第116話:セイレル鉱山リザルト──<工作>先生にお願いして偽装工作
17日目:セイレル鉱山
「これでリッチを撃破……と」
呪術師を呪詛で塗り潰し、<呪之真髄>のテストと、意趣返しも出来た。
<直感>が反応して、ちょっぴりイラッとしてたからなー。
気分はかなり良いけどな!
1、<呪術>を解析し、<呪之真髄>が本格的に使えるようになった
2、<死霊魔術>を解析した。
3、ユニとは異なる<精神魔術>を解析した。
4、リッチの素材、呪いの武器が手に入った。
5、<剣術>が物凄く成長した。
6、リチャードが手に入った。
加えて、予定が未だあるしな。
良い方の予定。
7、鉱物の採掘。
8、ヤードの鍛冶技術を盗む。
9、ヤードに盾を作ってもらう。
うむうむ。
きちんとリッチの死亡? リッチ=ウォーレスの消滅を確認したし、まずはゴブリン隊の治療だな。
「みんな、ご苦労だったな。お陰で、リチャードとの戦闘に邪魔が入らず戦えた」
「ハッ! 有り難きお言葉です」
ホリィが解呪していたが、呪いというものはこびり付くものだ。
<呪之真髄>の運用試験も兼ねて、呪いを解呪していく。
……うん、対呪い系統の武器が作れそうだな。
浄化系とは違った、呪いで作る対呪い。
つーか。
「アウト、お前随分とグーパンチ使えるようになってんなー」
「日々鍛えてるっスからね」
「ほほう、では次の段階に行こうか」
「ヒィ!? なんかヤバい雰囲気感じるっスよ!?」
流石アウト。<人間ヲ嫌ウ者>による隠蔽を乗り越えてよくぞ感じ取った。
「いや隠す気ないじゃないっスかー」
まぁ、次の段階はかなりキツいだろうけど、ランク4になったし、イケるだろう。
弱点を埋める訓練だしな。
呪いを弾きまくってた幸運うさぎさんもモフッてあげる。
「キュ」
縁の下の力持として、こっそりリッチを<ドレイン>してゴブリン隊の手助けをしたり、ヤードが目覚めないように対処していたユニも撫でる。
ロリ身長のユニは撫でやすい位置に頭がある。
なでなで。
「ユニも頑張りましたよー」
さて、後は隠蔽工作だな。
リッチの死体から、まずは魔石だけ取り出してっと。
「リチャード」
「お呼びですか?」
ゴブリン隊と挨拶していたリチャードを呼ぶ。
リチャードの物腰は凄く柔らかい。
好青年であるが、それは回りへの関心が薄いのが要因であるようだ。
関心がなく、素の性格が良いからこそ、英雄に仕立てあげられた。
今は憎悪を秘めた剣狂いだけど。
ゴブリン隊との相性は悪くないようだ。
俺と戦い、俺を傷付けたことは気にしていないらしい。
俺が望んでやったことだからな。
エル:非推奨であることに変わりは有りません。
……すいませんでした。
リチャードとの相性が良いのは、センシとソウシのようだな。
あの2人は普段から鍛えることに関心が強い武人気質だ。
剣術を追求するリチャードと、馬が合うのだろう。
馬乗るのはキシだけど。
「リチャード、取り敢えず情報を送るぞ」
「情報……ですk────これですか」
エルがテンプレートとして分けて保存している情報ファイル(簡易)をリチャードに送信。
お、リチャードはアンデッドだからか、情報ファイル。
圧縮した情報の受信と解凍への耐性が有るようだ。
これ、無茶すると人格崩壊したりするやーつだからな。
まともに食らって平気なのはコミカル時空の住人ぐらいである。
「ん? なんスか?」
「ある程度事情は把握したな? おいおい伝えてはいくが、まずはやられたアンデッドの振りをしてくれ。
あっちにいるドワーフの目を欺くためだ」
「畏まりました。
……これで良いでしょうか」
うん。死んでいる死体の振りが良くできている。
うん。日本語がおかしいのではない、状況がおかしいのだ。
「ユニ、ヤードを起こしてくれ」
「はーい。<お目覚め>」
<精神魔術>を用いて、ヤードを起こす。
というよりは、起こさないようにしていたものを、元に戻す方が正しい。
「あ……うん? ……!
レッドか! 奴は! リッチはどうなった!?」
「無事に倒せたぞ。魔石はこれで、死体はあれだ」
「……おお! 本当だ! というかお前首切られてなかったか!?」
「あれは幻術だ。俺の奥の手の1つだ」
幻(のように見える操血)術である。
「げっ、幻術? ああだから平気なのか。びっくりしたぜ。
……あれが元英雄とかいうアンデッドか。
あれもよく倒せたものだ」
「リッチが操っていたから、実力を発揮できなかったようでな。
俺でも倒せたよ」
「そうか。倒せたなら良かった。
俺はふがいねぇなぁ、昏倒しちまって。
役に立てなくてすまんな」
「こっちこそ悪いな(起こさず昏倒させたままで)、守りきれなくて。
ただヤードの仕事はこれからだろう?
俺達の仕事は果たした。そちらも頼む」
「おお! そうだな! 勿論きっちり仕事はさせてもらうぞ!
レッド達は体力大丈夫か?
激戦だっただろう?」
「そうだな、1度休むとしよう。
あのアンデッド達は収納しておくぞ」
「その方が良いだろうな。あのアンデッド達、一応ギルドに見せることになるだろうが……提出はするのか?」
リッチの残りを収納し、リチャードを収納する振りをして居住スペースに送る。
リチャードの情報は、俺の配下達に通達されているから大丈夫だろう。
エルさんは敏腕なのである。
「いや、死体の状況から俺の手口を明かされても困るしな。魔石も使い道が有るし、武器も使えそうだから、軽く見せて終わりだな」
契約条項に、俺の戦果に文句を言わないこと(表現はもっとマイルド)を盛り込んであるので、ぎゃーぎゃー言おうが無視である。
多少心証が下がろうが、やることやってるので文句は言わせないし、そもそも言えないし。
「そうか。まずは落ち着ける場所に移動しよう。
あっちに鉱夫の休憩部屋があって、そこはゴーレムが出ない対策がされている。
リッチがなんかしてたら問題だが、取り敢えずは行ってみないか?」
「俺はそれで構わない。行こうか」
レッドールを回収し、ヤードの指示した方向へ向かう。
うむ、ヤードの物分かりが良くて助かるな。
それにMAP情報では、休憩部屋は荒らされては居ないようだ。
軽く身体を休めよう、再生しまくったから新品みたいなものだけど。
おなかすいたなー。
ユニ:えーと、この人を起こさないようにして。あっリッチが魔術打ちそう、<ドレイン>! あっ起きちゃう! 眠ってて! <精神魔術>対策は要らないから、<呪術>を弱めるようにこっそり<ドレイン>して……けっこう忙しい!?
でもレッド様のお役に立ててます!
ってレッド様ァァァァ!?




