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4話:さてどうしようか・・・

(/・ω・)/やっとおしゃべり出来るキャラが登場したのでとてもおしゃべりな回となっています。

    「」が口頭での発言

    『』がテレパシーでの発言

    ()が個人の心の声 です。

『なんか不思議な感じがするな。じゃ改めて方藤藍だ。よろしく…でいいのか?』

『よろしくお願いします。当機の観測者(マイマスター)

『早速で悪いんだが、お前が何者か教えてくれないか』

当機(わたし)は“相互成長型観測補助人工製命”、観測者(マスター)をサポートすることを目的に製作された人工生命体です。この心通信(テレパシー)もその機能の一部を応用して行っています。』

「・・・ジンコウセイメイ」


 驚きのあまり片言になったうえ口頭で反応してしまった。

(人工生命体ときたか。小人だの妖精だのと予想はしていたがよっぽど科学的で非現実的な答えが返ってきた。しかもテレパシーまで使えるとか俺の想像の範疇を余裕で越えてるだろ。)



観測者(マスター)、口頭では何を言っているのか分かりません。表情を見れば何が言いたいのか見当は付きますが』

『そ、そうだったな。悪い悪い。いくら小さいとはいえ人工的に作られた命だったとは。せいぜいロボットだろうと思ってたよ。』

『当機が製造されたときも当機(わたし)のような存在が普及していたわけではありませんでした。しかし存在自体は確立していました。』


 自分が眠っていた箱の縁に座る彼女とさっきまで座っていた椅子に戻った俺。

 彼女を基点としたテレパシーで質問を投げかけていく。

 その返答に口頭で反応しするくらいには動揺している。

(まじかよ。現代じゃ空想の産物だってのに大昔の文明はこんなこともできたのか。

 余計になんで滅んだのか分からなくなってきたな。)

 自分の頭の中だけで完結するように感想を述べていると今度は彼女から口を開いた。


当機(わたし)からも質問していいでしょうか』

『おう、大丈夫だ。というか許可なんて取らなくてもいいぞ?』

『もしかして”今“は当機(わたし)が製造された時代から遠く離れてしまっているのでしょうか』

『・・・分かるものなのか』

『“観測所”の動力停止状態や荒廃具合、観測者(マスター)の言語などから予想はしていました。観測者(マスター)の反応を見て確信しました』

『そうか。少なくとも十数万年近く立っていると思う。ここに似た遺跡が世界各地で見つかっていて、それがだいたい20万年経ってるということが分かってる程度だから正確な数字はわからないが。』

『そうですか、数十万年ですか。』


 俺の回答を聞き俺の方を見ていた顔が下を向き瞼が降りる。

 しかしそこに悲壮的な表情はなく、思考を巡らせる真剣な思いに満ちている。

(そうだよなぁ、目が覚めたら遠い遠い未来。現状も分からず当時の知り合いもいるわけがない。思うところも有るだろう。)

 そう思い少し席をはずそうと立ち上がる。


『どこに行くのですか?』

『いや何、真剣に考え事をしていたから少し席をはずそうかと思って』

『お気遣い感謝します。ですが大丈夫です。少し考え事をしていただけですし、それももう終わりました』


 何事もなかったように先ほどの無表情に戻る。

(いったい何を考えこんでたんだろう)

 気になりはするが口には出さない。そこまで近しい間柄でもないし。というかさっき出会ったばかりだし。


『お互い聞きたいことがたくさんあるだろうが、とりあえずここから出ないか?』

『それには賛成です。どのみち一生を共にする仲なのですから』

『・・・スルーしてはいけない単語が聞こえた気がするが、この際置いておこう。具体的にはどう脱出する?』

『そうですね・・・そもそも観測者(マスター)はどのように入ってきたのですか?』

『自分でも何を言っているのか分からないんだけど、山の斜面を滑り落ちてたら縦穴に落ちて、穴の底がこの部屋の外の廊下につながってた』

『それはまた・・・運命とは分からないものですね』

『素直に意味不明だって言っていいんだぞ。温情を掛けられたらそれはそれで心に来る』

『その落ちて来た穴からは這い上がれないのですか?』

『試してみたが壁面がだいぶ脆くなっていて登れそうにない』

『では屋上への非常用出口を使いましょう。観測者(マスター)の話から推測するに土砂が堆積している可能性がほとんどですが、そこは当機(わたし)のサポートでどうにかなるでしょう。』

『分かった』

『あ、そうでした。出るときはこの”箱“もいっしょに持って行ってください。当機(わたし)の装備が入っているので』


 こうして脱出の目途が立った俺と少女。

 その後は彼女の指示に従って机を動かし天井までの簡易階段を作った。本当は部屋の端末で操作して梯子を下すらしいが、動力が止まっている以上手動になる。天井のレバーを操作しハッチを開く。

(肩に少女を乗せ、箱を片手に抱えながらの脱出。中々骨が折れそうだ。)

 俺の肩幅でもあまり余裕がない通路を登っていく。

 狭いおかげで逆に箱を落とす心配が少ないので良しとしよう。

 じきに外へ続くであろう扉が上に見えてきた。


『やっぱり土が重しになってるな。試しに押してみたがびくともしないぞ? 』

観測者(マスター)精心力(アルカナ)による身体能力の強化は出来ますよね。』

『な、なんで知ってんだよ。確かにできるけどさ』

『では合図をしたら強化全開で押してください』

『いいけど、たぶん俺の全力じゃギリギリ開かないと思うぞ。そこまで得意じゃないし』

『ギリギリなら尚更です。では行きますよ』


 そういうと何かに集中するように目を閉じる肩乗り少女。

 それと同時に彼女の体からぼんやりと青白い光が放たれる。俺の肩を伝い二人を包んでいく。全身を包みこんだかと思えばすぐに消え去ってしまった。

(なにをしているのか分からないが、失敗か?)


『今です!観測者(マスター)!』

『っ!おう!』


 失敗を疑った瞬間に合図が来たので少し驚いたが話の通り全力で強化をかけ扉を押し上げる。体内に貯蔵されている精心力を右腕と両足に送り、素の状態よりもずいぶん大きくなった力で押し上げる。

 最初こそびくともしなかった扉が金属が軋む音を立てながら少しずつ動き出す。

(まじかよ。試した感じ俺の強化じゃ無理だと思ってたのに。)

(十中八九、さっきのが関係してるよな)


 確信していた手ごたえを自らの力で否定したことに驚愕しつつもどうにか開き切ることができた。

 そこは俺が壊した椅子から数m中心方向へ寄った場所だった。


「よっしゃー!出れたー!!!」

『やりましたね観測者(マスター)

「あぁ!やっ」

『やったな!』


 大して長い時間居たわけではないが、自分だけでは脱出できたか危ういのを踏まえるとどうしても嬉しくなってしまう。両手を上げて喜んでしまった。我ながら子供っぽい。

 腕を上げた影響で方にいた少女が首元に縮こまってしまった。


『おっと悪い。ついテンションが上がっちまった』

『少し潰れそうにはなりましたが問題ありません』

『それよりこの穴どうしますか? 開けたままだと誰かに発見されますが。』


 今さっき出て来た扉を指さし問いかけられる。


『うーん。一旦埋めよう。後日俺の上司に報告してあの人経由で調査・保全してもらうようお願いするわ』

『分かりました。では隠ぺいしたのち、観測者(マスター)の拠点へ移動しましょう』

『隠ぺいってお前、それじゃ犯罪みたいじゃん』

観測者(マスター)の言い方からして当機(わたし)の時代の遺物は報告義務の様なものがあるのでしょう?

 もうそのラインを超えたも同然ではないですか』

『たしかに…そうかもしれないですね。はい。』

『そんなに気を落とさないでください。上司経由で報告する意志があるのですから、問題ないでしょう。』

『まぁそれでも当機(わたし)を連れ出してるので危ない橋ではありますが…』


 最後の台詞でまた不安になったがまぁいい。

 今日最後の肉体労働をこなし、当初の目的通りホテルへ戻ることにした。

 小さな少女を肩に乗せたまま街を歩くわけにもいかず、少しの間箱の中に戻ってもらった。

 本人はしぶしぶといった感じだったが、そうでもしないと目立ってしょうがない。


「さて、ずいぶん服も汚れちまったし落ち着くためにも早く戻るか」


 1つ呟きをこぼし、箱を抱えて走り出す。

(さてさてこの後はどんなスケールの話が待っているのやら。頼むから俺に理解できる話であってくれよ)

 こんな時に限って俺のささやかな願いは打ち砕かれるのだった。


(/・ω・)/藍くん視点だとけっこう詰みかけてた。そこに救世主が現れたので割と信用してる。

    信用し始めた矢先に愛の告白じみた事言われたけど頑張って意識の外に置いてる。

(/・ω・)/大変だな~(他人事)

    こんな状況じゃなきゃもう少し疑ってるけど、人間追い詰められると頼りたくなるんだよね~。

    

(/・ω・)/今話の救世主こと”相互成長型観測補助製命”ちゃんがなんで藍くんの躰性能向上を知っていたのかなどなどの謎は次回本人から説明してもらいましょう。


第4話完読ありがとうございます。

感想・☆等々でやる気が激増しますので良ければお願いします。

引き続き読んでもらえるよう頑張ります。

それではまた次回~

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