~Interlude<幕間>~ある新聞記者の遭遇
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夜遅く、アーヴ・ラーゲィの町の入り口の小屋に
明かりが灯っている。
小屋の中では1人の小さな背をした若い新聞記者が、
ひとつのランプを前にして椅子に腰かけていた。
──……ミザリーさんたちは
今頃どうしているでしョうかね?
記者の前には山積みにされた紙束が置かれており、
その手にはすでにペンは握られていない。
その紙束には今日取材した
異世界から来たという2人組のことについて
書かれており、
大きな文字で見出しが書かれていた。
〝独占取材!再びの異世界来訪者!!〟
〝別世界から来たという2人組に当社記者が
独占取材を敢行!謎多き異世界の秘密とは?〟
〝記者本人が実際に体験!大自然の神秘、
魔法は実在した!?〟
その記事に何度も目を通し、
机の上に放り出すと
新聞記者は大きくため息をついた。
──それにしても今日は月がきれいですね……
小屋の中からも見える大きな月は
不思議と心が落ち着いた。
この小屋に帰ってきたときから
何か心地よい音が響いている気がする、
金属が響き、奏でるような音色が
ずっと聞こえているように思えるのだ。
──……
ふと、小屋の外から何かが
動くような音が聞こえた気がする。
新聞記者は椅子から立ち上がると
出入口へと歩いていく。
心地よい音がなんだか
音量を増した気がする──
記者は音の出所を確かめようと
懐をまさぐり、
音の発信源らしきものを手に取った。
昼間、あの2人組と一緒に歩いていた時に
襲い掛かってきた者たちが落としていった、
剣の切っ先──
それが何かに共鳴するかのように
静かに音を鳴らしていたのだ。
そしてその剣の切っ先を手に取ったと同時に、
小屋の扉がゆっくりと開かれる。
記者が顔を上げると、
何人かの影が目に映る──
昼間に遭遇した
ローブを着た者たちが、
折れた剣を携え
入口に立っていたのだった。
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剣の切っ先:いつの間にかまるで金管楽器のように
音を鳴らしていた。
それは何かを招き寄せる
呼子のようなものだったのだろうか──