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北方の魔王  作者: 冬空さんぽ
第一章 βテスト
3/20

第二話 まったりクエスト消化中?

 一般的なプレイヤーはMMOをプレイする時どのようにプレイするだろうか?

 これは人によって違うと思う、人によってはゲーム内BGMを消して効果音だけつけて外部サイトや音楽ソフトを起動してお気に入りのBGMで狩りをしたりもするだろうし。

 人によってはお気に入りの動画シリーズを横目で見ながらプレイする人もいるだろう。

 人によってはSNSやVC、掲示板で交流しながらプレイする人もいる。


 そして俺はと言うと・・・?


 「あー、やっぱり東の平原は人がやばいな」


 東の平原は人人人、人だらけ。

 みんな一斉に東へ行きその東に行った人達に釣られてみんな東へ向かったようだ。

 中にはもう既にPTを組んで狩りをしているグループもあるようだ。


 俺が今何をしているかというとマーズ・オンラインをプレイしている他の実況配信者の配信を見ながらクエストをこなしている。

 βテストの場合ゲームによっては外部配信禁止のゲームもあったりする。

 だがこのゲームの場合特にそのような注意事項は無い。

 多分変に禁止にするより黙認して広告代わりに使った方が良いと判断したのだろう。

 俺は運営じゃないからあくまで予想だが。


 こういう配信で手に入る情報は割と馬鹿に出来ない。

 特に情報の出揃ってないゲームだと尚更だ。配信者自身が様々な情報をくれるしその配信を見た視聴者が配信者にコメントで情報をもたらすので又聞きする事が可能なのだ。

 

 今北に行き全速力でクエストを消化している俺からすればこの配信は情報のの宝庫だ。

 例えば東の平原に居るワーム系のモンスターはレアドロップで防具の素材になる糸を落とすらしい。

 その素材を街に持ち帰るとフラグが立って防具作成クエストが発生するとか!


 (アイテムがフラグになってクエストが発生する場合もあるのか・・・・・・レアそうなアイテムがあったら無闇矢鱈に捨てられないな)


 現状どのアイテムがレアでどのアイテムがレアじゃないか全く分からないのも問題だ。

 確率が偏ってレア扱いのアイテムが複数個手に入り通常ドロップが少なく手に入ってしまう場合ももちろんあるので道具が一杯になった時に考えなしでアイテムを捨てられなくなったと言う事になる。


 (まあ元々貧乏性だし、アイテムを道端に捨てるなんて有り得ないけどなっと!)


 思考の片隅でそんな事を考えつつゴブリンに一太刀浴びせる。

 今はゴブリン掃討クエストの真っ最中だ。今までに5体、10体の討伐クエストを済ませ30匹討伐のクエストをこなしている。

 北に来て感じたのは思いのほか難易度は上がらなかったなって事だ。

 最初から簡単に辿り着ける以上超高難易度とかは有り得ないとは思っていたけれど。


 初心者短剣くんもそろそろ変え時な気がしていた。

 MMORPGの場合最初の頃はレベルの上昇につれて武器を頻繁に変えていく事が多い。

 それはもちろん非VRMMOでもVRMMOであろうが変わらないのだ。

 レベルの伸びが穏やかになってきたら長く使えるいい物を買うパターンだ。


 (武器入手系のクエストとかも受けられたら良いんだけどな、たまに装備を受け取れるクエストがあっても防具ばっかりだ)


 この数時間で実は見た目は結構変わっていた。

 特に靴と外套はなかなか良いものが手に入って見た目的にもかなり見れる物になっている。

 まだAGI+1のような微小の補正が入る装備しか手に入らないがこういうのはこのレベル帯だと数値以上に大きく作用してくる。

 

 例えば今真正面から突っ込んでくる大盾持ちゴブリンくんの槍もAGIがあと1低ければ掠っていた可能性があるけど今の俺なら余裕を持ってかわせるし追撃を入れる余裕すらある。


 これはお互いの命中率と素早さによって相対的にかわしやすくなったりかわしにくくなる為で、今の俺のすばやさだと盾ゴブリンくんとの差が激しいからこういう動きが出来る。


 MMOにおいてステータスは絶対的な壁でその差を覆すのは並大抵の方法では無理なのだ。


 <てれれれーん>


 どうやら今の盾ゴブリンくんで30体討伐終了だったようだ。

 外部配信を見ながら適当に狩っていたのであまり数えず適当に狩っていたがどうやら達成したらしい。


 「でかした!これでこの山脈も大分平和になる!あとは誰かがゴブリンキングを討伐してさえくれれば・・・」


 ゴブリン討伐クエの受付と報告を担当する騎士NPCだ。

 こう言われればもちろん。


 「私に是非討伐させてください!」


 と返すしかない。


 「なんと!だがゴブリンキングは強敵・・・・・・数多の兵をもってしても討伐出来なかった古強者なのだ。せめて仲間を集めた後ここに来てくれ!」


 ええー・・・、ここに来てまさかのPT前提クエストか。

 ボス戦に際してPTを組めと言うのは至極真っ当な意見だしMMOとしては健全な仕様だ。


 だがしかしここゲリュオンにはいまだに自分以外のプレイヤーがいない。

 もし見つかったとしてもあのゴブリン大量討伐クエが前提クエだとしたらそれが完了するまで待たないといけない。

 それはあまりにも手間であるし時間の無駄の様に思えた。


 このクエストを後回しにするのもありだがこのクエスト以外のクエストは一通り消化し終えている。

 であるならば今消化出来るこの街のクエストはを今日中に全部終わらせておきたい・・・・・・。


 仕方がないので一人PTを組む、一人PTとはPT結成ボタンでPTを結成しておいて誰も入れずにPT前提のクエスト等を受注しこなしていく手法の事だ。似た物として一人ギルド等がある。


 本当はこんなに戦力の揃ってない状況で一人PTを組みPT前提のクエストに挑戦するのはかなり無謀だ。

 今までプレイした他のタイトルで得た知識と経験を活かして打開するしかない。


 「おお、よくぞ集まった!これだけの軍勢なら必ずやゴブリンキングを屠れる筈じゃ!後は頼んだぞ!」


 適当だなー、と呆れてしまうがパーティーの規模に応じてNPCの返答を変えるなんて面倒過ぎる仕様のゲームの方が稀である。


 こういうものだ。

 普通のMMOならきっと気にならないがVRMMOだと目の前で居もしないメンバー達にも目線を配ったような動きをしながらフルボイスで聞くのでかなりシュールな光景である。


 そしてここからが少し大変だ、ゴブリンキングを討伐するために予算を考えつつ装備を更新していく。

 当然大量の回復剤を買う予算も考慮しつつだ。

 クエストで武器を手に入れるという目論見は泡と消えた為武器は武器屋で新調する。

 今回は安定を取って長剣だ、え?斧じゃないのかって?

 短剣ばっかり使う機会が多かったので今のステータスは若干AGI寄りになっているのだ。

 バーサーカー等の戦士系ジョブやアサシンなどの近接職は多かれ少なかれ最終的にAGIを振るのが定石だろうし先にAGIを振っておく方針を取っておいた。

 

 だがそのおかげで最新の斧だとSTRが武器を振れる値に達していないので今のSTRで出来るだけリーチと攻撃力と攻撃速度を兼ね備えた長剣にした。


 防具は悩んだが鎧等を最低限購入した、正直ここに割き過ぎると回復剤にまで予算が回らないのだ。

最悪防御力の不足に関してはポーションガブ飲みで切り抜ける!一撃で死ぬスキルとかは知らない。


 そしてポーションを大量購入した、質より量だ。

 幸いな事にここはゲームだからいくら飲んでも吐き気もないのでいくらでも飲めるぞ!

 さあ、準備は整った!あとはボスを蹴散らすだけだ!


 準備も整ったのでダッシュで山脈へ向かいゴブリンの砦を強襲。

 門番や守備兵を新調した長剣でバッサバッサと切り裂く!

 もはや雑魚敵は一撃確殺である。


 そしてあっという間に砦最深部。

 ここに来て空気がガラっと変わった。

 空気が淀み周囲から音が消え自分の足音と呼吸音、鎧の擦れる音だけが響く。

 そしていかにもな大扉、ゲームではボスの前に大きな扉があるものだ。

 様式美という奴だな。


 そして重い扉を少しずつ開けていく。

 暑くもないのに仮想の汗が仮想の肌を伝う。

 呼吸はやや荒くなり胸の鼓動は激しくなっていく。

 これから完全初見のボスに単身挑む、今更だがかなり無謀。

 だがβテスターだからこそ未開に挑み後続の為に少しでも情報を収集すべきだろう。


 そこには【王】がいた・・・・・・。

 他のゴブリンとは全く違う。

 その目が、恵まれた肉体が、その存在感が他種族の全てを蹂躙する為に備わっている。

 彼はきっと生まれた時から王となるべくして生まれたのであろう。

 

 圧倒的な存在感を放つゴブリンに静かに歩み寄る。

 扉の先には玉座の間があった。金色と赤色に支配された間だ。

 見れば部屋の両脇には金色に輝く財宝の山が壁のようにそびえている。


 部屋の主は緩やかに立ち上がり静かにこちらを見据えていた。 

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