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北方の魔王  作者: 冬空さんぽ
第一章 βテスト
9/20

第八話 選択

 「装飾品とスキルが多いな、今回も斧は無さそうだな・・・」


 このゲームでこういった形式の宝箱は初めてだったがどうやら同系統のアイテムの中から複数選ぶタイプのようだ。どこかに好きな斧を選ばせてくれる宝箱もあるのかな・・・。

何度も詳細を確認し不必要そうな物と気になる物を宝箱の両脇に分ける作業が続く。


 オンラインゲームにおける報酬選択はかなり慎重にしないといけない、何故ならセーブ&ロードでやり直す事なんて出来ないからだ。

 ましてこのゲームはユニーク装備やユニークスキルが売りのゲームなのだ。

 もし有用なアイテムを見逃しつまらないものを選択してしまったら後悔で3日はおやつが喉を通らないだろう。


 今気になっているのは装飾品だと『大精霊の加護』『美姫のネックレス』『約束の指輪』『翡翠の髪飾り』『黄金の指輪』の5つだ。

 『大精霊の加護』はMP回復力増強とHPを消費してMPを回復する『マジックヒールLV3』を使用可能になる指輪。MP枯渇の問題が解決できると回復剤が枯渇してダンジョン探索を切り上げる展開をかなり減らせそうなので最有力候補だ。

 『美姫のネックレス』は誘惑と幻覚に対する完全耐性を持つネックレス。2つとも使われた事が無い状態異常だがかなり厄介そうだし一つの装備で完全な対策が取れるなら手に入れておきたい。

 『約束の指輪』は特に特殊効果が無い。〝説明欄には報われずとも想い合った2人の約束の指輪〟と書いてある。これは多分この指輪自体に価値があるというよりこの指輪を使うクエスト報酬に価値があるタイプの指輪だ、その内容自体で価値が大きく変わるのでこれを選ぶのは博打とも言える。

 『翡翠の髪飾り』はトラップ回避と風耐性上昇(大)だ。このゲームのトラップは即死級の物が多い為もしこの〝トラップ回避〟の効果量が大きいなら素晴らしい一品と言う事になるが気持ち運が良くなる程度だと正直微妙な装備に成り下がる。風属性耐性も付いているので特化装備と言うわけでも無さそうなのが気になる。

 『黄金の指輪』は未鑑定だ、というのも俺の鑑定のスキルレベルでは鑑定出来なかった。

 スキルレベル的には現状最大のレベル3まで上がっているので熟練度の問題で鑑定出来ないのだろう。

他の強力な装備が鑑定出来てこれが出来ないとなるとかなりの上位装備だと思われる。


 続いてスキルだがこちらは基本的な物が多くそれほど選り分けるのが大変ではなかった。

 そんな中でも気になったのは『暗殺』『達人の見切り』『トロピカルストーム』『断罪』の4つだ。

 『暗殺』は自分の事を視認していない相手に極大のダメージを与える一撃必殺のスキル。

 『隠密』を重用している俺とは相性が良さそうなスキルだ。

 『達人の見切り』は盗賊スキルの『見切り』の上位互換だ。

 俺の持っているあるスキルとの組み合わせが強力なので是非習得したい。

 『トロピカルストーム』は斧専用スキルで広範囲に風と火属性が付与された斬撃を与える。

 斧専用と言う所が良いし2つの属性を持ったスキルは初めて見るので気になる。

 『断罪』は天使系モンスターに致命的なダメージを与えるスキルだ。

 イメージ的にはむしろ悪魔系に特攻効果が付きそうだがこのゲームでは天使系モンスターに効果的らしい。


 悩む、最初三つ選べると聞いた時は選択に困る事などほとんど無いと思っていたが内容が予想以上に良かったせいでいつまでも結論が出ない。

 どのアイテムを選んでも今後のゲーム進行に大きな影響が出るだろう。

 特に『精霊の加護』と『達人の見切り』は常日頃から恩恵があるだろう。

 『美姫のネックレス』はピンポイントではあるが特定の敵で大活躍するだろう。

 『約束の指輪』は報酬次第ではどの装飾品より価値のある報酬を得られる可能性がある。

 『黄金の指輪』はある意味『約束の指輪』に近い博打だ。鑑定難度が高いだけのクズアイテムの可能性もゼロではないがもし違えばユニーク装備の可能性が高い。

 『暗殺』は強敵狩りに最適だし『達人の見切り』はスキルコンボ的な意味で欲しいし『トロピカルストーム』は斧技と言うだけで欲しい。『断罪』はそもそも天使系モンスターがまだ出現していないので未知数だがあえて削るならここだろう。


 思考の渦に飲み込まれ頭に栄養が行かなくなってきたのでおやつを食べながらあーでもないこーでもないと考えを巡らせる。

 もちろんおやつはホワイトラビットの串焼きだ、アイテムストレージの中に保管されていたのでまだ熱々だ。炭の香りと肉の脂が口内を満たしパリッとした皮と柔らかい肉が絶妙で空いた腹に効く。

 串焼きを食べて少し唇をテカテカさせながら再度この難問に挑む、空腹を満たし気分転換にも成功した俺はやや迷いつつも今の俺に必要な物を選択する。


 まず一つ目は『黄金の指輪』だ。やはりただ一つ鑑定不可なこの指輪には何かあると思わざるを得ない。ここは直感を信じてこの指輪に賭けて見ることにする。

 二つ目は『達人の見切り』だ。これを選ぶ事に迷いは無かった。

 三つ目は『トロピカルストーム』だ。正直斧キチの自分でもこのラインナップでこのスキルを選択するのにかなりの意志力が必要だった。

 だけどここで取らずに一生使えないというのは悔しすぎるしもし他の誰かがこのスキルを使いこなして大活躍なんてした日には2日はゲームする気が起きないだろう。


 なんだかダンジョン探索より力を使った気がするし一度休みたいという気持ちも出てきたが今回はダンジョンを攻略し切るまで帰らないと決めていたので頬を手で叩き気合を入れる。

 ここから底の見えないダンジョン探索を再び始めるのだ、気持ちを新たに俺は第七層への階段を下っていく。

 

 

 

読んで頂きありがとうございます。

次回から再び攻略パートです!

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