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ネオワールド③

ネオワールドと言うゲームの世界に入り込んでしまった南有人(みなみゆうと)

始まりの地で出会った少女、キャロと王都に向かう途中、魔物に襲われるが

欲しいと思った物が召喚出来る能力により、一難を逃れる。

目が覚ますとそこは馬車の中だった。


「ん・・・?」


この・・・感触・・・


「良かった。目覚めたんですね。」


この感触・・・ではなく、膝枕で介抱してくれているのはキャロだった。

魔物に件を振るっているときの鬼神のような彼女とは一点。可愛らしい。

俺はどうやら魔物を追い払った後に気を失ってしまっていたらしい。

逃げてしまった馬車の後、後続の馬車に話しをし、そこに乗せてもらって今に至るという話だ。


一旦休憩で近くの町へ、一晩休息をとってから次の目的地へ向かうらしく宿へ来た。



「実際、王都へ着くにはどれくらいかかるんだ?」


宿の中で俺は問う。


「何事もなくて2~3日はかかると思います。」


キャロは答える。


つまり、その間俺はキャロとずっと行動を共にする訳だ。

いかんいかん。相手は恩人だ。変な妄想をしてはダメだ。

どちらにしても先行き不安な俺は、この時間が続いて欲しいと願っているであろう。


「それより、さっきのチカラは一体?」


キャロが問う。実際俺自身よくわかってないのだから、説明しようが無いが・・・


「水が欲しいって思って願ったら水が出てきたんだ。だから剣も・・・って思って。そしたら出た感じだよ」


案の定説明になっていない。そもそもどこかから盗んで着ているのか同じものを複製しているのかとか、細かい原理が俺にすらわからない。もしワープ的な何かであの剣と甲冑をあの武器屋から盗難しているのだとしたら、色々と申し訳ない話ではあるし。色々テストしておきたい。


「ちょっと試してみたいことがあるんだけど、いいかな?」


キャロに問う


「なんでしょうか?」




「「お金をくれ!!」」




俺は小声で言う。

キャロはびっくりした様子をしながらも


「い、いくらくらい欲しいのですか?」


優しい・・・でも今はそういう意味で言っている訳ではないのだ。


「ありがとうキャロ、でもそういう意味じゃなくて、お金を出せるかどうか、試したかっただけなんだ。」

そもそも俺はこの世界のお金を見たこともない。見たことがないものはダメなのか?

俺の中でお金と言えば諭吉だけど、それすらも出てこない。

そもそもこの能力自体に確証がないときたもんだ。



「「水をくれ!!!」」


再び俺の目の前にペットボトルに入った水が現れる。

キャロは驚く。


やっぱりこの能力は確かに俺の中に存在する。

でもなんでペットボトルの水なのかと言われたら、

俺の中では水と言えばペットボトルの水だからなんだと思う。

甲冑と剣が武器屋で見たアレだったのも多分そう。

様は、イメージって事だ。俺の中で合点がいった


「ちょっと、お金を見せて欲しいんだ。」


「はい。どうぞ。」

キャロはお金を見せてくれた。


その見たお金をそのままにイメージし、俺は叫ぶ



「「お金をくれ!!!」」



出ない。どうやらお金はダメらしい。

理由はよくわからないけれど、そんな都合がいい話は無いって訳だ。


キャロが何かを言いたそうにしていたので促すと、


「出会った時の様子も・・・もしかして!」


キャロが何かを本で調べ始めた。待つこと数分


「異世界から来たのですよね・・・?そしてその能力、異邦者の異能の類ではないでしょうか」


キャロは言った。


「その異邦者って一体・・・?さっきも征服者がどうとか言ってたけど、それと関係あったりする?」


疑問をそのままぶつけた。キャロは答える。


「はい。異邦者と言うのは、異世界からやってきた生物を指します。それが人間であるか否かは問いません。ただ共通しているのは、必ず異能を持っていることなのです。」


なんとなく察しはついていた。転移ボーナスのオマケの、

オリジナルスキルみたいなもんだと思えば話は早いのだろう


「そしてその征服者と言うのが、困り者なのです。とても強力な異能を持ち、次々と町や村を征服し、私欲を肥やしている、王都の騎士団の者ですら、太刀打ち出来るかわかりません。」


こちらもなんとなく察しはついていたが、魔王みたいなもんだってのはあながち間違いでは無かったようだ。それが魔族か人間かの違いってだけの話で。ここで俺は横槍を入れる。


「王都の騎士団全員で向かっても勝てないのか?そんなに強い奴にどう立ち向かえって言うんだよ」


キャロは答える。


「直接対決を全面的にしたことは無いのでどうなるかはわかりません。でも私は奴を、征服者を殺さねばなりません。その為に騎士になったのですから。」


俺はそれ以上深入りはしなかった。きっとキャロにも何かあるのだろう。こんなに若い女の子に騎士の道を選択させるような何かがそこに。


「でさ、俺の異能がその欲しいものを召喚する能力だったとして、征服者とやらに勝てる見込みはあるのか?」


恐る恐る聞いてみる


「わかりません。その能力の全てがわかっている訳ではありませんし、王都には他にも異邦者もいます。戦力を整えると言う点からしても、王様に謁見させて貰えるよう、私からもお願いしてみますので。」


王都には他にも異邦者とやらがいるのか。俺は気になった事をそのまま聞いてみた。



「ちなみにその異邦者は、どんな異能を持つんだ?」



「その人の力は私にもわかりません。王都騎士団の団長、副団長クラスにしか知られてはいないようですが、探求者と呼ばれている事くらいしか・・・」


と、キャロが返す。


「そっか。ありがとな。まずは俺、自分の力について探ってみるよ。それで何か糸口が見えるかもしれないしな。今日は疲れたし部屋に戻ってゆっくり休もう。」


そう言って二人はそれぞれの部屋へ入る。俺も色々試したいことがあるので試してみることにした

俺は息を吸い込み小声で言った。



「「キャロの下着をくれ!!!」」



これはあくまでこの能力が相手の物を窃盗するような能力かどうか試してみたかっただけで、下心と言うものは存在しないのだ。あくまで実験である。ちなみに結果は失敗に終わった。

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