第107話:セイレル鉱山遭遇──ゾンビ編
言い訳などしない。
何故なら僕の認識では、1日とは寝て起きたら過ぎるのだから。(盛大な言い訳)
17日目:セイレル鉱山、結構奥
「ふぅ、ゴーレムはなんとかなったな」
「このゴブリン達、戦い慣れてんなぁ。
武器は余り対ゴーレム向きじゃないってのに。
あっ、レッド。このゴーレム達の素材は役に立つ。
余裕があるなら持って帰ってくんねぇか」
ゴブリン達が普段訓練している相手は、お互いと、ゴーレム。
俺が設定したゴーレムには、今の敵ゴーレムのような相手も居る。
対ゴーレム経験値なら、余程ゴブリン達の方が上である。
だって自分で操ったのと戦ってもねぇ?
戦闘ルーチン組んでるの俺だから、自動行動にしたところで分かっちゃうし。
『紅の部屋(通常訓練部屋)のゴーレムならともかく、紅血の間のゴーレムは酷かったっスからねー』
『正しく訓練の力が出てるなら良いじゃないか。
しなやす、という言葉もある』
『オイラ達リスポーンしてるだけで死んでるっスからね!?』
バット型の<土棍杖>を仕舞い、ゴーレムを収納していく。
うーむ。ゴーレムの魔石は、クセが有るな。
その代わり、ゴーレム(味方)や、レッドールと相性は良さそうだ。
ちなみに、コイツらの種族名はマイン・ゴーレムという。
最初名前見てビビり、スキル欄を見て首を傾げ、和名を見てスッキリした。
鉱山石人形。
マインは鉱山のことだった。
それ言うなら、ゴーレムって胎児だしな。英語ではなくヘブライ語という言語だけど。
ゴーレムの始まりとかを突き詰めていくと、アースの宗教にも関わってくるので、ここで話を打ち切ります。
きな臭いので。
間違えた。
単に、辺りが臭いのです。
『ギュ』
フォルトゥーナな変な声を出した。
「腐臭、か」
「チッ、ゾンビが居やがるな。
鼻がバカになりそうだ!」
俺は<感覚強化>がスキルを統合し、<感覚強化・保護:全>を持っているため、臭いに対する保護も効く。
が、臭いものは臭いのである。
水・地・風・光・無属性複合魔術。
「<消臭空間>」
空中に存在する、臭いの根源を、水と地で化合。
風は、それらを集め、排出。
光はそれらを浄化。
無属性で統括。
魔力消費は対したことないけど、難易度莫高。
エルにお任せコースだ。
「器用だなお前さん。だが本気で助かる」
『キュー(ふー)』『フォルトゥーナちゃん大丈夫? 臭いけど、そんなにかなぁ?』
ユニは<苦痛耐性>有るからな。
そして今までの経験。
改めて言おう。
耐えれることと、平気なことは違うんです。
「出てきたぞ」
「あれは! うちの鉱夫と奴隷達だ!」
「ヤード、悪いがあれはゾンビだ。
殺るぞ」
「……分かってるさ。ただレッド、あいつらは腐敗がまだ進みきってねぇ上に、ゾンビ化してるからある程度分かっちまう。
……傷付けずに、殺せねぇかな。
身体だけでも返してやりてぇ。
勿論、無理強いはしねぇ。ずっと無理言ってんのは分かってんだけどよ。
実際見ちまうとな」
ハンマーを構えながら、プルプルと震えている。
奥歯が砕けそうな程に、噛み締めている。
ふむ、おっさんの、人間の好感度なんぞどうでも良いが、良くしておくに越したことはないか。
「1つ、試したい事がある。
失敗したら悪いが、上手く行けば簡単に、無傷に終わる」
「……ありがとな」
「礼は後だ、来るぞ!」
ゾンビがめっちゃ速く迫ってくる。
うん、知ってた。
ノロノロ動くわけがない。
肉が腐っているが、リミッターも体力もなく。
しかも今は操られている状態だ。
生者に群がる亡者の本能と、上位者からの命令により、その動きは生前とは比べるくもなく速い。
速い……が、元が一般ピーポーに近い鉱夫と奴隷。(冒険者ゾンビは居ない)
あまり速いとは、言えねぇなぁ。
さて。
まずは<レッドの腕輪>から、お水を取り出します。
<混合水>
<魔水:浄化>と<聖水>がとある混合比により混ぜられた水。
高い浄化能力を持つ。
結構な量。水って、重いんですよ。
まあ浮かせてるから関係ないけど。
<混合水>に、更に光属性を付与。
この水を操り、ゾンビどもを包む。
「「「────────!!!!!」」」
これだけの大量の水を操るのは大変だが、その一部は俺が作り出した魔水。
操作難易度はガクンと下がる。
ゾンビの数、計18体。
ランク3であり、特異な能力を持たない、リミッターが外れた力と体力が有るだけ。
特攻となる水を浴び、動きが鈍ったところを更に囲う。
「<水乃牢獄>」
まぁ、安直な魔術だ。
ただし、全部囲った後は牢獄として設定すると消費を抑えられるのだ。
そして重要なことが一杯。
水で浮いてしまい、力が入らず動けない。
特攻の水で継続ダメージ。
叫び声が聞こえない(ココ重要)
臭いが閉じ込められて臭くない(ココ凄く重要)
「……コイツぁ、すげぇな」
「死んだ、いや屍体に戻ったと言うべきか。
ほぼ無傷で終わったぞ」
「ああ、ありがとう。……収納できるというか、してくれるか?」
「構わないよ」
別に拒否感がある訳じゃない。
死体となった人間はいい人間だ。
襲ってくる人間や人間の死体は悪い人間だ。
とはいえ触りたくないので、水ごと収納。
「これで、戻ればコイツらは遺族に引き渡せるな」
「おいおい、目的忘れてねぇか。
俺たちの目的は、元凶だろう?
なぁ、リッチ」
「なっ!?」
ゾンビと繋がっていた経路の先。
そこには、リッチと呼ばれる魔物が、居た。
「ホウ。気付イテイタカ人間ドモ」
とりあえず殴りたくなった。
レッド君は、そもそもがそもそもなので。
元が人間であるゾンビと相対しても、普通に殺せます。
というか人間自体殺す気なので殺せます。
遅れた理由選択肢
1、テレビ見てて忘れてた
2、ゲームしてて忘れてた
3、花粉症酷くて忘れてた
さあ! どれだろう(ごめんなさい)




