ありきたりなプロローグ
なんか始めてしまった。
人間が嫌いだった。
ただただ、嫌いだった。
嫌いである理由は、特にない。
嫌いであることを加速させたことは、幾らでも語ることが出来るだろう。
しかし、何故嫌いなのか。
その問いに関する答えは、至極単純にして、複雑怪奇。
生まれたときから、嫌いだった。
そこに、明確な理由も動機付けもいらない。
パブロフの犬がごとく、環境により形成されたものではない。
近い表現ならば、蛇を嫌う人間は多いだろう。
それは、猿から続くとされる遺伝子において、樹上では、蛇は天敵であり危険な生物だから。
そのため、蛇を忌避するという理屈がある。
しかし、オレにとって、そんな理屈もなにも、関係がない。
何故だか不思議なことに、物心ついたときから、人間という社会的生物が嫌いであった。
それだけだ。
だからこそ、だろう。
『───異世界に行き、人間を滅ぼしてほしい───』
そんな、真っ当な人間ならば頷くことのない問いに。
「良いだろう、条件次第だ」
そう、即答したのは。
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これは、特に理由もなく、人間が嫌いな元人間が、異世界の人間を滅ぼすために、異世界でチートとダンジョンを駆使して蹂躙する、ありきたりな物語である。