表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
135/144

第134話:外伝:とっちゃんのアウトな日々──12話


視点:アウト (オブ眼中)



なんでしょう、バカにされたような。

或いは見られていることを示しているような……。 (レッド様は見てる)



まあそれは置いといて(モーション付き)。


オイラとゴブリン隊9人との模擬戦っス。


勿論ハンデ有り。

あっちはアイテム類の制限。


こっちには、フィールド選択権と、魔力・氣力が常時MAXっス。

アニキが常時、オイラの上限まで供給することで成立させるらしいっス。


まぁ、体力や精神力は自前っスけどね。

回復出来るのも、体力や負傷ならともかく、精神力や集中力はガリガリ削られて行きそうっス。



さて、行きますかねー。



──────────



オイラが今居るのは、森の中。


おいでよ紅血の森ではないっス。


普通の森。なんの変哲もない、森。

ただ動物は存在せず、一般的な樹木だけの森っス。


いやー!

すばらしいっスね! まともな森って!



なんで森エリアを戦闘フィールドに選択したかと言うと。


まずは障害物っスね。


相手は9人、こちらは1人。


広場とかじゃあ、話にならないっス。

それに、オイラは立体機動出来るんで、足場となる枝葉が有ると便利っス。


それに、相手も分散してくれれば各個撃破も可能になるっス。

まずしてこないと思うっスけどね。


もし1人や2人で居たら、()()でしょうね。



第2の理由としては、森での経験値っス。


……ずっと紅血の森で戦ってたんで、森林エリアでの戦闘経験値がバカにならないっス。


相手には、森に強いトウゾさんやユミさんが居るっスけど、他のヒトなら多少は有利になるでしょう。



『あーあー。テステス。本日は晴天なりはマイクテストに不向きなり。


あー、聞こえるか? 聞こえてる前提で話すぞ』


アニキのホログラムが空に映っているっス。

光属性と水属性っスかね?


ホログラムは胸より上だけ映る仕様みたいっスね。

多分何かが元ネタでやってるんスね、アレ。

というか突っ込みどころ多すぎて間に合わないっス!


『今回はアウトVSゴブリン隊。そのハンデ模擬戦だ。

森フィールドでの遭遇戦。エリアからは出れないようになっていて、内部はどれだけ破壊しても良い。


アウト側の勝利条件は、ゴブリン隊全員の戦闘不能、もしくは死亡。


ゴブリン隊側の勝利条件は、アウトの戦闘不能、もしくは死亡。


まぁ、やり合えば良い。

設定したハンデ以外は何してもかまわない』


さて、静かに集中力を高める。

まずは相手を見付けること。


そして、倒すこと。


やることはシンプルっス。



『準備は良いな?


────戦闘開始!』



ブワァァァ────!



っと風が吹き抜ける。

この為だけのエリアエフェクト組んだんスか、アニキ……ッ!



まずは隠密を発動。

殴ったものは隠匿されるグーパンチ。右手で3発分。


左手で、受動探知を発動。3発分を直列発動させて強化。


グーパンチに当たる感覚を強化・確かめるっス。


3発分なのは、それが一番効率が良いからっス。

普段なら消耗が大きすぎて使わないっスけど、魔力たっぷりなんで。


3発以上だと、精神力・集中力を使いすぎるっス。


ふーむ。


この森に動物は居ない。


エリアエフェクトによる風で揺れるのは植物のみ。

探知出来たのは7つの生命体。

次いで、微かに1つ。


これはレンジャー系技能も有るユミさんスかね。


トウゾさんはさっぱりわからないっス。


今わかることは、8人が1ヶ所で固まっていること。

既に陣形は取れている。


トウゾさんは分からない。

1人で行動して罠か、同じく団体行動か。



あちらにはアナさん含め、探知出来る人材が居るっス。

でも、こちらには来ていない……?


分かっているのか、いないのか。



まずは、()()()()()()()罠を張りながら接近するとしましょう。


あちらさんは、全員が隠密するのは不可能と考えて、陣地を構築しているようですし。



こそこそ。


こそこそ。



受動探知は、能動探知と違って、周囲の情報を読み取るだけなんでバレにくいっス。


さてさて。

やっぱり問題はトウゾさんが何処に居るか。


トウゾさんの純攻撃力は低い。多分ホリィさんより低いっス。

その代わり、瞬間ダメージ量ならトップっス。


暗殺系ですし、アイテム使いっスからね。

その分一番ハンデで弱体化してるはず。


弱体化してても手強すぎる相手だけど。

あちらのリソースは限られている。


狙うとしたら……。





──初手! アルティメット・グーパンチ・セカンド!



樹上から、()()()さん目掛けて必殺遠距離攻撃(セカンド)を放つっス。

技後硬直が殆どなく、速射出来て込められる最大の氣力を込めた。


技の性質は弾速優先の一撃。

相手の感知限界一歩手前からの不意打ち!



「<盾術><ガーディアン>!」



ホリィさん目掛けて進むグーパンチビームはキシさんにインターセプトされる。

今回キシさんは愛馬であるファングは居ない。


その為、大盾装備のタンク役っスかね。


右手で能動探知(アクティブ・ソナー)。3発分を並列で。

パターンの違うソナーを極短い時間差で放つ。



──感有り。オイラの真後ろ5歩!



飛んでくる魔術と矢、遠距離武技を遅延発動させた推進グーパンチで右に飛び出し。


加えて殴って飛ばすグーパンチで、更なる緊急回避。


オイラの首が有った場所を、短剣が交差した。


トウゾさんこっわ!


あっちはアナさんが情報を収集、即座に同期しているゴブリン隊に波及するから面倒っスねぇ!


左右のグーパンチを3発ずつ、ジャミングを発動させ拳を打ち合わせる。


合わさったグーパンチは、光と音と。

空間の情報を掻き乱してオイラの情報が錯綜するっス。


加えて衝撃波(弱)が発生するんで、神出鬼没なトウゾさんを捉えられる。

瞬間、隠密を再起動させて隠れ。


一気に()()()()に肉薄。



──次手! アルティメット・グーパンチ!



驚きに目を見開くキシさん。対応は早く<盾術>を発動される。


でも、完全には発動出来ない時間差。


今度の隠密は5発分!


一瞬しか効果がない代わりにめちゃつよっスよ!


右腕を少し自壊させるほどのグーパンチ!


「がぁ!?」


加えて!



左手に氣力を集中!


氣力は渦巻くように、ドリルのように、削り取るように。


放つは、セカンドとは真逆の用途!


──アルティメット・グーパンチ……サード!



その用途は、射程:至近距離の強威力!


殴った全てを消滅させたら嬉しいグーパンチっス!


右手のアルティメット(無印)で硬直したキシさんの顔面にサードを叩き込む!



バリンバリンパリン!



くっ、顔の前に魔力盾が3つ!

リアクティブと今作った奴っスか!


それでもサードは容易く盾を食い破り、顔面を破壊する。


くっ、仕留めきれなかった……。

でも一時リタイアっス。ホリィさんにも、回復に手を割かせるという選択肢を与えられる。


その代わり、サードにはまだ慣れてないんで左手が砕けてるっス。


いやー、痛いっスね(棒)。


ちなみに、ほぼ会話はないっスよ?

だって、基本念話っスから。

そもそも会話で相手に情報与えることはないっス。

技名とかも、理由がないと発言しないっスから。


紅血の森で慣れてしまった、手の再生を加速させる。

オイラ殴らなくとも、回復できるようになったんスよ。オイラの腕限定で。


そこを狙って、前衛のセンシさんとソウシさんが来る。

ソウシさんは短槍に変えてる? 森対策か。



──グーパンチ。



何時から砕けた手ではグーパンチ出来ないと錯覚してたんスか?


センシさんの斧も、ソウシさんの槍も、リチャードさんやアニキに比べればまだまだ遅い。


対応可能圏内っス。

1度に装填できるグーパンチは現在、それぞれ6発!


そのうち3発分を回復に、3発分を攻撃と移動に!


木々を足場に、移動しながら攻撃をばらまく!


1発を更に分けるショットガン風味のグーパンチ!


って、なんスか今の一矢!


センシさんの後ろから隙間を縫うように飛んできた上に曲がった!?


奇射って奴っスか!

砕けた右足膝を無視し、左足とグーパンチで機動。


くっ、ホリィさんが回復してるし、マホさんは弾速の遅い魔術は使わず、移動阻害と補助に専念しているっス。


あと、何もしてこないトウゾさんが怖い!


治った拳に6発分の回復イメージを込めて膝を治す!


膝は複雑なんでイメージ大変っス!


もう片腕の6発分をショットガン(ばらまき)


トウゾさん近くにも居ないんスか! 警戒されてるっス。



あっ、キシさんが大分回復してしまった。

流石耐久力の高い相手っスね。



はー、しゃあないっス。



もう6発使い始めた(余裕がなくなった)っス。


地面に降りて、グーパンチを叩き付ける!


イメージが大地に伝播し、魔力の込められた土煙が上がり、地中を進むグーパンチがゴブリン隊を襲う!


被弾は前衛のみ、損害軽微。

後衛は素早く避けられた。




それで良い。時間が稼げる。


右拳を、左の手のひらに叩き付ける。


『お前の弱点はグーパンチが2本しかないことだ』


左拳を、右の手のひらに叩き付ける。


『手のひらから風の槍を出す少女は、基点が手のひらしかないという弱点が有ったという』


両手をパーで合わせるように。


『サイボーグでもあった少女は、機械的に手を増やすことで基点を増やした』


最後にグーパンチ同士を打ち鳴らす。


『ならばお前はどうするか』


拳を額の左右に有る、ちっちゃな角に当てる。


『さてここに、お前から切り落として生物的に改造した腕がある』


そして呼び出す。


『言いたいことが分かるな?』


来い。()()()()()()()()()()




「さぁ、蹂躙を開始するっス」




──アルティメット・グーパンチ・セカンド……十二発同時発射(フルスロットル)!!!




12本のグーパンチビームが、土煙を貫通してゴブリン隊に襲いかかった。













すまない。想像以上に長くなってしまったんだ。


次はアウト外伝だけれど、ゴブリン隊視点になるよ。


理由かい? それはね。アウトがゾーンに入ると更にコミカル度が減るからさ。


ちなみに紅血の間、紅血の森の時間加速度は<レッドの腕輪>内でも最速なんだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ