表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
北方の魔王  作者: 冬空さんぽ
第一章 βテスト
2/20

第一話 βテスト開始!

 『マーズ・オンライン』

 それは暗黒神に閉ざされた世界を救う為の物語。

 剣や魔法を極め、強大な魔物達を打ち倒し世界を救う。

 まさに王道を往くMMORPGなのだ!

 

 数多のユニークスキルや武器、魔法の数々が売りのVRMMOで発売前から外部サイトは大盛り上がり。

 そして幸運にもβテストに参加出来る事になった俺を含む数千人は今日からこの新MMOで遊ぶ事が出来るのだ!

 βテスト時のデータはそのまま本実装時にも引き継げるので俺はテスト開始を秒単位で待っていた。


 そして開始と同時に決めていたキャラ名、種族(ドワーフも捨て難い所ではあったがオーソドックスにヒューマン!)ビジュアルを設定してマーズ・オンラインの世界へ!!


 辺りを見回すと星の海が広がっていた。

 身も蓋も無い言い方をするとチュートリアルステージだろう。

 目の前の『私が解説担当の妖精です』とフォルムが主張をしている妖精から説明を受けていく。

 まあ普通のVRMMORPGだ、モーションに合わせて剣技が発動するとか習得した魔法を念じれば魔法が使えるよとか。

 

 最速で説明を聞き流しチュートリアル達成報酬の短剣、回復ポーション、マジックポーションを受け取り今度こそセントラルタウンへ!

 ここセントラルタウンは人間の生存圏の中心地でここを中心に円を描く範囲でのみ人間は生きている。

 この円の外は魔境でいつか強くなったらその魔境に繰り出し暗黒神を倒しに行き世界に平和をもたらすのがこのゲームの本筋と言うわけだ。

 

 βテスト開始直後なので当然クエストの情報など皆無、全力で走り回ってクエストを受注していく。

 幸いな事にクエストが受注出来るNPCには電球アイコンがついているのでそのアイコンをつけたNPCにだけ話しかければいい。


 そして受注したら速攻で都市を周っていく!

 序盤と言う事もあってお使い系のクエストが多い、街中で済む用事なら頼まずに歩けよとか無粋な事は考えず他のプレイヤーよりも早くこなせるように走りながらもどの順番でクエストをこなすか考えながら走る。

 お使いが終わったら討伐系依頼と収集系依頼だ!

 まだ序盤だから懇切丁寧にどこで出現するモンスター、またはアイテムかを丁寧に教えてもらったのでスムーズに現場へ辿り着き初期武器でもガンガンノックバックするウサギや狼達をサンドバッグのように殴り続ける。

 

 序盤のこのスキルを多様しない地味な狩りもなかなか趣があって良い。

 MMOやってるって感じがして好きだ。

 たまに見た事がない素材アイテムがあったらとりあえずとっておくんだけど後になって大した使い道が無いと知って倉庫の肥やしになっちゃったりする展開も中々嫌いじゃない。


 そんなこんなで目に付くクエストは大体こなし終えた。

 レベルも5まで上がり街周辺のモンスターでは物足りなくなってきた。


 東西南北どこへ行くか?それが問題だ。

 セントラルタウンを中心に東西南北に一つずつ街があるのだ。

 北にはゲリュオン山脈が広がりその山脈から名を頂いたゲリュオン。

 東にはイシディス平原から名を頂いたイシディス。

 南にはソリス湖から名を頂いたソリス。

 西にはノクティス迷路から名を頂いたノクティス。


 イメージ的に序盤は平原、東のイシディスの方が難易度が低い敵が出るイメージがある。

 これは様々な作品に共通するイメージだと思う、もちろん外れる場合もあるが湖や迷路には明らかに中級者以上を対象にしたダンジョンがありそうだ。

 なので堅実なプレイヤーならまず東に向かうだろう。


 だが俺は北へ行く。

 何故なら他のプレイヤーに邪魔されず探索やレベリングがしたいからだ。

 前評判でユニークスキルや武器がこのゲームの魅力のひとつであると聞いていたので人のまだいないこの時期に未踏の地に踏み込んでいけば一つや二つぐらいユニーク武器が手に入るのではないかという打算もある。


 俺は斧が好きだ。

 武器の中では斧が一番大好きだ。

 両手で肉厚の禍々しい大斧を振り回すのは至高だし大盾に片手斧の組み合わせには渋さを感じる。

 もしユニーク武器が手に入る機会に恵まれるなら絶対に斧がいい。

 欲を言えば強そうな大斧が良い。


 様々な期待を抱きつつも北を目指す。

 途中で出会ったモンスター達はばったばったと初心者用短剣で切り倒していった。

 本当は最初の街で斧を手に入れるのもありだと考えていたが敵の弱さを鑑みるに斧で強撃を入れるより短剣でざくざく手返しよく狩って行ったほうが明らかに効率が良さそうだった。

 なのでまだ斧は買っていない。


 ジョブはベースレベルが20になったら就く事が出来る。

 なのでその際に堅牢な防具と一緒に斧を買おうと考えていた。

 ジョブはもちろん剣士だ。


 このゲームには剣士、魔法使い、盗賊、ヒーラー、魔剣士、商人などのジョブがあり、その基本職から2次転職していくという古き良きMMOを踏襲した仕様だ。


 俺はそのジョブ一覧を見た時から絶対に2次職のバーサーカーになると決めていた。

 バーサーカーは大斧をぶんぶん振るう純アタッカーであり圧倒的な攻撃力でパーティーでもソロでも大活躍し得る良職に思えた。

 何より斧マスタリーがあるジョブがバーサーカーのみな以上これ以外に選択肢はない。


 そんな事を考えながら美麗な景色を眺めていると目の前に巨大な山脈とその山脈に抱かれるようにしてゲリュオンの街が見えてきた。


 山間にそびえるゲリュオンはどこかゴテゴテした印象を受ける街だ。

 所狭しと立ち並ぶ住宅と塔。道の脇にズラーッと並ぶ屋台群。

 道にはたくさんのNPCが所狭しと歩いていて、雑踏に紛れ込めば目立たなくて済む。

 非常に活気があって気持ちの良い街並みだ。

 一目でこの街を気に入ってしまった。こういう街がゲームでもリアルでも大好きなのだ。

 

 『とりあえずクエストを探すか』


 誰に聞かせるでもなく独り言を呟いた後クエストNPCを探す為に俺は人混みを掻き分けて行った。

読んで頂きありがとうございます!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ