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花園戦争  作者: 雨路の宿
序章 戦いは今日も続く
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コードネーム”白ユリ”

それは突然のことだった。


変わらない日常。ときに悲しく、ときに楽しい。そんな幸せな日々は終わらないんだと思っていた。


ある日、地球に一つの隕石が落ちてきた。その隕石は謎のエネルギーを秘めており、落下の際の爆発で瞬く間に世界中に飛散した。後にグリーンエネルギーと呼ばれるこのエネルギーは、世界中の植物に吸収された。すると、植物が巨大化し、人々を襲い始めたのだ。


世界にグリーンエネルギーがやってきたその日には、世界中で大規模な被害がでていた。ビルは崩れ、道路には瓦礫や死体が転がっていた。多くの国々が軍をもってこれに応戦するも、未知の怪物たち相手に為すすべもなく敗れる。世界は一日にして、絶望の淵に追い込まれたのだった。


しかし、世界の人々はまだあきらめてはいなかった。ある国で花を食べた少女が能力に目覚めたという報告が上がった。それから国の力を結集して、花園機構(通称ガーデン)を設立し、グリーンエネルギーに関する研究をすぐに始めた。すると、怪物化していない花にもグリーンエネルギーが含まれており、それを摂取することで異能に目覚めることが分かった。しかし、実験の最中何人ものひとが体内でエネルギーが暴走し、体が爆散した。結果、限られた少女にのみ適性があることがわかった。


花園機構はそれから、怪物化した植物をプランターと名付け、それらに対抗する少女を育成することを始めた。隕石が墜落したあの日から、1か月足らずで世界には希望の光が差し始めたのだ。彼女たちはハナビトと呼ばれ、プランターと戦う世界のヒーローとなった。


花はその種類によって、得られる能力が違うこともわかった。その中でも特にエネルギー保有量が高い花に”白ユリ”があった。多くのハナビトが誕生していった中、白ユリの適正者だけ半年をかけても現れなかった。


ある日、私にもハナビトの適性検査を受けるよう指示が出た。あの日、私は最愛の人を目の前で失った。半年たったが家族の行方は分からない。近くの保護施設で同じく身寄りのない人たちと最低限の暮らしをしていた。いつまたプランターに襲われるかわからない恐怖で夜も眠れなかった。


「リリィ、この適性検査は任意のものだから受けなくてもいいのよ」


施設の人はいつも私に親切にしてくれた。


こんな状況だし、未知の研究故、多くの犠牲者が出ていることは知っていた。


「それでもいいです、私は行きます。」


もう生きる理由を見つけられなかったのだ。


そして実験の日。心は穏やかだった。手足を縛られ、大きな注射で何かが体内に入れられた。


不思議な感覚だった。体が熱い。でも嫌な感じはしなかった。このまま死ぬんだろうなと思った。


「今会いに行くね、ジョウロ」


そこでぷつんと意識は切れた。


気が付くと知らない場所にいた。状況を理解できないでいると、一人の男性が部屋に入ってきた。


「おめでとうございます。あなたは白ユリの最初の適正者となりました。あなたにはこれからハナビトとして世界を救うために戦っていただきます。」


こうして、コードネーム”白ユリ”は誕生した。

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