第109話:セイレル鉱山──激突
17日目:セイレル鉱山、鉱山内部
ランク7、そしてレベルはMAX。
おかしい、あり得ない。
この世界イリガルドでは、魔物が何かを使役したり、支配下に置けるのは自分のランクよりも下位のみ。
召喚・使役に特化したものでも、同ランク帯のものが限界のはず。
そしてリッチのステータスはこれだ。
【ステータス】
個体名:ウォーレス・ミルワード
性別:男
種族:リッチ・ハイ・カーサー(リッチ種)
レベル:60
ランク:6
ステータスはやはり魔術師寄り、種族名から考えるなら呪術師寄りだ。
リッチの中でも、<呪術>に秀でた種族なのだろう。
スキルも、<呪術>が一番レベルが高い。
というかエクストラスキル<呪術之法>なんてものを持っている。
<精神魔術>も使えるようだ。
つーか名前、分かってたけどやっぱり元人間がリッチに変質して生まれたタイプかよ。
「リライガ……王国? 確か数百年前ここらにあった国の1つ……か?」
「資料を読んだ事がある。
その昔、武で名を馳せたそこそこの国だった筈。
だがクーデターと魔物の氾濫が重なって国の体裁を成せなくなり滅びた国だ」
「ククク、ヨク知ッテイルデハナイカ。
ソレデハ歴史書二書カレナイ事ヲ教エテヤロウ」
おっ?
いきなり攻撃した割には、話したがりだ。
それだけリチャードという剣豪アンデッドに自信が有るのだろう。
ランク7となると、Bランク冒険者。
才能の壁を越えた少数の強者が必要となる。
英雄未満なレベルだ。
しかし、冒険者ギルドや、紙媒体で調べられる所で、変態的読書法を用いてまで情報収集した成果が出たな。
国が滅びる時、それは主に3つ。
内乱。
外からの侵攻。
そして、災害。
災害は、自然災害と、強烈な個による蹂躙。
最後に、魔物による被害だ。
冒険者ギルドは、魔物による被害に対する壁でもあるため、表面的な情報なら集められた。
その中に、リライガ王国の件も有った。
このまま、語ってくれるならそれでいい。
何か時間稼ぎの必要も有るのだろうが、こちらもまた時間が欲しい。
<思考加速>による時間感覚の違い、それは中々大きいぞ?
──────────
ペラペラと、饒舌に話すリッチ=ウォーレスの話を纏めていくと、こうだ。
ウォーレスはリライガ王国の呪術師であり、リチャードはリライガ王国の英雄であった。
リチャード自身は、剣が好きで、剣術が好きなだけの人間であった。
その剣の技術を用いて、誰かを守るのを好んだ男であった。
剣の才能に恵まれ、その気質を気に入った剣の神に加護を授けられ、みるみる力を増していった。
その力は、リライガ王国の首脳陣の目に留まり、英雄として認定された。
リチャードはただ、剣を振り続けただけだが、周りの見る目が変わっていった。
そしてそれを妬むものがいて、利用するものもいた。
妬むものはお約束な連中。
利用するものは、ウォーレスである。
優秀な呪術師で魔術師(自評)であったウォーレスは、リチャードを操った。
しかし、リチャードは強かった為に失敗。
それすらも予期していた頭脳明晰なウォーレス(自評)は、国民側に働きかけ、リチャードの評判を落とした。
リチャードは剣を振り続けただけだった。
しかし、周りの見る目が変わっていった。
裏切られたリチャード。
それでも剣を振り続け、守り続けたリチャードに待っていたのは、裏切り。
リチャードは前に立つ敵を、その技剣で切り伏せ、後ろに守る味方の筈の国民に切り裂かれた。
そこを見事狙ったウォーレス(美化しすぎ)!
リチャードをいい感じに操り、閑職に回されて苛ついていたウォーレスがリライガ王国に復讐した。
リチャードの復讐心を高め、裏から操り王国を混乱に陥れた。
ついでに魔物の氾濫が重なって、復讐どころの騒ぎじゃなくなったので、ウォーレスも焦った。
しかし! こんなこともあろうかと(ホントかよ)呪術師として修めた技術を尽くし、魔物への転生を図り……成功した!
「今ソコニ居ルリチャードハ、加護ヲ失イ過去ノ力ソノママデハナイガ、ソノ身二培ワレタ技術ハ衰エモ無イ!
リッチト生ッタ今コソ!
我ハ世界二覇ヲ唱エルノダ!」
うわ、俗物だよコイツ。
しかも、なまじ優秀だっただけに面倒なタイプ。
「ククク、クックック。
オ付キ合イ頂キ感謝シヨウ。
オ陰デ調整ガ整ッタ。改メテ告ゲヨウ。
ヤレ! リチャード!
ソノ剣ノ腕ヲ見セ付ケロ!」
「アアアア゛!」
ある程度の推定と確定は出来た。
さあ、殺ろうかリチャード。
お前のその憎悪、実に俺好みじゃないか。
1、作者は影響されやすい。
2、現在、GJ部という作品を読み返している。
3、言いたいことが、分かるな?
気を付けてますけど、影響され過ぎたらごめんなさい。
特に部長の口調や好みが移って来ます。
GJ部(変換可能)という作品は、キャラクター重視の4コマ小説です。
すごい作品です。アニメ化もしてます。
新木伸先生(変換可能)による作品です。
この先生の作品は大好きです。




