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この作品はフィクションです。実在する地名・団体などとは一切関係ありません。
この作品は第二部です。第一部『AZURE』を読んでいない方は、そちらからお読み下さい。
俺はただ、どこかも分からない場所を走っていた。だが、俺は急いでいた。がむしゃらに走っていた。
早く急がなければ。あいつが待ってる。急がなければ。だが、泥の沼のような地面に足をとられ、全く前に進めない。
早く行かなければ。あいつが先に行ってしまう。早くしなければ。
・・・・・・あれ。・・・あいつって、・・・誰だっけ?
不意に足の力が抜け、地面に倒れる。今さっきまで泥沼のような地面だったのに。それはコンクリートのように硬くなり、俺を思いっきり苛む。頭から温かい何かが流れる。
俺は足を止めてはいけない。そう感じると再び走り出す。頭をうって、周りの風景が鮮明になった。
そこは、どこかの洞窟のような場所。いや、もしかするとここは古城かもしれない。
・・・見たことがある風景。そうだ。ここに、俺は茂と蒼真、あと光の兄貴の5人で行った。
・・・・・・? ふと俺は足を止める。違う。おかしくないか? 俺と、茂と、蒼真、光の兄貴。
・・・・・・・・・足りない。・・・・・・『1人』足りないぞ?
疑問に思うも束の間、いきなり地面が揺れだす。何かと思案するまでもなく、後ろの道が消えていく。俺は必死で走りだす。そして、一つの部屋を見つけた。その部屋のドアを開け、飛び込んだ。
「はぁ・・・はぁ・・・。・・・助かった・・・みたいだぜ・・・」
・・・深くため息をつく。
『・・・ふふ・・・』
微かな笑い声。辺りを見わたすが、その部屋は、真ん中に椅子があるだけ。
・・・その椅子には誰も座っていない。空耳かと思い、外の様子を見ようとドアを開ける。
「・・・うおッ・・・」
外は、真っ暗で、足を踏み出せばきっと、奈落の底へ真っ逆さまだろう。
俺は再びドアを閉める。その時、
『・・・ふふふふ、ふふふふふふふふ・・・』
・・・聞こえた。
確かに、笑い声が、はっきりと聞こえた。そして、椅子を見ると、・・・いた。1人の少女が。
・・・記憶が鮮明に蘇る。・・・嘘だ。・・・ありえない。だって、この女の子は、こいつは、俺が
『・・・遊びましょ、・・・あつしクン・・・?』
背筋に寒気を感じる。それは、体中に染みわたる。
少女は立ち上がり、俺のほうへ歩み寄る。
『何年ぶりかな・・・まさか・・・会えるなんて・・・』
俺は後ずさりをする。彼女に近寄ってはならない。そう体と心が彼女を拒絶した。そして、ドアノブが手に触れる。俺はそれを捻り、ドアを押した。・・・開かない。
嘘だろ? おい、開けよ、開け、開け開け、開け開け開け開け開け開けッ・・・!!
そして、彼女の手が、俺の首筋にすっと触れる。そして、彼女は言った。
『・・・・・・ずぅっと・・・・・・いっしょって、・・・指切り・・・したよね・・・・・・?』
そして、俺は首を絞められるのを感じる。彼女にこんな力、あるわけがないのに、引き剥がせない。
『だからね・・・あつしクンのこと、・・・・・・むかえに来てあげたよ? だから、・・・ね?』
わたしといっしょに、・・・・・・遊ボウ? ・・・ふふふふふふふふふふふふふふふふふふ・・・。
「ぎゃぁッ?!!」
気付けば、そこはマンションの自室で、寝室のベッドの上。エアコンが切れている。そして、シーツは汗で水浸しになっていた。時計は、3時半を指している。
俺は、途中でこれは夢だと気付いていた。でも、最後まで見たくて、覚めないように願っていた。
そして、このザマだ。・・・そして、俺は夢の内容を反芻しようとするが、・・・思い出せない。それが、どんな夢だったか。一体、なぜ俺は悪夢にうなされていたか。・・・分からない。
・・・・・・服が体に張り付いて気持ち悪いが、俺は再び眠気に襲われる。俺は、リモコンをとった。そして、『冷房』とかかれたボタンを押し、目を閉じる。・・・心地よい風を感じ、俺は眠った。
S C A R L E T
はいはい、やっと第二部執筆スタートです。
皆さんほんと、待ってるかどうかは別ですが、お待たせしました。
なんとなく読み返してみて、一話一話が短いなぁということが分かりました。
何がわんこそば作家だよ、ちゃんと書けっての。・・・そう思われてそうですね(苦)
だからって手抜きをするつもりはありませんよ? 納得のいく風に仕上げます。
今回は少しホラーでしたね。でもこれはまだ序章。序の序の口!
ここからは少しありえない展開に・・・なるかなぁ?
まぁ今作は篤史の頑張り物語なんで、しっかりと活躍させるつもりです。
ちなみに好きなキャラは茂。骨折させるんじゃなかったよ・・・。
では、しばし待てッ! 上から目線でさよならです。
To All People
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