第102話:対アンデッド装備を整えよう──相手に合わせて装備を変えるのは当然です
16日目:都市セイレル、市場
『レッド様。アンデッドの対策は、何をするんですか?』
『まずは、新しい装備だな。
魔石もかなり増えたし、対アンデッド用の装備を作る。
<光属性魔術>は、普通に使うだけじゃ対アンデッドにならないんだけど、イメージを上手く使うことで浄化の力を持たせることが出来るんだ』
『それを付与するんですね!』
『そして、ユニの<ドレイン>もだな』
『ドレインが使えるんですか?』
『アンデッドってのは、負の生命力で動く。
その生命力を散らせば単なる死体に戻るらしい。
俺も実際に遭遇したことないからなんとも言えないけれど、<ドレイン>はかなり使える筈だ』
『ユニもお役にたてますか!』
『凄くたてるだろうね。頼むよ?』
『はい!』
ユニとお手て繋ぎつつ、食材を買っていく。
ちなみに、お塩も買っている。
そのままじゃ効かないよ?
聖別されたお塩とか、念の込められたお塩とかなら効くけど。
あとは聖水とかも効くらしい。
聖水は基本的に非売品だけど、教会に行けば貰える。
寄付すればね。
関わりたくはないけど、聖水は持っておきたい。
コピー出来るかもしれないし。
あっ、<回復魔術>が効くと思っている、よく訓練された人が居るかもしれないが、残念ながら効きません。
まず効力を発しないし、発しても綺麗な屍体になるだけです。
……そのままなら、ね。
やりようは有るのだ。<光属性魔術>と複合するとか。
回復のイメージを、負の生命力と中和させるイメージに変えるとか。
今回は魔物達も動員する。
そいつらの武器も用意しなくては。
食材だけでなく、<錬金術>用の基材や、ポーション用のアイテムも買っていく。
装備関連は、良いのはなかった。
──────────
「すみません」
「当教会へようこそ。本日はどのようなご用件でしょうか」
来ちゃった。はーと。
……くっ、自分にダメージが入ったぜ。
<精神耐性>抜けてくるとは。
そんなお遊びを内心しつつ、都市セイレルにも幾つか有る教会に来てみた。
ここはあまり過激ではない方の教会。
過激な方は、うん、行きたくないわ。
大地の神を奉じてる教会だったか、ここは。
「本日は聖水を分けて頂きたいと思いまして。
話を聞いて、備えを用意しようと。
こちらは、関係ないですがお布施です」
建前って大事なんだ。
嘘つきは泥棒の始まり。建前は大人の始まり。
大人は勝手な生き物さ。
……俺こんな現実逃避するほど教会勢力嫌いだったかな?
俺の神を、神の座から引摺り降ろしたのが、他の神の手引きってのが気になってんのかね。
「これはこれは。ご丁寧に。
聖水でしたら、こちらへどうぞ」
教会の中へ案内される。
というかシスターじゃなかった。
おっさんだったよ、うん。
せめて可愛いシスター(人外)であって欲しかった……ッ!
そんなことをおくびにも出さず、聖水を受け取る。
お布施を弾むと、対応が良いね、全く。
「これをお持ちください。
ただ、聖気はある程度持ちますが、消耗品です。
お気をつけください」
「どうもありがとうございます。
こちらもどうぞ。
オークを来る途中で狩りまして。
その燻製肉です」
教会勢力は、普通に肉食べるし、酒も飲む。
願掛けしたり、断ちを行うものも居るけれどね。
スキルに関連したり、信仰に関連したり。
ここは大地の神を奉じるだけあって、食べ物は自由。
育てよ、増やせよ、そして食べよ。
邪魔な魔物は駆逐せよ。
魔物を倒し、食らうことは奨励されるらしい。
「これはこれは。貴方は信仰が厚いようですね」
信仰というかね、あの神なら大好きだよ。
あなたの神ではないがな。
イラつく精神の一部を、お肉の燻製について考えて落ち着かせる。
燻製は大変だったぜ(棒)
時間を変え、木材を変え、水を変え、魔術を変え、量を変え、お肉を変え。
肉の部位や、オークの種類とかも変えたり。
不思議だったのが、フォルトゥーナの角。
フォルトゥーナが、力を込めて抜いた角は豊穣の角になるんだけど、その角を粉末にして、燻製に使ったら肉質良くなったんだわ。
それを食べたフォルトゥーナは喜んでた。
角をもっと作り出した。肉食うさぎ……。
そんな感じで精神の一角を落ち着かせつつ、口がやけに軽くなった聖職者から、色々聞いていく。
わりと有用なことも聞けた。
情報収集は大事だね、本当に。
程ほどでお暇して、宿に戻る。
帰って聖水の解析と、対アンデッド用の装備を生産していかなくてはな。
一応書いておきますが、特定の宗教になんだかんだとか、宗教そのものをおとしめたい等とは一切考えておりません。
単に主人公が宗教、というか他の神が嫌いなだけです。
例外は創造神様辺りぐらいです。
多分、これからもちょくちょく教会勢力が出てきますが、基本敵対しそうですねー。
こんな筈ではなかった(キャラが勝手に動き出す現象)




