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葬儀屋トシと送り屋ユリ(仮)  作者: 村川未幸
2章目
15/28

彼女がいた理由2

一通りの事を済ませ、田中は帰宅した。


今日の当直は中井。中井は仮眠室で過ごす。テレビを見ながら、夜ご飯のラーメンを食べていた。


そういえばユリはどこにいるのだろうか。今日は一度も見ていない。


「うん、うまい」出前で頼んだラーメンは美味しい。


至福の時が終わりそうになったとき、どこからともなく「トシ〜ッ」という声が聞こえた。


「早く来てーっ」というユリの焦った声に慌てた中井は、声のする方に走って行った。


声は控室から聞こえる。控室に入った中井の目に入ったのは、女性の体の前で、男性が刃物で自分の腹に今にも突き立てようとしている姿だった。


その男の後ろには、故人の女性が半分、男性の体に入っており、男の手に自分の手を添えている。


その女性の髪を必死に引っ張るユリがいる。


中井はすぐに男性のところに駆け寄り、その腹に刺そうとしている手を引っ張った。


「あんたなにやってんだ⁈」

「離してくれ。死なせてくれ」


男性は暴れ出す。


その拍子に、刃物が中井の左手を真横に切った。その瞬間、中井は顔を歪ませるが、すぐさま右手で男の頬を叩いた。


男は倒れ、刃物は手を離れて女性のお体のそばに飛んで行った。


男は泣き崩れる。後ろの霊は、ユリが何とか引っ張り出した。女性はどこかへいっていまった。それを追ってユリもいなくなった。


「死なせてくれ……」

「子供を残して?」

「もう俺には、生きる理由がない」

「子供を置き去りにするんですか?」

「……」

「子供達の親は、もうあなたしかいないんですよ」

「あんたには分からないよ。大切な人を失った気持ちは」

「わかりますよ」

「……」

「私はわかります……」

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