第118話:都市セイレルでの隠蔽工作──騒がれるのは程ほどに抑えましょう
17日目:都市セイレル
結局のところ、フラグは立っていなかった、もしくは圧し折られていたらしい。
セイレル鉱山を出る際、ゴーレムに襲われたけど素材になっただけ。
鉱山前の施設で馬車とライト&ダークを召喚。
代わりにゴブリン隊を労いつつ、帰還させる。
後で旨い料理でも入れてやろう。
まー、内部時間とはズレが有るから、ゴブリン隊視点ではかなり後になるだろうけれど。
あいつら、こっちから差し入れたりしねーと何も求めねぇからなぁ。
求めるものも、訓練用のアイテムとか、装備とか。
真面目か! と突っ込み入れたくなる位だ。
俺のシリアス部分だけを受け継いでる感じだな。
コミカル部分だけ受け継いだのも居るけれど。
鉱山──都市間も何もなく、拍子抜けしたよ。
だからと言って油断はしない!
奴等は安堵した隙を突いてくるのだ!
感知系を全開に発動させ、<超直感・観>の、<直感>技能を特に研ぎ澄まさせる。
……それをリチャード戦でやっとけよ、と思われそうだなー。
「まずは冒険者ギルドだな。
いやー、レッド。お前さんに頼んで本当に良かったよ」
「こちらも、報酬があっての依頼だ。
よろしく頼むぜ?」
「おうともさ」
まだ不安の残る都市セイレル内を通り、冒険者ギルドへ進む。
大っぴらに解決したとか言わない。
ヤードは知り合いに有ったら言っても良いか? と聞かれたが、ダメと説得した。
出来るだけ俺が解決したとは知られたくはない。
騒動が解決したと知られるのは良いが、まだ俺は世に知られたくないからな。
ずっと知られなくて良いけれど。
「ギルドの個室を頼む」
「ヤードさん! こちらへどうぞ!」
冒険者ギルドに入り、ヤードが昨日対応していた受付嬢に話し掛けている。
俺は仮面を着けて、存在感を薄くしている。
ギルドに入った途端、中に居る冒険者達がこっち見てたし。
時刻は午後3時頃と言った具合。
中に居るのは、鉱山目当ての冒険者が開店休業中で暇してる感じだな。
<直感>のささやきに従って、仮面を着けた怪しい俺氏。
普段俺仮面付けてないしなー。
ユニはほぼオールで着けさせてるけど。
「ヤードさん、依頼はどうなりました?」
「完遂だ。文句のねぇ結果だよ。
まずはギルドから斥候を派遣して、確認が取れたら鉱山の稼働を再開してくれ」
「本当ですか! それは良かったです。
レッドさん。冒険者ギルドからも、感謝申し上げます」
受付嬢がきちんと背筋を整え、綺麗な角度で腰を曲げる。
鉱山は生命線だから、かなり気にかかって居たのだろう。
俺としてはむしろ、ギルド長フラグとか、都市長フラグじゃなくて有りがたい位なのだが。
「こちらも依頼を受けたまでです。早期に解決出来て良かったですよ。
ですので頭を上げてください。
今回の件を報告しますので」
「はっ、はい! 今書類を用意します!」
──────────
まずは依頼内容の確認から始まり、特記事項として、報酬はヤードの鍛冶であること。
俺が解決したと公にしないことなど。
鉱山迄の道のりにて、レイスと 戦闘。
鉱山施設はあまり破壊されていないように見えたこと。
スケルトン軍団と交戦、倒したあとにスケルトンが何も残さず消失。
<死霊魔術>の魔物であると判断。
鉱山内部で、ゴーレムとの戦闘。
撃破後、ゾンビと交戦。
ゾンビを浄化、回収。
その後、リッチと遭遇。というより出現。
リッチの繰り出したゾンビも頑張って浄化、回収。手段は聞くな、秘密。NOと言える人外。
リッチがペラペラ喋っていたことを、確証は無いが、と前置きしつつリライガ王国関連のことを伝える。
アンデッド=リチャードという英雄を撃破し、リッチも撃破、回収済み。
「俺ぁ、不甲斐ないことに気絶しちまっててよ、その状況は見てねぇが、リッチはきっちり倒してたよ」
「気絶ですか!?」
「むしろ気絶で済んだ、と言うべきだろうよ。
契約も有るし、俺もそもそも言う気がねぇから詳細は言えねぇ。
だが、俺は無事に戻ってこれた。そういうことだ」
そもそもレッドの足手まといになってたけどな。
と付け加えて、最後に。
「んで、休憩取ってから採掘だ。
俺は報告が終わったら、炉に火を入れて、試しをする。
明日、レッドの報酬を払うためにな」
「なるほどなるほど……(カキカキφ(..))
レッドさん、ゾンビとなってしまった人達をギルドで埋葬させて頂けませんか?
もちろん報酬を用意致しますので」
途中、俺も<工作>先生のお力を借りて話を補足・虚飾して、報告は終わった。
「良いですよ。
ただ勿論のこと、アイテムボックスや浄化のことは内密で」
「勿論です。リッチと、その元英雄かと思われるアンデッドの提出はどうでしょう?」
「それは無理ですね。俺の手口が割れる危険も有りますし、素材も使い道が有ります。
死体の確認だけならともかく、提出は出来ません」
「……仕方有りませんね。無理強いは出来ませんから。
レッドさん、霊安室を用意します。そちらにお願い出来ますか?」
「はい。一応、凍らせていますが、気を付けてくださいね」
「分かりました。
本当に、ありがとうございました」
改めて、頭を下げる。
さっさと次行こうぜ、やな予感がするし。
「んじゃあレッド、俺は工房に戻るぜ。
もう鉱山のこと伝えて良いんだよな」
「ああ、頼んだぜ。
俺は鉱夫や冒険者の遺体を安置してから宿に戻るから」
「火打ち石亭だったな。明日迎えに行くからな」
「じゃあ、また明日」
ウズウズしていたヤードがギルドを飛び出していく。
あれは情報を伝えたいのか、作成欲に火がついてるのか、どっちだろう?
「ヤードさんに気に入られてるんですね、レッドさんは」
「まぁ、戦いを共にしましたしね。
ギルドが混む前に、遺体を出しておきたいです。
どちらですか?」
「あっはい。こちらです」
──────────
「お前ら。良かった、本当に良かったぜ!
たとえ死体であっても、帰ってきてくれて良かった」
「貴方、どうして死んでしまって」「ばか野郎。深入りするからだ!」「お前からの借りをどう返せば良いんだよ、ばかが」
「俺のパーティーメンバーが帰ってきて良かった。
依頼を達成した人は誰ですか!
直接お礼を言いたいんだ!」
「申し訳ございません。
その方は目立ちたくないとのことで、明かすことは出来ませんし、既にセイレルを立ってしまっています(ということになっている)」
「マジかよ、クソッ。
お礼も出来ねぇのか! 俺たちの仇を討ってくれたんだ。
きっぱりお礼したかったんだがよ」
「浄化を使ったとのことですが、どの神を信仰する方でしょうか」
「すみません。明かすことは出来ませんし、お聞きしておりません」
「ちょっと! 私達が聞いてるのに、なんで教えてくんないのよ!」
「すみません。ギルドの規則ですので」
「ったく。使えそうな人材なのに。なんでこんなに情報が出てこないのよ。
伝を使って調べあげなさい!」
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本日の好きなテレビ。
有吉反省会。
有吉さんの番組大抵好きです。
有吉さんとマツコさんのタッグはかなり好きです。こういう人多いでしょう。
大鶴義丹さんの関係が面白すぎるし、なんでここでオネェが集まるんでしょうか?
カミングアウトしやすいのかな。
オネェキャラ……入れるべきか……!?




