第125話:異文:それはもう起こり得ない未来
なんとなくエイプリル企画。
ifの世界な感じで。
物心付いた時から人間が嫌いだった。
否、生まれた時から、人間という生物を嫌悪していた。
それは理由なきもの。
変えることなど出来ない。
変わるのはその強さだけ。
その性質は何時までも変わることのない本質だった。
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**と名付けられ、母親から愛情を以て育てられた。
兄弟はこの時、兄と姉が一人ずつ。
そして後に妹が生まれた。
それぞれ2歳差程である。
幼少期を、嫌悪の対象になりにくい、人間に成りきれていない幼児達と過ごすことで免疫が出来、どこか歪みのある母親の愛情により壊れきることなく、そしてその生まれ持った知能故に、**は異常だと糾弾されることもなく育っていった。
この頃既に、彼の原型は完成し、早熟した。
──その奥底に、ナニカを少しずつ貯めながら。
彼は父親の存在を手本に、周りとの関係を構築していった。
日本に住む以上、そして子供である以上、孤独に居ることは出来ない。
小学生の頃から、その才能を発揮させる。
それは擬態。そして演技。
彼は周りの子供に合わせるように、そして面倒事が少なくなるように。
言葉数の少ない、問題を起こすことのない優等生として、彼は動いた。
手本となる父親という存在。
母親の教え。
反面教師にもなる兄という存在。
人間ではなく、絵を描くヒトである姉。
自分に懐く妹。
小学生という6年間を、擬態しながら乗り切った。
自分から問題を起こさないように行動したとしても、彼の能力と魅力が、周りからの騒動を巻き起こしてしまうが。
そもそも彼の家族は、その街で有名である。
父親が騒がれないように手を回しているからこそ、マスコミに濁点が付くこともないが、有名な家族であることに変わりはない。
表では、美形の夫婦と、容姿と才能を受け継いだ子供達。
それぞれの分野は異なるものの、時折騒ぎを起こす兄。
絵画に極めて高い才能を示し有名になり始めた姉。
物静かで、ユニセックスな魅力を持ち、物事を治める弟。
未だ子供だが、幼くして魅力溢れる妹。
裏では、様々な伝を持ち、一精神科医ながらも、かなりの権力を持ちR18上等な父親。
美人で周囲に狙われまくり、主に男子高校生を悩ませつつも、決して他者を信用せず、家族を溺愛する母親。
子供の頃から持て余す性欲を拗らせ、迷惑をかけては反省等せず懲りない兄。
絵と弟以外目に入らず、一心不乱に絵を描き続け、生活力のない姉。
女の子に人気が有り、男の子とも上手く渡り合い、教師にも人気が有りながらも、他者に迷惑をかける前に治め、人間が嫌いであることは発覚しない弟。
彼は目立ちたくないにも関わらず、周りが騒ぐ。
その才能は様々な方向に発揮されてしまい、本人は気付いていないが、裏では微妙に騒がれやすい。
そしてそれは中学生に入ると更に大きくなる。
彼はモテる。爆発させたいほどに。
そのわりには付き合うこともなく、男が好きなのではという噂も広まるほどに。
生徒会長に好んでなる兄とは違い、責任ある立場にはならない彼では有るが。
その影響力、学内におけるインフルエンサーであれば教師・生徒会を凌ぐほどでも有る。
もともと好きな2次元の世界。
それは文字、絵、テレビを問わず、普段から様々な本を読み、過ごしていた。
一時期厨二病にかかりながらも、周りには全く気付かれることなく、そして実行に移すことなく沈静化したのは喜ばしいことだったであろう。
高校は近くにあるところに入っただけ。
厨二病を経て、更に達観した彼に夢などはなく。
ただ日々を惰性で生きることが定着し始めた。
そして様々な知識を詰め込むようになり始める。
高校生となるも、周りが騒ぐばかりで特に何か有るわけでもなく。
むしろ、他の女性が主人公のゲームの登場キャラさながらの行動を起こしていただけ。
成績は上位。運動神経も良く、容姿端麗。
加えて、性格も良いとされる(表面的)。
これで何か裏がないと納得しないという方向けに、人間嫌いというオプションは有るものの。
そのままどこかの大学を受け、大学生となり。
そして雷に、神のいかづちに当たり転生/移する。
──ことのない未来。
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世界は燃える。
ただ一人の影響により。
始まりは、フェイクニュースだった。
フェイクニュースで有ったはずの内容は、現実となり、中東という地域が更に荒れた。
錯綜する情報と、たった一発の弾丸により、起こってはならない事態が起きてしまう。
それは、ゲームや同人誌の題材ならばまだしも、現実に起これば最悪でしかない。
大戦。
戦争である。
だがその戦争は、長く続くことはなかった。
ただ一人。
情報学部に進み、ネットワークに長け、ハードにも長け、あらゆる人類を滅ぼす計画を立て、それを実行に移した男が居たために。
戦争が引き起こされてなお、たった1週間で滅びた、人類史。
1週間で神が人類を作ったのなら、1週間で滅ぼして見せる。
そこに意味合いは特にない。
単なるタイムアタックで、結果が1週間というだけのこと。
方法は簡単だ。
情報を学び身に付けたITスキル。
そして、父親から学びとった洗脳技術。
その2点を元に、戦争が引き起こされる。
情報操作により、最も愚かしい選択肢を選ばせ。
洗脳により動かされる彼の駒。
なにもテロを起こすのに、爆弾を作る必要も、銃器を手に取る必要などない。
ただ、有るところから使えば良い。
彼によって動かされる駒と、ネットワークは。
本来なら大量のセキュリティによって守られている筈の、威嚇のための殲滅武器。
質量をエネルギーとして爆発させ、大量の汚染までをも引き起こす、最悪の爆弾。
又の名を、地球を破壊する爆弾。
地球に冬は────訪れない。
観測する者など、一人も残すことなく。
爆発させる順番、誘導し動かされる人類。
彼はその知能と技術を以て、人類殲滅を果たした。
それを駆り立てたものは、単純明快。
我慢できなくなったから。
貯まり続けたナニカが決壊した。
要因として、雷に打たれることがなければ、翌日に彼の母親が交通事故で死んだことだけ。
世界は、一人の我が儘で、滅ぼされた。
歴史の何も、残すことなく。
alldeadend。
良い子も悪い子も真似しては行けません。
色々と避けるために、名称を出していなかったり、直接的な手法を出してないのは仕様です。




