第106話:セイレル鉱山探索
17日目:セイレル鉱山、入り口
視点:???
ほう。スケルトン軍団があっさりとやられた。
光魔術を併用した棍撃とは、エクソシストらしいことはらしいが。
ドワーフはこの鉱山関係者だろうが、その回りにいるのは、従魔か?
ゴブリン系だろうが、エクソシストは従魔を殆ど使わないはず。
妙な角ウサギも居るし、冒険者か?
ククク。
また冒険者が来たか。
ドワーフ、依頼者か協力者かは知らんが、良い素材どもだ。
我の手駒に奴がいる限り、我がやられる筈がないというのに。
クックック。
冒険者はちょうど良い手駒となるだろう。
せめて、ゴーレム如きには負けてくれるなよ?
──────────
「レッド、鉱山内部にはランタンが付いているが、壊されていたり、寿命切れのものも有る。
灯りの当ては有るか?
出来れば火以外のものでだ」
「ああ、幾つか有る。
用意しよう」
鉱山内部では戦いにくい魔鳥編隊はそのまま、空からレイスを刈りつつ警戒に。
鉱山内部、入り口はかなり広く、内部も整備されている。
内部の地図は頭に入っている(正しくはエル任せ)し、現在進行形でMAPを更新している。
鉱山ってのは、ガス爆発的なものが付き物だ。
この世界では、光属性を付与したライトが重宝される。
勿論、俺も作っている。
「まずは<光灯>。
んで、<携帯魔灯>を幾つか」
懐中電灯の、電気ではないので魔力・魔素バージョンだ。
手に持つタイプではなく、肩に着けたり、頭に着けることが出来るもの。
1つの方向のものと、全方向のものを用意している。
俺は頭に、ユニは肩に。
ゴブリン隊にも着けさせ、ヤードにも渡す。
イメージは探検隊のライトでOK。
「お前さん、便利なもの持ってんなぁ。
俺の用意してきたものより使いやすいわ。
光量も強いし、うん。悪くねぇ」
まぁ、実は光源無くても見えるんだけどね?
ある程度なら。
暗視は効くし、その他感覚器官も発達・再構成してるし。
ユニも、種族特性のオールメリットで、暗視が効く。
まぁ、備えと言う奴だ。
「ふーむ。施設も内部も荒らされていないようで何よりだ。
ただ、戦闘痕は幾つか有るが……やはりこの方面だ」
「……ヤード、ここの地理はどこまで把握してる?」
「あん? 大体は把握してるぞ。今でも時折来てるからな」
「内部構造が、見せて貰った地図と合わない。
変えられている」
「何!? こっから解るのか?」
「ああ、反響等でも把握できる。マッパー系のスキルも持っててな。
逐一教えていくが、今までの知識が当てにならないことを念頭に進むぞ」
「おう。クソッ、俺たちの鉱山で勝手しやがって!」
憤るヤードを横目に、鉱山を進んでいく。
戦闘痕が残る方向から、アンデッド特有の気配が漂ってくる。
臭そうだなぁ、やだなぁ。
一応、シャットアウトは出来るけど、なぁ。
内心管を巻き、粉を巻きつつ進んでいく。
「道しるべか、ありがてぇが、本当に色々用意してんだな」
「当然だ。打てる手は打っておくべきだし、その為のアイテムは多いに越したことはない。
まっ、アイテムボックスが有るから出来る力わざだがな。
この粉は、錬金術アイテムで、数日で効果がなくなる代わりに、魔物とかでも消しにくい素材だ。
光源にはなりにくいが、道しるべには充分だろう」
非常灯代りにもなる、便利なアイテムだ。
うーん。腕輪ではなく、お腹にポッケでも作るべきだろうか。
!
「微震を感じる。気配は薄いが、物体を感知。
ゴーレムとやらか」
周囲に張り巡らしている<光灯>を前方に飛ばす。
「! 鈍色のゴーレムか!
ここではある程度強い奴……が複数!?」
「計10体。どうやら、追い立てられて来たようだな」
装備を換装。
<土棍杖>
ランク:レア
スキル:<打撃:強化><土力不裏切>
地属性の打撃棍。<杖術>兼用。
ネタ武器シリーズである。
ネタである武器ほどノリに乗って強くなる不思議である。
ゴーレム、か。
魔素溜り等から生まれ、形成された魔石を中心に、無機物で構成された魔物。
ふーむ。
俺はゴーレムを作り出せるけど、ふむ。
無駄のない構成、だが、余裕がなく、ブラッシュアップの余地はあるな。
だが、自然に作られたが故に、参考に出来る部分もある。
ちなみに、坑道は4メートル近い。主となる道だから、大きく広く作られている。
その坑道の半分以上を埋めるゴーレム。
3メートル近い大きさ。
一応は人の形に近いが、腕が大きく、足は太く短い。
頭部に当たる部分は小さいと言うか、恐ろしく撫で肩というか。
クッ、エメトがねぇ。
ズルは出来ないか。
仕方ない。根性入れて、<土棍杖>で行くか。
ついでに、光の矢を放ち、うろちょろしていた死体鼠を打ち抜く。
もーちょい気配隠せや。
さあ、ゴーレムども。
テメーラの全てを見せてみろ。
ただし、坑道を破壊しない程度にな。
──────────
視点:???
なっ!
眼に気付いただと!?
偶然か?
鼠を囮に、不可視の眼を作っていたと言うのに、光の矢に打ち消された。
たまたま軌道上に当たったのか、それともわかって放ったのか。
すぐにゴーレム達の反応もなくなった。
どうやら、歯応えのある素材のようだ。
「出番ダゾ、リチャード。
貴様ノ務メヲ果タセ」
「…………」
ふっ、返事もなしか。
仕方ないな、あらゆる思考を封じ込めているのは我なのだから。
ククク、クックック。
さあ、早く来い、人間ども。
我の糧にしてやろう。
レッド:なんか今凄いイラッとした。
アウト:アニキ<超直感>持ちっスからねぇ。
作者:視点を???にした意味ないと分かっていても、???にしたかっただけなんだ。
あと、カタカナ大丈夫だろうかという、実験。
長くなるとめんどくなりそうだけど、キャラ付けになる。




