第117話:セイレル鉱山探索──仕事が終わってると凄くが気が楽である
17日目:セイレル鉱山内部、鉱夫の休憩部屋
「そろそろ行こうかヤード」
「おう。アイテムボックスの余裕は有るんだよな?
ならこっちに行こう。
お望みの盾に使える鉱石が良く取れる鉱脈だ」
休憩を終えて、動き出す。
収納していたオーク肉のサンドイッチとかを食べて、英気を養った。
ヤードにも分けてあげたら喜んでた。
変なしこりを作ってもあれだし。
身体を再生しまくってたからなー。
カロリーが足りねぇ。
胃の中に直接、カロリー源をぶちこんで消化・吸収してもいたけど、やっぱり口から噛んでこそだよな。
血液のストックも減ったし、増やしとこ。
アイテムボックスである<レッドの腕輪>は、収納時には触れている必要がある、明確な所有者が居ないもの、などの制限が有るが、出すときには色々と融通が効くのだ。
主に、手元に出すのが一般的だが、別に胃の中や、血管に出すことだって可能。
だって俺の領域内だし。
やろうと思えば、大気を肺の中・口の中に取り出しでセルフ酸素ボンベも出来るだろう。
……まぁ、一般人がやれば死ぬけどね?
特殊な訓練を積んでるから出来る人と、人外だから出来る場合。
俺の場合はどっちもだよ!
血管や消化器も、逸般人(外)だし、取り出しのコントロールも繊細だ。エルが。
もっとカロリー効率の良いものを作るべきだな。
試せるのは居るし。
──────────
坑道を進み、鉱脈付近に着く。
ふむ、大地を調べる魔術でも、変な反応がある。
これがその鉱石かな?
「ヤード、新しい従魔を呼ぶが、使えるか判断してくれ」
「お前さん、本当に色々手札があんだなぁ」
「まあな。サモン」
<レッドの腕輪>に意識を向け、呼び出すは────
「うん? もぐらの魔物か?」
モグラさんである。
【ステータス】
個体名:モンド・グンド・ランド
性別:男×3
種族:土鼴鼠(モグラ種)
レベル:40
ランク:3
知ってました? もぐらって、土の竜って書くじゃないですか。
変換でも出てくるけど、土竜ってこれ、ミミズのことで誤用説あるらしいですよ?
更に言うと、もぐらって~、潜るからもぐらって言うんだぜ~、知ってた~?
とかカッコつけてる人、残念違います。
むしろ、潜るの語源がもぐらだよ?(諸説有り)
まあ、もぐらは土竜で通じるんですけどね?
定着しちゃった誤用漢字シリーズ(その2)である。
画数の多いアレが昔からのらしい。2度と出さないだろうけど。
閑話休題
このもぐら達は、以前倒した巨大土竜(57話出)を元に、テコ入れして創った種族だ。
まず、ジャイアントだけあってアレはデカかった。
<レッドの腕輪>内に放し飼いしててジャイアントも居るけど、今の状況には合わない。
なので小さくしたり、属性追求したり。
なんやかんやしてたら出来たこの子達。
モンドはリーダーもぐら。いろいろ能力が高い。
グンドは指揮もぐら。軍を率いる能力が高い。
ランドは地属性特化もぐら。土・地に関する能力が高い。
フフフ、ネーミングセンスが光るぜ。
ネーミングセンスというか、辻褄合わせが上手いんだぜ?
うん、設定してないのにこうなったの。
「この子達は、地に親和性の有る魔物だ。
鉱石を掘るのも得意だぞ」
「そうなのか! この鉱石と同じものを掘れるか?」
ヤードのサンプルを元に、もぐら隊を出動させる。
ネームドで<レッドカード>保有個体なので、無茶が効く。
ヤードには、サンプルを持ってきて貰うように頼んでいた為、話が早い。
「ゴブリン隊はそのまま警戒を。
ユニはこっちに来といてくれ。
フォルトゥーナ、なんか感じる方向はないか?」
「キュ」
ヤードはマトックで掘り出していく。
あのマトック、スキルが付与されているものだからか、普通に掘るのとは違う光景だ。
なんであんなにポロポロ鉱石取れるのか。
<風属性魔術>で、換気する。
<地属性魔術>と混合することで、より効果が増す。
アスベスト被害とかなど、引き起こす訳がない。
……最初から、そんな病気にかからない肉体だけどね?
フォルトゥーナがここ掘れウサウサする方向に、<地属性魔術>+<錬金術>で、鉱脈を掘っていく。
おっ、<罠之技術>に含まれる落とし穴の力も使えるのか。
それらを<採取>スキルで統括して使用し、鉱石を得ていく。
うん、<採取>スキル便利。
<建築>スキルも使って、坑道の堅牢さを確認しつつ、対応していく。
掘り出した鉱石を、<錬金術>で錬成し、インゴットに変えていく。
「おっ、お帰り。結構取れたみたいだな」
クークー言ってるもぐら達から、鉱石を受け取り撫でる。
うん。質の良いものだな。
良くやったなー、お前ら。
……睨むなフォルトゥーナ。マスコット役はお前だけだから。
怯えてるじゃないかこの子達。
君、配下の魔物の中でも一二を争う程の強さだからね?
新入りのリチャードは除くけど。
鬼回避に不幸付与で弱体化させてからのウサキック。
対空どころか、空中を足場に出来るうさぎさんだからね、君。全身武器だし。
「おう。随分取れたな。これらを収納してくれ。
帰ったら、きっちり仕事するからな。
ただ、移動時間や冒険者ギルドでのこと考えたら明日になるが、構わないか?」
「大丈夫だ。急ぎでやられるよりも、しっかりと作って欲しいからな。
宿は延長出来るよう取り計らってるし」
「そうか。帰ったら、最高の鍛冶が出来るよう準備する。
まずは鉱山を出よう、帰らないと話にならんからな」
さて、何も問題が起こらないと良いがね。
「よし、無事に帰ってこれたな」
あっ、何も起きない方でしたか。
フラグじゃなかったのか……。
3/23
献血してきました。
作中のレッド君は、かなりの量の血液を失いつつ攻撃に利用し、セルフ輸血してます。
どんな子でも真似してはいけませんからね?




