3話:「■■■」それは突然に
(/・ω・)/いよいよストーリーが進みだします。
進むけど前回よりあっさりしてるかも・・・
薄味だったらごめんね
久しぶりに”能力“が発動した翌日、おれは山を登っていた。
ハワイ旅行1日目は人助け、2日目は瑠璃との再会と“嫌な予感”と来て3日目は山登り。自分でも中々ハードな旅行をしていると思う。しかしこれには訳があるのだ。
昨日の夕方感じた”嫌な予感“とは別に”何かに呼ばれている“感覚を山に覚えた。
物事の”起こり“を予感できる不思議な力。そんな力を持っているが予感できるものは精心力が関係していることだけだと今までの発動で分かっている。そしてそれらの事象は大抵機器の故障や荒レ狂ウ飢餓の発生だったりと悪い方向へいく。
(でも今までとは違う気がするんだよな…)
そうこうしている内に山の中腹にある開けたスペースに到着した。
円形に芝生が広がり、周りには木々が生い茂っている。
麓から見た限りプリンの様な形をした中規模の山の頂上に位置している。
一応ハイキングのコースに含まれているようなのでここまでの道は整備されていた。
「町の方からだとよく見えなかったけど、思ってより整備されていたな。体力温存できたし幸運だった。」
呟きながら辺りを見回す。
空には真っ白な雲がゆったりと流れ、心地よい風が草木を揺らしている。
今日は気温が上がるらしいが今のところは難なく過ごせそうである。
広場の外周にはベンチもあるし少し休憩でもするか。
「今のところ何にもなさそうに見えるんだけどなぁ。
でも俺の勘は“ここ”だって言ってるし…」
自分の勘だけを頼りにここまで来たことを今更不安になってしまった。
今まで「何か起きる」と感じたことはあっても「呼ばれている」なんてのは初めてだ。しかも何となくではあるが場所まで特定できてしまう。
ここまではっきりと感覚と掴んだということは波長か何かが俺に合っているということなのか、それとも偶々なのか。
「情報が少なすぎて何もわからん」
頭の中を整理しようとポーチからペットボトルを出し喉へ流し込む。
背もたれに体重を預け、水を飲み干すために上を向いた瞬間、自分を支えていた物が音を立ててなくなった。
・・・そう。背もたれの木材が折れたのだ。
支えとなるものが何もないのに重心を後ろに動かすとどうなるかなんてのは馬鹿でもわかる。
「っ!!」
声を上げる間もなく背後の斜面を滑り落ちる。
運よく木に激突せずに1~2m滑り落ちた所で今度は地面がなくなり内臓が浮くようなあの感覚に包まれた。
「次は落下かよーーー!」
と、まぁ・・・うん。
見知らぬ天井とかなんとか思ってたけどよく生きてたな俺。
どうやら5mほどの縦穴を後頭部から落下したが土や瓦礫が緩やかなカーブを作ってくれたおかげで滑り台の要領で下まで降りることができたようだ。
「う~ん、直接上には戻れなさそうだな」
俺が落ちて来た穴を見上げてみたが、まっすぐ上に伸びる穴は5mほどあり、壁が脆く手を触れるだけで崩れてしまう程だ。
さすがに手足を掛けるところが無いんじゃ登りようがない。
ということは俺に残された選択肢は、穴を背に左手に伸びる廊下を進むことだけだろう。
右手にも続いてはいるのだろうが土砂で塞がれてしまっている。
「見た感じ古代文明の施設っぽいな。偶然とはいえ入っちまったもんはしょうがない。出口を目指して探索するか」
ポーチからスマホを出しライトをつける。充電は98%とほぼ満タンのため何とかなるだろう。
しばらく進んで気が付いたが、この廊下は常に右にカーブしていてる。
さらに進むと土砂の壁が現れた。おそらく最初に俺が落ちてきたところだろう。
ここに来るまでに円の内側の壁に3つ扉を見つけた。そのうちの1つは8割ほどが目の前の土砂に埋まっているため開けることはほぼ不可能だった。
最初の地点に戻り一番近い扉を開いてみる。
おっ、思ったより軽く開いた。
案の定中は真っ暗か。
ライトで照らしてみても奥までは見えない。学校の教室くらいの大きさか。
できれば上に戻る道があればいいんだけど・・・そんなに都合よくないか。
この施設は俺の想像よりはるかに綺麗に残っていた。部屋の中は少しジメジメして照明のスイッチらしきものを押しても一切反応しない点以外は問題なさそうに見える。
部屋の中央に円卓が1つあり、周りに理科室の様な長机がいくつもある。
素人の俺でも研究価値があることが分かるものが山のようにある。しかし今最も価値を見出すものはこの施設からの出口に他ならない。
壁伝いに部屋を一周してみると入ってきた扉とは別のものを発見した。開けてみるとさっき通った廊下に出た。
おそらく土砂に埋まった扉が別のフロアや部屋への物なのだろう。
「まじか。この部屋の中に脱出方法がなければ詰みに近い状況になっちまう。
スマホが生きてるから外部に助けを求めるって手もあるけど、正直やりたくないなぁ。こういう施設見つけた場合って報告義務があるけど、俺日本からの旅行客だから手続き云々がめんどくさそう」
数個椅子が残っていた中央の円卓にうなだれる。
右腕を伸ばし二の腕に頭をのせる形で独り言をつぶやきこの後の行動を決めるため悶々とする。
ほかにも考え事を口に出していると突然円卓の中央が動き出した。
何か音声が流れているが何を言っているのかわからない。多分古代文明の言語なんだろう。一見ただの机だった中央部に青白い光の筋が走りシューズボックスほどの黒塗りの無機質な箱が出てきた。
見た瞬間に理解した。
「お前か。俺を呼んでいたのは」
昨日の夕方から俺に存在感をアピールし続けているものの正体だと直感した。
数秒後、箱の上面から所謂ホログラムが空中に投影される。そこには手形と少しの文章が映し出されていた。
「なんなんだこの状況…」
理屈の分からない自分の能力に案内され、その正体は大昔の遺物。しかもそれが目の前で稼働している。
流石というかなんというか。
まぁでも現代人の俺がやったところで反応するわけないよな。うんうん。
ちょっとくらいなら試してもいいか?
いやでも研究資料になるだろうし。
・・・一回だけ試してみるか
「…あっ」
手形に触れた瞬間ホログラムと箱に走っていた光の筋が消えスマホの明かりだけが照らす。
電源が落ちたのかと思えば次の瞬間さっきまでとは比べ物にならないほど輝きだした。
「っ眩し!」
視界が青白い光で覆われる。
瞳孔が元に戻り再び箱に目を向ける。
そこには先ほどとは打って変わって中身が丸見えになった箱があった。
「あ、開いてる」
(まさかさっきの認証(?)で開いたのか?)
(いやいや奇跡的に稼働していたとはいえ何年前のかわからない代物だぞ)
頭の中で言い訳じみた思考が繰り返される。それでも何とか落ち着く努力をする。
「…とりあえず中身の確認をして落ち着こう。落ち着けるかは分からないが」
「………は?」
改めて中身を確認する。
そこには20cmほどの少女の姿があった。
「・・・・・・・・・」
「すーーーーーー。はーーーーーー。 一旦落ち着こう。さっきから全然落ち着けてないけど落ち着こう。」
目の前の現実を受け入れられずフリーズすること数秒。特大の深呼吸を経て事実を飲み込む。
「これフィギュアとかでは・・・ないな。頬をつついてみたがどうにも”本物”の様な気がする。まさか小人?妖精?の類じゃないだろうな」
俺が独り言をぶつぶつと唱えたり、頬をつついても箱の中で眠ったように動かない少女。
大きさのことを度外視すれば美少女といっても差し支えないほど整った容姿をしている。
黒と灰色を基調としたスポーツウェアの様な服に身を包んでいるため、その身の丈ほどある白の長髪がよく映える。
謎の少女について考えを巡らせていると、ピクリと彼女の瞼が動いた。
薄灰色の瞳があらわになり俺と目が合う。
何回か目を瞬かせたあと体を起こす。
『あなたが当機の観測者ですか?』
「っ!頭の中に声が!」
突然目の前の少女のものと思しき声が頭の中に響く。驚いて数歩身を引いてしまった。
『驚かせたこと謝罪します。しかし観測者と当機が扱う言語が違うことが推定されたためこのような方式での意思疎通を行いました。』
「?」
『たとえ言語が違えど“心通信”を使えば「意志」を直接伝えられるためこのようなことが可能になります。試しに強く念じてみてください。あなたなら当機に返答できるはずです。』
成り行きで話が進みすぎてる気がするが取り合えず指示に従ってみる。
頭の中で言いたいことを強く念じる。
『あーあー、聞こえるか』
『はい、聞こえています』
『なんか不思議な感じがするな。じゃ改めて方藤藍だ。よろしく…でいいのか?』
『よろしくお願いします。当機の観測者』
はにかむように笑う少女に対して困惑の感情を隠し切れない俺。
この出会いが偶然か必然かはわからない。でも何か大きな意味を持っている気がする。
(/・ω・)/この少女は何者なのか。「少女」というより「小女」な子。
薄灰色の長髪におしゃれなスポーツウェア的な恰好をしていて一見おとなしそう?
(/・ω・)/前回の前書きで「言語の壁は無視します」的なこと言ったけど、あれは現代語範疇の話なので過去文明の言語とは壁を設けます。
(/・ω・)/第1話の冒頭シーンにやっとつながりました。分かりづらかったらごめんなさい。
第3話完読ありがとうございます。
感想・☆等々でやる気が激増しますので良ければお願いします。
引き続き読んでもらえるよう頑張ります。
それではまた次回~