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第15話:情報収集は殺戮の第一歩

 

 2日目:アルサの町:市場


 朝御飯を食堂で食べ、調査と時間潰しを兼ねて、市場の区画へ。

 騒がしい市場も、エル先生によりフィルタリング及び情報収集可能。


 各々の交渉や、世間話から情報を抽出しつつ、朝向けの出店で食べ物を幾つか見繕い、食べていく。

 この身体、燃費は良いとは言えないのだ。

 高レベルの冒険者達は、その優れたステータスを発揮するために、健啖家が多いという。

 俺も、かなりのエネルギーを必要とするようだ。夜中、ずっと肉体を改良してたわけだし。

 それで違和感無いのは凄いな。良い仕事するね、エルさん。


 食堂でお代わりしなかった理由は、出店で買ったものをこっそりアイテムボックスに収納しているからだ。

 お弁当形式の奴も売っているため、隠蔽しやすい。時間劣化しないアイテムボックスに食べ物を詰め込むのは当然だな。

 面倒事を避けるために別々の店で買ってるから、あまり健啖家とは思われていない。

 余計な勘繰りとか、良い客だと覚えられるのも面倒だ。

 容量限界は有るが、俺自身の成長で枠が大きくなるし、まだまだ容量限界は先だ。

 ゴミになったら捨てりゃーいい。 (ゴミメテオ!)


 出店で出てる食べ物は、単価は大したことはない。纏めて買うことで、大きな硬貨を崩したりもした。


 さて、そろそろ良いだろう。冒険者ギルドに向かうか。


 ──────────


「あっレッドさん、おはようございます」


「どうもミーシャさん」


 くっ、今日も担当してたか。まあ良い。登録したのはこの受付嬢だしな。

 朝のラッシュ:依頼の奪い合いを避けた事で、冒険者は疎らだ。

 あの冒険者:ロンドも居ない。というか目立ちたくないから、そんな寄らなくていい!


「昨日は先に抜けてすみませんでした。先輩の顔を立てた方が良いと思いまして」


「いえ、対応は正しかったと思いますよ。ロンドさんは悪い人では無いのですが、少し思い込みが強いようで」


 ()()ねぇ。


 当たり障りのない会話を重ね、情報収集しつつ。


「では、資料室は利用できますか?」


「ええ、きちんと申請しておきました。新人研修もです」


 良かった良かった。忘れられてたら面倒だったもの。


「利用料金として、銅貨1枚です」


「はい」


 ほぼ最低金額だ。賎貨は子供が使う小銭という扱いだ。

 基本的な店では、銅貨から使用される。賎貨もきちんとお金として使われているが。

 利用料金が、ゴブリン一匹。そう奴等は本当にゴキ扱いなんだ。


「案内は必要ですか?」


「いえ、まずは自分で調べてみます。何かあればお願いします」


「わかりました。言うまでもないですが、破損には気を付けてくださいね?」


 これが、一応の利用料金とる理由だ。紙はやはり転移勇者が頑張ったので、安く出回る。

 それはそれとして、破かれれば手間だ。

 敷居を少しだけ高くしている。

 しかし、命をチップにする冒険者は、情報収集を欠かさない。

 一流の冒険者は、情報を軽視するものを蔑視している。情報すらも凪ぎ払う強者は尊敬している。


 というか、受付嬢独占したらまた問題起こるだろうよ!


 ──────────


 ここが資料室。

 Eランクに、というかCランク以下に開示できる情報の部屋だ。


 ──エルさん、やるぜ。


 ──エル:了。


 ────────────────────────────────────────────


 エル:スキル<速読>のレベルが上がりました。


【ステータス】


<速読:レベル:2→4>


 よーし、これで良いな。エル、情報の統合・整理を頼むぞ。


 エル:了


 ──────────


「あっ、レッドさん。そろそろお昼前ですけど、休憩ですか?」


 資料室は借りると、一日中使うことが出来る。というか何故話し掛けてくる!


「いえ、必要な情報は揃ったので。他の予定を回ろうかと」


「えっ、必要な情報ってどのくらいですか?」


「主にモンスターの情報と地理情報を」


「あっ、あの量をですか!? あっと、すみません(ぺこぺこ)。そういえばレッドさん……そういうことですか?」


 注目を集めてしまった受付嬢が、周りに謝りつつ、小声で近付いてくる。だからフラグを立てるような真似は止めろ!


「はい。そういう──<速読><思考加速(偽装)>──ことです。それに記憶力もいいんですよ」


「はー、便利ですねぇ。私も欲しいです。そのスキル。午後はどうされるのですか?」


 速読は、事務作業にも使えるだろうな。エル先生の情報処理能力にも効果があるらしい。


「色々有りますが……、アイテムの補充や、武具のこと。ジョブについてですかね。今、相談しても良いですか?」


「はい! 任せてください!」


 しゃーない。フラグを避けつつ、この受付嬢の興味を満足させるか。


 ──────────


「おう! 昨日の赤いのじゃねぇか!」


 くっ、気付いていたがタイミング悪く逃げ切れなかった……!


 受付嬢:ミーシャから、道具屋や、武具の整備も教えてくれる武器防具屋、ジョブのこと──まだ就いてないと言ったら驚かれた──を聞き出し、昼食がてら、また出店を回っていた。

 創造神様と、勇者共が頑張っていたお陰で、メシマズにはあってない。

 あいそうになったら、エルが伝えてくれるか、危険感知が反応する。うん、反応したよ。ゴブリンの内臓炒め。これぞ飯テロ! (違う)


 そしてタイミング悪く、冒険者:ロンドのパーティーと会ってしまった。気付いたけど、逃げられるタイミングじゃなかったんだ。


「ロンドさん、でしたね。改めて、Fランク冒険者のレッドです」


「ああ、レッドだったな! 昨日は悪かったな。お陰でミーシャちゃんにも嫌われずに済んだぜ」


 パーティーメンバーは、ごめんね、と目線で合図してくる。

 悪い奴ではないのだが、気は荒くて力は強い。

 思い込みも激しいが、男気はあるタイプで、評判は極端だ。 (映画では) (活躍するぞ!)


「んじゃ俺も。Cランク冒険者で、Cランクパーティー<斬破>のロンドだ! 宜しくな」


 絡まれつつも、会話を重ねて、逃げる隙を伺う。

 パーティーメンバーよ、こいつ連れてけよ!


「それでよぉ、レッド。ミーシャちゃんにもっと好かれるようにするにはどうしたら良いんだろうなぁ」


 何故俺に聞く!


「ええっと、その相談は俺で良いんですか? 確かにお似合いだと思いますけど」


「そっかぁ! そうだよなぁ。いやなに、応援してくれる奴なんざ中々いなくてな。

 お前なら、なんか良い案持ってそうで」


 くっ、好感度上げすぎたか! おっさんで人間の好感度なんぞ、偽装以上は要らんぞ!


「そう、ですねぇ。ロンドさん、もしかして何時もは力とかをアピールしてます?」


「ああ、そうだぜ? やっぱり男は力だからな!」


「では、頼ってみてはどうでしょう」


「頼るぅ!? ミーシャちゃんにか! 男らしくねぇぞ!」


「いえいえ、落ち着いて聞いてください。ミーシャさんは、頼りにされるのが好きなタイプだと思えます。

 例えば、クエストとか、スキルで相談したらどうでしょう?」


「なっ、なんだと」


「きっと、自分がアドバイス出来ることを相談されたら、嬉しいと思いますよ。

 どうでしょう、力自慢のロンドさん。町で、貴方を支えるミーシャさん。

 良い光景だと思いませんか?」


「……良いじゃねぇかッ……!」


 空を仰ぎ、しみじみ唸る筋肉。


「ですが、仕事の邪魔をし過ぎるのは、きっと迷惑になってしまいます。

 それではミーシャさんの仕事の評価も落ちてしまうでしょう。

 機を見計らって、声を掛けたらどうでしょう」


「そう、だな! ミーシャちゃんの評価を落とすのはダメだよな!

 ミーシャちゃんが暇そうな時に相談してみるぜ! ありがとよ!」


「いえいえ、力になれて光栄です」


 じゃーなー、と手を振り去っていく筋肉。

 そして、かなり感謝の念を込めたような視線を送ってくるパーティーメンバー。

 せめて喋れ。いや喋んなくて良いから、早く連れてって欲しかった。


 まっ、フラグ折り成功。無難に避けられた。


 よしよし、では次の目的地。ジョブ神殿へ。



主人公:レッド君は詐欺師になれそうですね。手本が居たそうですが……。

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