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6Ⅰ9~4回目の黒電話~(仮)  作者: 笹丸一騎
【島根編】3章【フランスと島根】
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10,その人は和服美人?

フランスはマルセイユのホテルのロビー。


此処で和服は一層目立つ為、周囲を通る外国人は、幾度も彼女に視線が注がれる。


彼女を一言で言うと、和服美人。短い黒髪に、黒い和服。


気品の雰囲気を漂わせている。この異国地で、注目されてもおかしくはない。


しかし、彼女が注目されているのは、見た目だけではないようだ。


少数ではあるのの、富裕層と思われる人物達が、彼女の名前を口にする。


「彼女は、まさかセイコか?」


「あの?まさか」


周囲の声は余所(よそ)に、薫の祖父は「よく来たな」っと、薫に声をかけ彼を労う。


薫は、返答するも生返事もいいところ、彼の視線は、和服美人に向けられていた。それに気付いた彼の祖父は―――、


「ああ、急で言えなくて悪かった。彼女も同席してもらう。彼女は―――」


そう、薫の祖父が促すと、和服の彼女は一枚の名刺を彼に渡す。その名刺には―――、


「黒坂コーポレーション代表黒坂 董吉(くろさか とうきち)が妻、黒坂 政子(くろさか まさこ)と申します」


~・~・~・~・~・~


株式会社 黒坂コーポレーション


特別顧問兼、執行常務


黒坂  政子 

~・~・~・~・~・~


「黒坂コーポレーション?って、あの大企業の?」


―――たまげた、やっぱりあの予言者だった。


薫が、驚いてもおかしくない。様々な分野で名を知られた日本有数の大企業。


海外のみではあるが、兵器や武器をも取引しており、最近では、自立型の人工知能について話題になっていた。


浅学(せんがく)の薫でさえ、認知している程、有名なのである。


そんな人物と「何故、祖父が一緒に?」そう顔に書いてあるのに気付いた祖父は―――、


「彼女とは、高校時代の友人でな」


同い年!


薫は、祖父と政子の顔を見比べる。確か、爺ちゃんは60才ぐらい―――。

髭や白髪な分、実年齢よりも高く見えて仕方がない


でも、黒坂さんは、40代って言われても、俺は―――疑わないだろう。到底、同い年とは思えなかった。


自己紹介を終えると、薫と薫の祖父は横並びに政子は、二人の中央向かい側という位置で、ロビーのソファーに腰を掛ける。


「偶然、フランスで再開し、今回の事を話したら、興味があると同席を希望してな」


今回の事?見た目の件は一旦置いとくとして、あの話を本気で?


「未来からの電話にですか?」


薫は不安げな質問に、政子は黙って一度頷く。


「私は夢で、未来を見る事が出来ます。違う目線からご意見をいえるかと―――」


「何より、私自身興味を持ちまして―――」


彼女が「予知夢(よちむ)」という異能能力を保有する「異能者(いのうしゃ)」である事は、あまりにも有名な話。


政治家、起業家、投資家、メディアの関係者。彼女の能力に(すが)る人物が、

あまりにも多かった結果。彼女は個人的に、占い師としての活動も行っており、テレビや雑誌で、特集されていた。


これは、都市伝説界隈では有名な話で、薫はこの手の話に、目がなかった。更に、彼女が此処に来たのも偶然ではないらしい。


政子の話によれば、事は一ヶ月前。とある知り合いにフランスへと呼ばれた。要件は全く関係のない内容だったのだが、分かれ際にこのような事を言ったという。


「―――昔の友人に会うといい。いずれ、息子さんの力になる」


「息子?―――ですか?」


「私には、貴方と同い年の息子がおりまして」


俺と同い年―――。約40才差の親子か。いや、今時珍しいくはないか。

しかし、「いずれ、息子の力になる?」とは、どのような意味なのだろうか?当然ながら、俺とその息子とは面識はない。


彼女も意味は分からず、半信半疑で祖父を尋ねたが、事の経緯を聞くと、この件に一つの疑問が湧いたという。それは―――、


「電話があった日。 何故、一年と一日なのか?」


彼女の能力は、予知夢と言いつつ、過去の出来事を俯瞰して見る事も出来るらしい。但し、夢の中だけの話らしいが―――。


それにより、概ねの俺が体験した事は認知しており、祖父にも事前に話してくれたとか。


説明する手間が省け、大変有難いのだが、その反面、彼女を敵に回すと取り返しのつかない事になりそうだ。


政子は、電話がかかってきた全4回の時刻を白紙の紙に記し、皆が座る中央の机に、その紙を差し出した。


薫も、何かの手がかりになるかと思い、全てのメモ用紙を机に並べる。


~・~・~・~・~・~


1度目 二○〇七年六月十四日 午後五時

2度目 二○〇八年六月十五日 午後四時

3度目 二○〇九年六月十六日 午後三時。

4度目 二○一〇年六月十七日 午後二時。


~・~・~・~・~・~


物の見事に、日にちは一年と一日が経過していた。


「―――いや、それだけじゃない?」


祖父は、時刻が記載された箇所を指さした。


「時間は、1時間ずつ、減っている」


薫のメモには、最初の時刻までの記録も、記憶もなかった。しかし、政子さんのお陰で、はっきりとした規則性が判明した。


「安易な推理だけど、時刻は何かのカウントダウンかな?」


「その可能性は極めて高いな。但し、問題は何のカウントダウンなのか?


「確か、商品を受け取りに来るのは、二〇三八年の六月十九日正午ですよね?」


政子の質問に、薫は「えぇ」っと、返答した。


「六月十九日に、何か心あたりはない?」


政子は薫の祖父に問いかけるも、首を左右に二度振って解答した。


「錬金術と何か関係性あるとか?別に時間と関係なくても―――」


「と、言われてもな―――いや、待てよ」


何かに気付いた薫の祖父は、薫のメモ用紙を手に取る。


「まさか、そんなまさか―――」


驚きを隠せないまま薫の祖父は、自身が愛用している大きなバックパックから、

一つの分厚い本を取り出す。その本のタイトルは―――。


「―――錬金術の仕組みと謎」っと、(しる)されていた。


挿絵(By みてみん)

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― 新着の感想 ―
[良い点] 一年おきにかかってくる電話…それも同じような内容…すごく引きこまれました。 そこが錬金術のお店というのも何か不思議な感じがして面白いです。 謎がいくつも散りばめてあり、それがどうつながって…
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