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葬儀屋トシと送り屋ユリ(仮)  作者: 村川未幸
1章目
5/28

あいつとの再開は、過激だった。2

事務所には、2ヶ所の出入口がある。北側に1ヶ所、西側に1ヶ所だ。


北側は、遺族の控え室があり、通夜の一晩や本葬までの間、故人と一緒に休んで頂く。


西側はロビーへと繋がっており、事務所を出て左側には、お客様用の玄関がある。


ロビーの奥には、中ホールと大ホールの2部屋がある。


ちなみに、北側の出入口から右手に行けば、従業員用の玄関がある。



話は戻って、中井たちがロビーに出たとき、中井は歩きながら幽霊に聞いた。


「あんた名前は?」


幽霊は肩で笑いながら「名前?ナニソレ?」と茶化して言った。


「僕の名前はね、忘れた」

「忘れた?」

「えぇ」

「なんで?」

「さぁ」

「さぁ?」

「そんなに言うなら、僕に名前つけてよ。」

「……」


ロビーには、中井の足音だけが響いている。さっきからずっと空気が冷たい。

秋とはいえ、まだ残暑の厳しい気候で、夜も暑苦しいのだが、今のこの式場は少し肌寒く感じる。



大ホールについた。


中井と幽霊は、大きな祭壇の前で止まり、沈黙している。


中井は、幽霊の5歩ほど後ろで、祭壇の前で立っている幽霊の後ろ姿を見つめている。



「何があるんだよ?」と中井が痺れをきらして言ったその時、中井は後ろから笑い声が聞こえてきた。


その声は、少女のような声で、澄んだ声というか、無垢といった感じで、その笑い声は、だんだん大きく聞こえてくる。


とその時、幽霊は振り返り、右手に持っている白刃を大きく上へ持ち上げ、中井に近づいて凶器を左から右へ『ブンッ』という音とともに振った。


その白刃は、中井の頭上をかすめた。それに驚いた中井は思わず腰を落とした。軽く腰が抜けてしまった。


「何しやがる」と中井は怒った。


「もう聞こえないでしょ?」


幽霊が白刃を振った直後、笑い声はピタリと止まっていた。


幽霊は言う。


「あんたの後ろにずっといたんだよ、女の子が」



そこで、冒頭のセリフを叫んだのだ。

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