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第136話:外伝:復讐劇ノ始マリ

割りと残酷描写有りますん。

 

 それは一人の男の執念から始まった。


 男は金物を作成する鍛冶師であった。


 男の父親より、幼少の頃から技を仕込まれ、本人の気質も有ったのか、腕の良い鍛冶師となった。


 男が作るのは、生活に使われる雑貨。

 武器のように、命を守るものでも、奪うものでもない。


 命を養うものを作り、卸すことに男は幸福を感じ、日々邁進していた。



 やがて男は結婚する。

 男の妻は、地元でも評判の良い美人であった。


 彼女は男の腕と、寡黙ながらも仕事をこなす姿勢に惹かれ、結ばれた。


 男と彼女は、日々を幸せに暮らしていた。


 男は金物を作り、彼女はそれを手伝い、売っては材料を仕入れ、また作る。



 だが、その幸せは続かない。



 きっかけは、貴族の使いの来訪。


 腕の良さが、地元の貴族に届き、その貴族の知り合いが興味を持った為、男の金物屋に注文に来た。


 その使いが報告したのは、男の作る製品と、彼女の容姿。


 強欲にして、傲慢なる貴族は。


 当然のごとく彼女を拐っていった。

 その貴族は慣れていて、傍目からは誘拐には見えず。


 あろうことか、何故か男の評判が悪くなるように仕込まれていた。



 日に日に窶れながらも、金物は作り続ける男。


 しかし、日に日に売れ行きは悪くなる。



 そして男は、かつての知り合いの力を借りて貴族の元に赴いた。

 かつての知り合いにより、彼女の行方が分かったからだ。


 居場所は貴族の別邸。


 魔物の襲撃なども、その知り合いにより退け。



 貴族の別邸への襲撃も、その知り合いにより成功した。



 男は貴族への反乱に何も感じない。


 そもそも男の金物は求められなくなり、支えである彼女がここにいるからだ。




 そして、男は。



 再会した。




 変わり果てた彼女と。






 鎖に繋がれ、端麗だった容姿は壊され、尊厳も何もかもを失った、彼女だったものと。




 その貴族は、貴族社会で有名であった。


 強欲で、傲慢で、何より女を壊すことに快感を覚える人種であると。


 それは珍しいことではない。

 貴族の好むものは、往々にして、人間の罪科を浮かび上がらせる。



 彼女とようやく再会できた男は、ただ一言、──すまない。と呟いた。



 彼女の腹には、子供が居た。


 そう──居た。



 子宝に恵まれず、少し悩み始めていた男たちの、子供。


 その父親は確たることはないが、男は自分の子供であったと。

 そして、その子供は彼女の腹の中で嬲られたと。



 どこまでも跡/痕の残る、彼女から、読み取れた。




 そこには、彼女だけではなく、女であったものの残骸と、辛うじて生命体である脱け殻も居た。


 男の知り合いがそれらを助け、男は彼女を埋葬した。




 ────その手に、彼女たちを縛り上げていた鎖が有った。





 やがて、長き年月が経った。


 貴族の追っ手がなくなり、貴族はおもちゃ箱が1つなくなったことも忘れた頃。



 彼の目の前には、とある男と、男の長年の知り合いであり、親友となった者が現れた。


 貴族は怒り狂うも、貴族の部下は来ない。


 部下だったものは、悉く砕け散っている。



 貴族もまた、部下と同じように、否、誰よりも強く強く、悲惨なほど無惨に、殺されていく。


 獲物は、鎖。



 男が。金物屋の男が。金属を鍛えることに長けた男が。



 殺意と復讐の炎で、身を焦がしながらも鎖を焼き。


 その心が砕けそうになりながらも、その腕で鎖を鍛え上げていく。


 その心を込めて。


 その殺意を込めて。




 その鎖は、暗殺術と拷問術に長けた親友の手に託された。


 あの貴族の魂を、壊し尽くしてくれと。



 そして貴族は壊されていく。



 女たちを縛っていた鎖すべてを、1つに纏め上げた、怨嗟と痛苦の力作。


 貴族を決して逃がさぬように。


 その鎖はどこまでも縛る。


 貴族に痛みを与えるために。


 その鎖は因果を応報させる。


 貴族への怨みを果たすために。


 その鎖は作り手と装備者の意思を十全に伝える。



 貴族は殺されながらも、死は許されず。


 貴族が他者に与えた痛苦の全てを与えるまで。


 全てを与えてなお、苛烈なる報復を与えるために。


 貴族の精神と肉体が腐り落ちるまで。


 しかしその鎖は、魂を捕らえて放さない。




 そして貴族が死ぬのを許されたのは、鎖に残りし思念が晴れた頃。



 男たちは満足し、どこかへと消えていく。



 故に気づけなかった。



 鎖の蠢動を。



 貴族の死体が発見され、その鎖は、貴族の縁者の手に渡り。



 実行者である男と親友は何故かその縁者に見付かり、抵抗空しく鎖で縛られ。



 男は自らが作り出した鎖により、その生を終えた。





 その鎖は、その時改めて完成したと言えよう。



 男は殺される時に気付いたのだ。



 何故殺しただけで満足してしまったのかと。




 決して終わらぬ復讐の因果。




 紡ぎ繋がり、縛り上げる。


 復讐を成せようと成せまいと、人々の手に渡り復讐を成していけと。




 そして鎖は、作り手の意思と、その鎖に最も強く混ぜ込められた、とある無垢なる魂と母の情念により、鎖となった。



 その鎖、<復讐の鎖>は様々な者の手に渡り、その呪いに怨嗟を取り込みながら、絶えることなく復讐を成していった。



 鎖の持ち主の復讐心を駆り立てるように。


 鎖の持ち主に復讐の理由が出来るように。




 そして鎖は、とある嫉妬に狂った呪術師の手に渡り。



 鎖はとある英雄を縛り付け。



 その英雄と、支配したと思い込む呪術師と共に揺蕩う。




 そして鎖は、呪術師を倒したものの手に渡り、また蠢動するのだ。




 ────復讐セヨ。と。




 ──────────



『─ だ ─ ま ─ れ ─』



 俺は復讐復讐囀ずる鎖に、復讐するならどうするのか、何が復讐か、手段に理由に、殺意を流し込み。


 最終的に鎖は、俺のものとなった。



 元々はこう。


<不断ナル復讐ノ連鎖>


 ランク:エクストラ

 スキル:<伸縮自在><因果縛全><無限ノ鎖>

(110話初出)


 そして今はこう。



<不断ナル復讐ノ連鎖>


 ランク:エクストラ

 スキル:<伸縮自在><因果縛全><無限ノ鎖><復讐ノ心得>new<不運転嫁>new



 なんか新しいスキルが生えてきたようである。



 いやぁ、イフで慣れ始めてたから、結構簡単にちょうきょ……説得できたな。


 そんなに強い思念じゃなかったし。


 次に行くかな。











次はもう1つの呪いの武器<死霊ヲ支配セシ司令杖>になります。


まぁ、メインのイフさん程使わないと思います。

鎖は使いどころ多そうだけれど、杖は裏方でやってそう。

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