ネオ・ワールド①
努力しても無駄、頑張ってもどうにもならない。そんな事実を受け入れ、
惰性で過ぎる毎日、何も変わらぬ日常、そんなものにうんざりしていたんだ。
そう、あの日までは。
俺の名前は南有人、普通の大学1年生だ。
志望していた国立大学に落ち、無難なところを選び、なんとなく学生生活を過ごしている。
大学の中でも特に目立った存在でもなく、かといって全く目立たないわけでもない。
いわゆる普通。そんな俺に変化が訪れたのは数日前のことだ。
その日はいつものように帰宅中、近くのゲームセンターに寄ったのだ。
特に得意なゲームも無いのだが覗いて適当に遊ぶのが習慣になっている。その日も例外なく立ち寄った。
しかしその日のゲームセンターには、異様な雰囲気が漂っていた。
営業しているはずのゲームセンター、いつもはそれなりに人はいるのだが今日は誰一人としていない
「おかしいな・・・」
とりあえず1階のクレーンゲームをグルグル回り、誰もいないので2階に行くことにした。
2階は特に対戦ゲームや音楽ゲームで繁盛していて、人がいないなんて事は滅多にない、
それに、人がいないそれどころか電源すらついていないなんて、ただ1台を除いては。
一番奥に見慣れない筐体があった。人もいる。良かった、と安堵した
そんな異様な空間の、見慣れない筐体、そこには長い髪の少女が座っていた。
この状態と、見慣れない筐体が気になったので店内を回るふりをしつつ、近づいた。
そして、辿り着く。
しかしそこに少女の姿はない、
「!?」
俺は驚いた、しかしゲームの電源はバッチリついている。画面を覗き込んだ。
NEO WORLD
ゲームのタイトルはこうだ。ネオワールド、新しい世界?それとも復活した世界?
どちらにしろ面白そうではない。けれど興味がわいた。新作ゲームなのであろう。
とりあえず財布から100円玉を取り出して筐体に入れた。すると、
「ようこそ、ネオワールドへ、この世界はあなたをお待ちしておりました。」
筐体から声がした。ここで俺の意識は途絶えた。