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不死鳥の殺し方  作者: 蓬漫
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第一章 鳥籠の不死鳥

「今日も空が綺麗ですね?」

「あぁ…。」

外の明るさに少年は思わずうっとなりました。

少年は窓から容赦なく降り注ぐ朝日と青空を見て、ため息をつきました。

そのため息の中には絶望や空虚さが感じられる…そんなものでした。

ここは誰も足を踏み入れることはあまりない、深い深い森の中にあるポツンと開けた場所にある小屋の中。

そこに不死鳥は羽を休めています。

「もう一ヶ月は外に出てないですよ?」

そう少女は少年に話しかけました。

しかし少年は黙ったままで、死んだ魚のような目でぼんやりと窓の外を見ています。

「そろそろ外へ出たらどうですかー?」

少女は朝食の乗ったワゴンカートからテーブルに食事を置きながら再び話しかけました。

「あぁ…。」

静かに答える少年。

そして少年は出された食事を見て、いただきますと言い、ゆっくりと食べ始めました。

静かに流れる食事の時間。まるで小鳥が囀いて花は咲き誇っているような穏やかな朝の風景です。

「……食べないのか?」

少年は少女に素朴な疑問を投げかけます。

「え…?…あっそうでしたね。」

少女は急いで自分の分も近くのテーブルに食事を置き椅子に座りいただきますと食べ始めました。

少年はそれを確認すると視線を戻し箸を進めました。

…ふと少女は少年に尋ねました。

「どうしてあなたは奴隷を同じ人間として扱うのですか?

少年は表情を一つ変えずに黙々と箸を進めていました。食べている物を飲み込み、水を軽く飲むと少年は答えました。

「……身分なんてそんな大事な事ではない。」

そう答えるとまた食事に戻ってしまいました。

少女は少しモヤッとしていましたが、仕方なく食事に戻りました。

しばらくして少年がご飯を食べ終わり水を飲みながら少女に話しかけました。

「そういえば……明後日は君の誕生日か。」

少女は鳩が豆鉄砲食らったような顔をしましたが、すぐに頷きました。

「なら明後日はご馳走にしよう。」

そう言って少年はベットから起き上がりました。

「!!どこへ行くんですか?」

慌てて立ち上がる少女に手で落ち着けと合図しました。

「ご馳走を買いに行こう。僕の家に来て初めての誕生日だろ?豪華に祝おう。」

そう言って少年は部屋を出て2人分の服のある衣装部屋へ行き軽く着替えを済ませました。

それを見た少女は急いで食器を片付けて、身支度を済ませました。

少女が少年の方へ向かうと少年は郵便受けから届け物を取り出していました。

急いで少女は少年に駆け寄り、謝りました。

「すみません私の仕事なのに…。」

「大丈夫謝らないで。」

少年はニコッと爽やかな顔をしました。先程の死んだ魚の目をした少年はもうどこにもいません。

郵便物は二つあり、一つは少年宛、もう一つは少女宛でした。

少年は少女に封筒を渡して、自分の手紙を読み始めました。

「不死鳥の少年へ

やっほー元気かい?君の主治医さ!

ココ最近君に買ってあげたメイドちゃんから君の身体の容態をしっかり報告して貰ってるよ。

薬に関しては安心してくれ。他の医者共と違って君の身体が安定して回復できる薬だから。成分はいつも通り別紙とサンプルが入ってるからそこを見てくれ。

それで君の事なんだが、読んでくれてるってことは回復したって事だろ?

そしたらまた僕の方へまた来てくれないか?

君の未来のために話がしたい。

僕は君のために色々動いた結果の後処理が沢山残ってるしいつもの仕事場…『成星診療所』で仕事してると思うから裏口から来てね。

元気な姿を期待してるよ。」

その手紙を読んだあと、別紙とサンプルを確認して自分の部屋に持っていきました。

少年が帰ってくると、少女はゴミ箱になにか捨てていました。

「準備できましたか?では同行します!」

そして玄関に誘導されている少年はちらっとゴミ箱にはみ出た紙を確認しました。

『貧民地区ジバング出身者集え』

とだけ見えました。少年は少女になにか聞こうと思いましたが止めました。

そして少し息を吸って少女に言いました。

「行こうか。」

「はい!」

少年は少し顔を曇らせましたが、それは圧倒的な天気の良さに溶けて消えてしまいました。


しばらく二人で森の中を歩いていると行商人らしき人間が馬に荷車を引かせて後ろから歩いてきていました。

行商人は少年達二人に気づくと声をかけました。

「ちょっといいかい君たち。」

そう言って行商人は馬を停めます。少年はフードを深く被り目を合わせないように下を向いていました。

「どうかしましたか?」

少女は行商人に聞きました。

「道に迷ってしまってな。『サーヴィア』って街に用があるんだがどこへ進めばいいか分かるかい。」

「サーヴィアですね。今私達も向かってる所なんですよ。このまま真っ直ぐ行くと行けますよ。」

「そうか!ありがとう。良ければ君たち俺の荷台に乗っていくかい?少し狭いが二人なら乗れるよ?」

少女はちらっと少年を見ました。

少年はふるふると首を振ります。少女はそれを見て断ることにしました。

しかし行商人はせっかくなんだから乗ってってくれと引かずにしょうがなく2人はお世話になることにしました。

二人は馬車に揺られ歩いていきます。

「珍しいですね。行商人なのに馬車を使っているのは。」

少女は尋ねました。すると行商人は少し恥ずかしそうに答えました。

「ははは、そうだろう。やはり今は車とかを使うのが王都の方は主流だろ?魔法で動くとかいうやつが。だが俺は魔法の方はからっきしでな。運転できない以前に動かないんだ。」

「魔力がないなんて珍しいですね。」

行商人は少し笑うとため息を着きました。

「そうだな…。やっぱり今どき魔力がないのは厳しいよな…。」

行商人は少し落ち込んでしまいました。

「魔力が無いせいで取引を断られたり、罵られたり散々だったよ。」

この世界では今だ差別は収まるどころか酷くなっていました。

ジバング出身、ジバング生まれの家系を筆頭に無能力者、無魔力者などが下に見られているのが現状です。

戦争にも使えないし魔物狩りにも、国の貢献にもならないクズ共と呼ばれる始末です。

「やっぱりこの国は終わってるんだよ。昔は『フレンドール国』は最高な国だなんだって言ってたけど今では地に落ちたものだ。」

行商人は不満を零しました。それを少女は複雑そうな顔で聞いています。

少年は荷台の後ろの方で黙って座っています。

「…少し変な話しちまってたな。まぁこの森を抜けるのもまだかかると思うから二人は寝ててくれ。」

そう言って行商人は黙って馬車を進めました。

少女は後ろにいる少年に寄り添うと、静かに風景を眺めました。

しばらく眺めていると突然馬車は止まります。

少年は寝てしまいました。少女は寝てしまっていると思い寄り添っていたところ馬車を止めた行商人がこちらに来ます。

「君達…。」

こちらに来た行商人はさっきまでの顔とは違い、苦痛に顔を歪めていました。もちろん痛い訳では無いです。

「君達……これも全て俺のためだ。」

そう言って袋から何かを取り出します。

少女は少しアタフタしています。何が起きているのか分かっていません。

少年はまだ寝ています。

すると行商人は袋から拳銃を取り出しました。

「大人しく捕まってくれ。これは俺とお前たちのためだ。」

そう言って拳銃を二人に突きつけます。

少女は完全にパニックに陥って真っ青になっています。

必死に少年を起こそうとしますが起きません。

「止めろ!起こすな!大人しくこのまま連行されろ!!」

そう言っている行商人の声は少し震えています。

彼もきっと何か脅されてやっているのでしょう。完全に震えてしまっています。

少女は大人しくなりました。いや起こすのを止めました。それでもずっと震えています。

「いい子だ。そのままじっとしていてくれ。」

そのまま同じ袋に入っているロープと布タオル、手錠を取り出しました。

行商人は少女に前に手を出せと命令します。それに少女は従いました。

まず少女に手錠を掛け、少年にも手錠を掛けようとしました。

すると少年の目がパッと開き、少年は思いっきり行商人に向かって蹴りを入れました。

「痛たっ!!」

あまりにも唐突な出来事に行商人はふらついてしまいます。

アンバランスな行商人にダメ押しの回し蹴りを披露しました。

倒れ込む行商人を他所目に少女の手錠を魔法で開けました。

そして行商人の方を睨みつけると行商人は小さく悲鳴をあげました。

「頼む許してくれ!」

命乞いすらしている行商人に少年は指先を向けて魔法を使おうとしました。

しかし指先に灯した火をパッと消すと、スタスタと歩いて行きました。

少女はそれに着いていきました。チラチラと後ろの行商人を確認しながら。

後ろの行商人は泣いていました。きっと捕まえるのに失敗したので消されるのか、それとも二人に悪い事をしたという罪悪感からでしょうか。

それらも全て少年達には関係の無い話です。

仮にしばらく歩いて銃声が聞こえてきたとしても。


しばらく二人は森を歩いていました。

行商人はきちっとサーヴィアへの道を辿っていた見たいで大分楽できていました。

少年はさっきよりも少し暗い顔をしました。

それもそうです、また命を狙われました。

少年は不老不死で決して歳をとらず、決して死ぬ事も無い特異体質でした。

そのため昔から様々な研究者が寄って集って解剖やら研究やらなんやらを施され続けてしまいました。

そこからとある研究者…成星診療所の所長であり、少年の主治医である人に助けられてから今の暮らしです。

しかしそれでも幾度となくこの様に捕まえられそうになっています。

それを受けて明るくいろという方が酷です。

少年に少女は必死に話をしたりして元気付けるようとしてくれてます。

それでも会話は弾みませんでした。

しかしサーヴィアも近くなってきた所で少年は口を開きます。

「…ごめんね。気を使わせちゃったね。」

謝りました。少女は慌てて否定します。

「大丈夫です。これが私の仕事なので!」

少年の顔は少し穏やかな顔でした。しかし見る人が見れば後ろに影を感じてしまう顔でもありました。

少し無理をしている顔…そういう顔です。

「さぁサーヴィアまでもう少しだ。一緒に行こう。」

「はい。」

元気よく返事する少女に少年は手を差し伸ばします。

意味を汲み取りはしましたがイマイチ躊躇してしまう少女に少年は優しく微笑みます。

少女は恐る恐る手を握りました。

そのまま二人仲良くサーヴィア前まで行きました。少女の顔が少し赤くなっている所を見るとまるでさっきまでの出来事が嘘みたいに微笑ましくなりました。


サーヴィアの街の門まで二人はやって来ました。

門の入口ではなく、門の外側を歩き裏口と呼ばれる入口成星診療所まで来ました。

「急患です。」

チャイムを鳴らし少年はそう言いました。

「症状は?」

と聞き返されます。少年は迷いなく言いました。

「不老不死です。」

すると返事はなく、入口が開きました。

二人は堂々と入口から入るとセンサーか何かが感知したのか入口はすぐ閉まりました。

「外傷や体調悪い所とかないかい?」

白衣を纏った20代後半の爽やかな顔をした寝癖ボサボサの男性が奥から出てきました。

「ドクター素材は良いんだから寝癖と部屋の掃除くらいしたら?モテないよ?」

少年は辛辣なボディーブローを1発決めます。もちろん言葉で。

「相変わらず元気な事で。」

やれやれとドクターはため息を着きました。

そして少女の方に目をやりました。

「君は大丈夫かい?」

「はい!」

元気に返事する少女を少年は後ろから押して一歩前に出して言いました。

「魔素を吸い取る鉱石で出来た手錠をかけられた。一応診てくれ。」

「わかったよ。」

ドクターは少女を連れて診察室へ入っていきました。

少年は診察室の前に行き大声で叫びました。

「変な気を起こすなよおっさん。」

「うっせぇ!起こすわけねえだろ!」

ドクターは中から大声で返しました。

少年は少し笑うと待合室の椅子に座りました。

お客さんは一人も来て無いようです。

理由は簡単ここに診てもらいに来る人は内外からの急患か物好きかドクターの腕を知ってる人だけです。

つまりいつも通りの風景でした。

少年はぼーっと座っていました。

特に何も無い時間がただひたすらに過ぎていきました。

鳥のさえずりも咲き誇る花々はありません。

薄暗い室内で何も聞こえない空間で少年が座っています。絵になりますねこれ。

そうこうしていると診察室から二人が出てきました。

「お待たせー終わったよー。」

そう言ってドクターは出てきました。

そして後ろから少し顔を赤く染めた少女が出てきました。

「殺す。」

そう言って少年はドクターに詰め寄ります。

手にはどこから出したのかナイフを持っています。

ドクターはどうどうと少年を宥めます。

少女が慌てて止めに入ります。

「違います違いますよー。」

必死に少女が止めてくれたおかげで何とかドクターは一命を取りとめました。

少女が説明するには慣れてない検査で恥ずかしかっただけだそうです。

「紛らわしいぞ全く。」

少年は少し怒っていますが、それを気にせずドクターは検査結果を話し始めました。

「彼女は少し魔素不足になってるな。どうやらその手錠は魔素を封じ込めるじゃない、魔素を一切無くして魔素切れで動けなくするというタチの悪い魔導具だ。」

そう言ってドクターは少女に飲み物を渡しながら続けました。

「しかしまだ外すのが早かったからか魔素がすっからかんになる事は無かったようだ。」

そう言ってドクターはカルテを机の上に置きました。

そして改めて話を始めた。少女はお使いを頼まれて近くの果物屋に行きました。ちゃんとドクター指示の元なので安全な所です。

「そろそろどうかい?考えてくれたか?」

そう言ってドクターは少年の隣に座りました。

「あぁ考えたさ。だが僕はこの『楽園』からは出たくない。」

少年がそう言うとドクターは困った顔をしました。

そして一つため息をついて、頭をポリポリとかきました。

「いや分かるよ。君のその経験からあの鳥籠から出たくないのは痛い程分かるんだ。」

「それならドクターは、」

「君のためなんだよ。『ヤイガ』、君のためなんだ。」

少年(ヤイガ)はドクターがあまり見せない強い口調で言ったので思わず目を背けてしまいます。

ここまで強気なドクターは見た事ないからか思わず黙り込んでしまいました。

「ごめん少し強く言い過ぎたね。」

ドクターは立ち上がり、慣れないなーっと言いながら周りを歩き始めました。

しばらくドクターの歩く音だけが聞こえていたがヤイガが口を開きました。

「わかった。だがすぐは嫌だ。もう少し待ってくれ。飛び方を忘れた不死鳥はすぐには飛べないんだ。」

そう言いました。それでもドクターは嬉しそうに飛び跳ねました。

「いいぞ!君がそう言ってくれて嬉しいよ!」

そしてスキップしながら自室に入っていきました。

ヤイガはため息をつき、下を見てきます。

するとドアが開き少女が帰ってきました。

少女はいっぱい取れましたとご機嫌で帰ってきてましたが、ヤイガの元気の無い姿を見てすぐに駆け寄ります。

大丈夫ですか?そういつもの様に声をかけます。

その時でした。少女が入ってきたドアから数人が蹴破って入ってきました。

「見つけたぞ不死鳥!」

そう言って入ってくる奴らはパッと見ただけで五人はいます。

三人は街のゴロツキでしょうか、腕に自信があるゴロツキと二人は門番などの仕事をしている国の兵士です。

これで分かりますが、ヤイガは国からもゴロツキ達からも狙われる理由があります。

そしてこいつらが来たという事は少女をつけていたようですね。

少女はひぃっと小さく悲鳴をあげ青ざめています。

ヤイガはそれ所では無いのか下を向いたままでした。

「へへっ大人しくしてりゃ怪我無しで済むぜ?まぁよっぽど捕まった方が酷い目に合うと思うがな。」

ゴロツキ三人は汚く笑いました。

少し五人が距離を詰めた時、自室からドクターが出てきました。もちろん武器持ちで。

メスを先頭のゴロツキの足元にコントロール良く投げて刺すと、一言格好つけて言いました。

「人の病院で暴れて欲しくないな!」

唐突なメスに怯むゴロツキ共。後ろ二人の兵士は微動打にしません。

そのまま何かが入った注射器をゴロツキ一人に投げて無し、注射器は刺さった瞬間に中の薬品かゴロツキの体内に入っていきます。

するとゴロツキは一人倒れてしまいます。

完全に不意をつかれたゴロツキ達は驚いています。

「逃げるなら今のうちだ。」

そう冷静にドクターは言います。

しかしゴロツキ二人は我に戻ったのか不敵に笑いこちらに向かってきました。

「不意打ちで一人殺れた程度でイキがるなよヤブ医者ぁ!!」

ナイフで特攻してきました。いやこう見えても頭は悪くないようで、近くまできて唐突に止まると魔法銃を取りだしました。

ドクターはハッとして後ろに飛びましたが間に合いません。敵の撃つ方が早いです。

敵が撃った時まだドクターは着地したばっかり、避ける暇もなく弾は眉間に飛んできます。

弾が眉間に当たるか当たらないかの所で魔弾は消えました。

少しヤイガが顔を上げたかと思うと髪の間から片目だけドクターの方を見ていました。いつもとは違う青い瞳で。

「な、なんだよ。」

ゴロツキは焦っていました。そりゃそうです。誰だって目の前で撃った魔法が目の前で消えるなんてことありませんから。

その隙を見逃さなかったのがドクターでした。

怯んだ隙だらけのゴロツキ一人に怪しげな薬品が入った注射器を首元に刺しました。

チューっと怪しげな薬品が動脈へ入っていきます。そのままゴロツキは何も言わずに倒れてしまいました。

「ひぃ。」

残ったゴロツキの顔は青ざめて尻もちを着きました。

ドクターは魔法銃を奪いゴロツキに向けました。

「どうする?死ぬか永遠に俺達に近づかないか。」

「近づきません!一生近づきません。なので命、命だけ…」

ゴロツキの腹を突き破った何かから紅い何かがポタ、ポタと滴り落ちました。

「うぐぅ…」

ゴロツキ小さく呻き声を上げました。

ゴロツキを背中から串刺しにしたのは後ろの兵士の内一人の槍でした。

そしてその槍から滴り落ちる何かは血です。それも真っ赤に染った血が美しい槍を汚しています。

兵士は槍をグリグリと動かしゴロツキの内臓をかき混ぜました。それは優しくもあり慈悲がないかき混ぜ方でした。

しかもそれを行う兵士は特に声も一つ上げず真顔でしていました。

飛び散る返り血、床に垂れる血それら全てを見ても全く動じません。

兵士が槍を抜いた時にはゴロツキは倒れていて、穴の空いた腹からは内蔵がチラ見せしてます。

「おいおい…。」

ドクターは死体は見慣れてるため、別に今更でしたが少女は青ざめて小刻みに震えてしまっています。

少女は少しづつ壁の端に後ろ向きで歩いています。少女の目には兵士が化け物に見えてました。

ヤイガはまだ黙って下を向いています。

グチャと倒れた肉片を踏みつけ兵士はドクターの方へ歩き始めました。

「ドクターそれは得策では無いですよ。」

そう言って近づいてきます。ドクターはニヤッと笑うとチッチッチッと指を振りました。

「安心しろ俺はこいつの主治医だ。権利ならここにあるしなんならそこの少女は俺が買った奴隷だ。」

少しとヤイガの目が光りましたが、ドクターは気にしてません。

「そうですか……。分かりました。ここは一旦我々は引くとします。」

そう言って二人の兵士はガシャガシャと大きな鎧の音を立てて去っていきました。

もちろん死体の後処理なんてしずに。

ドクターは頭を搔くと面倒くさそうにため息をこぼしました。

そして倒れてるゴロツキを外(街の)に叩き出すと死体の処理を始めました。

ヤイガと少女は部屋を借りるといい、二人で入っていきました。

ドクターはそれを確認するとメモを一枚破りゴミ箱にしてました。

メモには崩壊都市と書いてあり続きの街の名前は黒く塗り潰されてました。

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