第十一話 今日はオムライスです!
今回は就寝前のひとコマのみなので、かなり短めです。
「•••その者の名前はミカエル。かつての天使長にして守護天使である者。私たちの天使の国にとって盾のような存在であった。しかし、ある時天使の国に悪魔が攻め込んだ。率いるのはかつての元天使長であり堕天使ルシファー。彼らの戦いは熾烈を極めた。結果はミカエルの勝利である。しかし、ミカエルもかなりの痛手を負ってしまう。そこでミカエルは考えた。この力、記録を受け継ぐ方法はないかと。議論の末、生まれた結論は名継の儀式をすることであった。名を後世に継ぎ、力と記憶を継承すること。こうして、かの大天使の名は現在まで途切れることなく受け継がれているのである。
と、とりあえずはこんな感じですね。」
「お、おお。」
なぜ、このような話を聞いているのか。流れとしてはこうだ。
ラーメンを食べたあと、僕は帰宅をした。そこに待っていたのは夕飯の支度をした志保さんであった。
まずい。これは本当に失礼なことをしたと思った僕は気がつけば土下座をしていた。
優しい彼女のことだから許してはくれたが、やはり、申し訳ないし食材が勿体無い。そこでゲームでもしていればお腹が空くのではないかと思い、ゲームをした。
だが、彼女はびっくりするほどゲームができなかった。戦いになるはずもなく、ゲーム以外のことをしようとしたが、まぁとくに何もなかった。
そこで、前より気になっていた天使の国についての話を聞こうとしたんだ。どんな国なんだって。そしたら、こんな感じに天使の国昔話を話し始めたってわけ。
いや、どんな成り立ちとか法律とかそんな堅苦しいことを聞きたいのではなく、単純にどんな街なのかが気になっただけなのだが。
まぁ、こちらから聞けばいいのだが。
「街の雰囲気ってどんな感じなんだ?」
「えーっとですね、私はあまり行ったことがないのでわからないのですが、賑やかで明るく楽しい雰囲気の街だったと思います。イメージとしては地球でいうところの中世ヨーロッパって感じですね。」
街に行ったことがないのか。田舎出身とかかな。自分も田舎出身だからまぁ妙に納得できるんだよな。
「なるほど、天使の国には王とかいるのか?」
「王という存在はいませんが、天使長がまとめてるって感じですね。かつての四大天使の枠組みのまま現在も4人の天使長により執政されています。」
「ほー、すごいな。」
天使の国でも執政というのが行われているのか。楽園みたいなイメージではなくて、しっかりとした国なんだな。
そうこうしているうちにいい感じにお腹が空いてきた。
「よし、この話はまた後で聞こうかな。せっかくだし、用意してくれたご飯を食べよう!」
「はい!今日はオムライスです!」
そうして彼女はせっせと支度を済ませて、食卓にオムライスが並んだ。やはり優秀なメイドなのだろう、仕事がはやい。
「いただきます!」
ラーメンを食べた後にもかかわらず、オムライスを一瞬で平らげた。正直、自分に驚いている。
「ごちそうさまでした!」
その後、素早く皿洗いを済ませて寝支度をし、寝床につくのであった。
-つづく-




