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夢?現実?3
彼は、自分の顔が青ざめている心当たりがあった。
先ほどのお宅におじゃましたときのこと。
座敷で線香をあげる時、故人のご遺体の頭の方に、故人の幽霊が座っていた。
なんでわかったかって?半透明だったから…。
更に故人は言ってきた。
「すみませんねぇ、夜中にしんじゃって。眠いでしょう?今日と明日、お世話になります」
中井はどうすることもできなかった。隣には阪口がいる。どうにか平静を装っておかなくてはならなかった。
打ち合わせの最中も、「わしはもう質素な式でいいよ。そんなに派手にしなくても……」などと、中井と喪主の話の横から入ってくるのだ。
帰るとき、車に乗るときだって、手を振って見送っていた。
中井は小刻みに震えた。阪口は、余計に心配する。