第八話 ニンニクヤサイアブラマシで。
今回は主人公とメイドさんはほとんど出てきません。
なので、幕間にしようかと思ってんですけど本編に関わることもあるので幕間にはしませんでした。
それでは、お楽しみください。
束の間の休日。平日の激務を終わらせ、掴み取った休日。そんな一日をどう使うのか。それは人それぞれである。しかしこれによって、平日の心の持ちようが変わってくるのである。
-三鶴城 千里の場合-
彼女の1日は昼頃から始まる。
「うぅぅ、頭痛い。昨日、飲みすぎたかな。」
昨日は友人である美華と飲みに飲んでいた。会社ではピシッとしていてかっこいい彼女であったがプライベートはだらしないものであった。
酒を飲み、昼に起き、適当に食事を済ませてスマホを見て1日を過ごす。怠惰そのものであった。
おまけに、まともに掃除もしないため部屋は散らかっていた。たまに美華が部屋に来て掃除をしてくれているがそれでもすぐに部屋が汚れてしまうのであった。
酒缶や弁当の空き箱などが散乱している状態だった。
アパートに住んでおり、場所は会社の近くのところにあった。友人以外にアパートのことを言ったことがないため、そんな近くに住んでいることを誰も知らなかった。
そのため、誰も家に来ることもない。まぁ、だからこそこんなにも散らかるのであったが。
「あー、買い物行くかー。めんどーくさいなー。その前にお腹空いたなー。」
いくら怠惰であっても腹は減る。怠惰だからこそ腹は減る。そうして彼女は食事を済ませるためだけに外に出るのであった。
もちろん、メイクなどはせずに寝巻きのままで近くのコンビニに赴く。安い弁当とお茶を買い、すぐに帰る。家に帰れば布団でゴロゴロ。まさに怠惰の権化である。そうして、気がつけば夕陽が部屋に差し込む時間帯となってきた。
そんな彼女に一本の電話が。美華からだった。
-守屋 美華の場合-
彼女の朝は日が登るとともに始まる。朝の支度を済ませ、洗濯掃除などの家事も済ませる。朝食も自分で作り、片付けまでをテキパキと行う。
「清々しい1日は朝で決まる。」
これは彼女の座右の銘の一つでもあった。
しかし、今日に限り、彼女が早くから支度をするのはその言葉だけが理由ではなかった。
今日の彼女のにはとある目的があった。
「天宮 廻琉。今日はあいつを調べ尽くすわ。千里に近づく虫は徹底的に排除する。千里は私の友人。何があっても千里を守る。」
そう、廻琉の調査であった。昨日の飲み会で廻琉について、千里から話を聞いた。
「千里を誑かす害虫は徹底的に駆除よ。今日はそのための調査。」
過激な言葉を使う彼女であったが、実際の目的は千里を「守る」ことであり、必ずしも言葉通りに排除しようとは思っていない。あくまでも彼女にとって有害かを判断するだけであった。ただ、もし有害な存在の場合なら排除も厭わない状態であった。
少し話は変わるが、彼女の部屋は彼女の過激的な言動に似つかず、ぬいぐるみが並んだ可愛らしい部屋であった。
「じゃあ、行ってくるね。」
そうぬいぐるみに挨拶をし、調査に向かうのであった。
向かった先は廻琉の家である。なぜ、彼女が会ったこともない人の家を知っているのかは彼女のみぞ知ることであった。
調査というよりはもはやストーカーの域になりつつある。
そんな時、廻琉が部屋の中から出てきたのである。
「お、出てきたわね。ん?あれは誰?メイド?」
廻琉は買い物のためメイドの志保さんと外出したのであった。
「なぜメイド?怪しい、怪しすぎる。それに、あのメイドどこかで見たことがあるわね。まさか。まぁ、いいわ。とりあえず今は追いかけるわよ。」
そう言って見つからないように彼らの後ろをついて行くのだった。
2人の買い物中も隠れて廻琉を調査していた。基本的に2人で活動していたため、2人一緒に調査していたが、あのメイドの反応からするに2人は付き合っているわけではないのだろうと考えた。ただ、現状として廻琉がメイドに対して好意を抱いていないとは言えなかった。
「これは更なる調査が必要ね。」
2人の買い物が終わり、帰宅するために電車に乗った。もちろん美華もついていったのだが、そこで衝撃の光景を目の当たりにした。
なんと、廻琉がメイドに対してプレゼントを贈っていた。
「これは、、、絶対に気があるわねあの男。それなのに千里も誑かして。許さない。」
この瞬間、美華にとって廻琉は有害認定されたのであった。
こうして、休日が終わりに近づこうとしたが、美華はいち早くこのことを千里に報告しなくてはと考えていた。
そして、すぐに携帯を取り出し、千里に電話をかけたのであった。
電話の後2人は近所のラーメン屋にて合流した。
「ニンニクいれますかっ」
「ニンニクヤサイアブラマシで。」
「同じく。」
「はいよぉっ!」
注文を終え、席に座った。要件を伝えられていなかった千里は突然の連絡に戸惑いを隠せなかった。そんな、彼女を見て美華は着席後すぐに今日あったことを伝えた。
「ってな訳よ。いい、あいつにはメイドがいる。そして、そのメイドに好意を抱いている。そして、あなたにも思わせぶりな態度をとっている。いい、あいつのことは今すぐ忘れなさい。」
「いや、忘れろと言われても。それに、別に思わせぶりというか私が一方的にって感じだし、彼は悪くないわ。でも、メイドね。なんか最近前よりも元気だなぁって思ってたらそういうことだったのね。」
急な報告に戸惑いを隠さない千里であったが、逆に納得もしていた。
「もしかして、この前早く帰ったのも」
「ええ、そうね。おそらく。」
「で、でもまだ可能性ってだけで、まだ付き合ってるというわけではないんでしょ!?ならまだ私にも可能性はあるじゃない!」
「まぁ、そうね。あんたのことを邪魔するつもりはないわ。でもね、私はあなたのこと友人だと思ってるの。だからなんかあったら言って。絶対に力になるから。」
「うん!わかった、ありがとう!」
「はいお待ち!ラーメン大のニンニクヤサイアブラマシですね!」
2人が話しているとてんこ盛りのラーメンが目の前に出された。そんなラーメンを2人は軽々と平らげるのであった。
そんな休日も終わり、また日常へと戻るのであった。
-つづく-
とりあえず第一章はこれで終わりにしようと思います。短いけどこれからもこんな具合で行こうと思うのでよろしくお願いします!
ちなみにラーメン屋に行った理由としては、寝巻きでいける近くの店が二郎系のラーメン屋だったからですね。
寝巻きでカフェとか行けないじゃないですか。
あ、あと、インスパイア系想定です。




