。
素材も1級のものが求められる。
使い手にも、才能が求められるほど。
このランク以上の装備がなければ、英雄と呼ばれる程に至るのは難しいだろう。
レジェンド。
伝説にも謳われるほどの武器・アイテム。
レジェンドを作り出せる作成者は、とても希少。
作り出せるとしても、最良の製作環境。最良の素材。そしてすべてをかけた上での運によるほど。
武器が進化して到達することの方が多い。
また、難易度の高いダンジョンのボス報酬など。
大抵の英雄格の装備はこれ。
その他、使い手が居ないなどは、国が国宝指定にするなど、重要な扱いを受けている。
故意に伝説を作り、鋳型を作ることで、レジェンドにまで至らせた例がある。
創造神様が、地球:アースの神話、童話などから輸入したものも含まれる。
ミソロジー。
レジェンドよりも凄い。ヤバい。
神が関わったものは、基本的にミソロジーになる。
その為、玉石混交、千差万別、悲喜交々。
英雄の中でも大英雄。
勇者達などが装備する。神器とも呼ばれることも。
神にすら傷を負わせることが可能になるランク。
宗教関係まで関わって、神器、神宝扱いされる。
ジェネシス。
創世しちゃうくらいヤバい。
歴史にすら載らない。
存在は示唆されている。
アルティメット。
究極的にヤバい。
でも有るとは知られてる。
こんな感じだ。
後半雑だが、そんなもんだ。
人類圏で有史以来確認されてない。そんなものだ。
もしもこれが物語なら、俺が関わることで見付かったりするのだろう。
戯れ言だがな。
そしてこの装備、<隠者の半仮面>だが。
ランクはエクストラになるらしい。
存在感の希薄化という、強力な能力と。
ショボい隠密性能。
総計、エクストラという判定だ。
エクストラの製品も、めちゃくちゃ高いはずなんだがな。
Cランク、Bランク冒険者が使うような、上位の武器だ。
この店にも、エクストラの武器は少数だが有った。
魅せる為の武器と、隠された武器。
大金貨レベルの逸品だ。
ちなみに、俺の<神の残せしブーツ>、<レッドの腕輪>は当然のごとくランク:ミソロジーだ。
隠蔽して、ノーマルに見せては居るが。
<神の残せしブーツ>は、ハイエスト相当。
<レッドの腕輪>はユニーク相当だ。
さて、買い物はこのくらいか。
買ったものの一部を公開。
<隠者の半仮面>
最下級:ノーマルのポーション一式。
旅装セットに関わるもの。
弓、及び矢。及び矢筒。
小ぶりな盾:バックラー。
効果付きのアクセサリー。
半仮面と、アクセサリー以外は宿に送ってもらった。
ギルド協賛の店同士のサービスだ。それ相応の手間賃を払えば良い。
チップを払うと、気を使って運んでくれる。
盾は、今は片手剣なので役立つこともあるだろう。
弓矢は、例え投擲スキルが有っても、手段が複数有った方が良いとの考えだ。
当然、使えないがな。的屋位でしか触ったことがない。
エル先生のお力で、何とかするつもりだ。
どちらもノーマル品質。他に掘り出し物も、今買えるものもなく、普通に選んだ。
効果付きのアクセサリーは、指輪だ。
最も安く、且つ効果の有るアクセサリー。
<魔樹の指輪>
ランク:ノーマル
魔化した樹木の、端材を適当に加工して作られた指輪。
魔力の回復量を、ほんの僅かに増やす。
これでも銀貨2枚:20000エンだ。
お守り程度の、それこそ心持ちと言った効果だが、無いよりマシだ。
それに、アクセサリーの効果を確かめて見たかったのもあるし。
アイテムボックスでこっそり、とか、ごっそり、は出来ない。
明確に他者の物は、収納できないのだ。
その為、アイテムボックス保持者は盗みを疑われにくい。
誰がこんな仕様に? 創造神様。
とはいえ、やりようはあるこの世界。
普通に盗む方法はそりゃー沢山有るが、今問題を起こす気はないのでやらない。
──────────
目の前に、ずんぐりむっくりしたおっさんが居る。
今日の最後の目的、武器の整備の仕方を学びに来たのだ。
この、縦に短く、横に丸いおっさん。髭面のおっさん。
実はドワーフ…………ではない。
ただ単に、ずんぐりむっくりしているだけである。
紛らわしい。
ドワーフは、有名な異種族だな。人族とは基本的に仲の良い種族だ。
しかしこのおっさんは違うので解説は要らないだろう。後回しだ。
ちなみに、この国、ヤエコーマ王国は、人族主体の国だ。
だが、他種族との関係は、中庸を保っているため、場所によっては他種族は居る。
ここは、安全だが辺境に近く、わざわざ来る他種族は少ない。
が、いる。獣人だった。
そして、<人間ヲ嫌ウ者>の対象だ。そもそも殺戮対象だが、少し残念だ。
「おう、オメーが整備のやり方を知りたいって奴か」
「はい。旅先でもきちんと武器の手入れをしようと思いまして。
冒険者ギルドのミーシャさんから、ケンさんは、教え方も上手く、腕も良いと紹介されまして」
「ほー、ミーシャからか。教えるのは構わねぇよ。直近の仕事はねぇし。武器の手入れは大事だからな
ただ、多少の手間賃は貰うぞ? 規則なんでな」
まっ、ミーシャの紹介だから安くしといてやる、と呟くドワーフもどきのケンさんに、費用を払って手入れ方法を教わる。
「おっ、お前さん覚えも良いし、筋が良いな。どうだ、こっちの道に進んでみないか?」
「いえいえ、元々冒険者志望なので」
勿論、エル先生のお力も有るし、スキルの効果もある。
種族特性と、アルティメットスキル<凌駕する唯一者>は、あらゆる全てに関する成長ボーナス。才能さえ成長させるスキルだ。
生産系も手を出そうと思っている。
「おし、これで良いな。今教えた、剣、盾、弓。レザー装備以外は、気になったらまた俺か誰かに教わりな。きちんと手入れするのは、冒険者の基本だかんな」
「ありがとうございました。とても分かりやすかったです」
「へん! 飲み込みが早いやつが良く言うぜ」
口では悪態つくが、少し嬉しそうだ。何故ドワーフじゃないんだ……!
「それでは、失礼します」
「おう、達者でな」
さて、もう夕方も過ぎる頃合いだ。
宿に戻って、食事と風呂。
そして今夜も行う、エル先生主催の眠るだけで育成ワンダースキルだ。
ミソロジーランクは、神話ランクとかです。
ゴッズじゃないです。ミソロジーです。
普段はなかなか観ない、観れないアニメですが、オーバーロードは観ました。
オープニングの最後に、アレを持ってくる製作陣に、痺れる憧れる。凄いセンスです。
7巻までやるのかな。続きが早く読みたいです。
2018 1/11 18:15




