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6話:波紋は広がるどこまでも

(/・ω・)/初登場の人や名前だけ登場の人がいます。

(/・ω・)/今後も関りがあるんだかないんだか。あるといいな~。

「・・・という感じで野良犬ならぬ野良少女を拾ったので、判断を仰ぎたいのですが。」


 真珠との情報交換兼会議を終えた俺は今後の対応に悩んでいた。

 真珠という存在を受け入れるのは、俺個人としては問題ないのだがなにせ前例がない。

 素直に報告して受け入れたもらえるものかどうか。下手したら真珠が回収されてしまうかもしれない。

 ということで頼れる上司の紅華さんに連絡を入れた次第だ。


「その体質はどうにも不思議な縁を引き寄せるようだな。」

「今回ばかりは良い出会いを引けましたよ。」

「判断を仰ぎたいとの事だったか。そうだな。少し待ってくれ。」


 そういうと携帯電話の向こう側から「副隊長―!藍のやつが面倒事を掘り出してきた。」などと聞こえてくる。

 大変なのは分かるがあんな言い方をしなくてもいいと思う。

 マイクが拾えるギリギリの会話をうっすら聞くこと約5分。


「ひとまず方針がまとまった。とりあえず藍は真珠を連れて国立研究所に行ってくれ。そこで真珠について鑑定書を書いてもらえるよう話をつけておく。表向き真珠は“ただの人形”、遺物ではあるが歴史的価値はそこまでないである。そう証明してもらおう。」

「そんな都合よくやってくれますかね」

「なに、私にも人脈(ツテ)がある。平気だ。」

「俺が落ちた施設の方はどうします?」

「それも研究所に丸投げしよう。あの人なら悪いようにはしないはずだ。」


 大昔の文明関連の遺物は貴重なので発見しだい報告する義務がある。

 真珠のように明らかなオーバーテクノロジーなどは猶更。

 それを虚偽申告するとは大胆な計画を考えたものだ。まぁ考えたのは紅華さんじゃないだろうけど。


「正直真珠の存在はうちの隊でも庇いきれない。ある程度独立した権限を有しているとはいえ、その裁量を超えている。なのでお偉いさん方には偽の報告書を提出し、そのうえで真実を第一師団長・・・うちの司令へ報告する。これで“相互成長型観測補助人工製命”の存在を隠せるし、いざというとき司令に庇ってもらえる。真珠のことが上にバレると十中八九回収されるだろうし、“契約”関係で藍も取り調べられるだろう。それならいっそ秘匿してうちの隊員(戦力)にしようというわけだ。」


(なんでそんなに快活な声で告げられるのかわからない。)

 

 隊長・副隊長が話し合ってこの案が出る隊に入るこっちの身にもなってほしい。

 いや、そんな隊に入ろうとしてる俺がおかしいのか?

 何はともあれ上司達の判断により、真珠は俺と同じように“特殊事象突破部隊”に所属することになりそうだ。

 彼女の機能(のうりょく)を使えるのは契約している俺だけとはいえ、良くも悪くも目立ってしまう。

 ここは紅華さんと副隊長の判断が正しいだろう。


「その考えに賛成です。ではこの後研究所に行って表向きの報告書を作ってもらえばいいんですね。」

「あぁ、受付で薫衣副所長に用があるといえばいいだろう。さっきも言ったがあそこの副所長なら信用できる。洗いざらい話してこい。」




 社会人御用達の報・連・相を終えたのち出かける準備をする。

 真珠を肩に乗せて移動もできるが、それでは何のために偽の報告書を作ってもらうかわからなくなるので、ショルダーバッグに入ってもらった。

 真珠からジト目による訴えを受けたが我慢してもらった。


「だってしょうがないじゃん。お前を乗せてると目立ってしょうがないし。」

「まぁ私ほどの”美少女”になると人目を引いて当たり前なので許します。」

「”美少女”ではなく”美小女”では?」

「ん?何か言いました?」

「いや何も」




 しばらく歩いて瑠璃と再会した資料館の隣、国立研究所にたどり着く。

 軍港の隣の敷地を贅沢に使った研究所は、築40年余りとは考えられないほど整った外装をしていた。

 自動ドアをくぐり、受付で用件を伝える。


「薫衣副所長に用があって来たんですけど。」

「はい、伺っております。3階の廊下突き当りの部屋でお待ちです。あちらのエレベーターをお使いください。」


 俺から見て左手を差し、説明してくれる。

 礼を述べ進んでいき、白に統一された廊下の一番奥のドア前で止まる。

 柄にもなく緊張して少し間をおいてしまったが意を決して数回ノックをすると中から返事が返ってくる。


「どうぞ、入ってくれ。」

「失礼します。国衛隊・特殊事象突破部隊所属、方藤藍です。菊野紅華から紹介されて伺いました。」

「ここの副所長を務めている薫衣石榴(クヌエセキリュウ)だ。よろしく。」


 ドアを開けるとソファにローテーブル、薫衣さんが座る高そうな椅子と机、それと分厚い本が敷き詰められた本棚がある部屋が広がっていた。

 ザ・執務室といった内装でなんだか落ち着かない。

 それにもう一つ落ち着かない理由がある。

 彼の名前が“薫衣”、そうハワイ旅行初日、ひょんなことから助けた女性こと薫衣瑠璃(クヌエルリ)と同じ苗字なのだ。

 父の紹介でこの研究所にいると言っていたので、恐らく彼女の父親なのだろう。

 まさか副所長だとは思わなかった。


「よろしくお願いします。」

「どうぞかけてくれ。早速で悪いが説明を頼む。紅華君から概要は聞いているが、どうにも自分の目で確かめないと信じられない性質(タチ)でね。」

「分かりました、じゃあさっそく。真珠、出てきていいぞ。」


 そういいながらバッグを開ける。

 中から白髪ポニーテールの少女が顔を出す。

 ちなみになぜポニテなのかというと、髪をまとめないとチャックに巻き込まれそうで怖いのでどうにかしてもらった。


「やっと出番ですか。この人には結構話しちゃっていい感じなんですよね。」

「あぁ、俺に説明したことの繰り返しになっちまうが頼む。」


 今朝聞いたこと、聞けなかったこと聞こうとも思わなかったこと、などなど石榴さんが質問し真珠が答える形で進んだ。

 この問答をそばで聞いていて一番驚いたのは、世界各地の”ヌシ“個体の特徴が古代文明を滅ぼした荒レ狂ウ飢餓(スタヴェシアス)に合致していたことだ。

 一般にはその存在が伏せられている強力な個体。循環崩壊が起きた翌年から各地の噴出口付近で確認されている。噴出口を中心に縄張りを持ち、7体いるうちのほとんどが攻撃を受け付けない特性を持っている。発見当時、各国は渦中にあったが異様なオーラを放つその個体を放っておけないと判断し攻撃を行った。しかし火器・兵器の類はまったくと言っていいほど効かなかった。

 真珠の出身を壊滅に追い込んだ強力な奴らが真珠の目覚めた時代にもいる。

 なんて数奇なことだろう。

 そんなことを考えている内に二人の会談は終わったらしい。


「とまぁ、こんなところですね。私自身持っている情報が少なくてすいません。」

「いやいや、とても参考になったよ。製造されてからすぐに休眠期間に入ったとはいえ、当時を知っている人物の意見はとても貴重だからね。」


 二人が満足してそうなので俺の疑問を投げかけてみることにした。


「なぁ真珠、石榴さん」

「なんですか?」「なんだい?」

「さっきの話だと俺の体質と真珠の機能(のうりょく)がヌシを討伐するカギになるようだけど、これバレたら大事だよな。」

「あーそのことですか。たぶん捕縛からの解剖&人体実験コースですね。」

「だとしたらお前も道連れにしてやるよ。」

「はは、冗談はさておき良くも悪くも引っ張りだこになるだろうね。ただ幸いにも特象隊に属しているから紅華君なり隊の司令である剛さんなりが前もって何とかしてくれるさ。」

「そうですかねぇ。紅華さんが先手を打てるタイプには思えないので副隊長に期待することにします。」


 正直いざというときに心配してはくれそうだが、前もって策を講じる姿が想像できないな。

 最後に見たのが居酒屋でグデグデの状態だからか?

 そんな雑談を区切りにして石榴さんは正式な提出用の書類をつくりはじめた。

 書類が一瞬で出来上がるわけもないのでお暇しようと立ち上がった瞬間、人間の危機感を煽るサイレンが外から鳴り響いた。

 荒レ狂ウ飢餓(スタヴェシアス)の接近を知らせる警報である。


「お父さん大変!沖合の防衛線を3体の水竜型が抜けてこっちに向かってるって!」

「あっ来客中でしたか。って藍君!なんでいるんですか」

「・・・やっぱりか。また会ったな瑠璃。」


 2度あることは3度あるとはまさにこのこと。

 ハワイ滞在中3度目の邂逅である。

 緊急事態を知らせる警報の中、しばらくぶりの再会を果たした藍と瑠璃。

 彼らに時間的余裕を与えるわけもなく奴らが迫りくる。

 さてこの事態どう解決に向かうのやら。


(/・ω・)/波長が合うのか結構仲良しな藍真ぺア。

(/・ω・)/仲良しな相棒のために☆虚☆偽☆報☆告☆をする流れになり、思うところがあるもののしっかりと流れに乗る藍君。特象隊に入るだけあって肝が据わってるな~。

(/・ω・)/あと瑠璃パパ登場したね。彼は陰で”努力中毒者”なんて言われるほどの努力家。

(/・ω・)/誉め言葉だからね。

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