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そのニュースを見た後、母は父の勤める会社に問い合わせると、確かに今、父は重慶にいるが連絡が取れないという。
しかも、ことは中国で起こったことであり、ニュースもほぼ全ての番組で取り上げているというのに、新しい情報が入ってこない。
会社でも調べているみたいだが、そちらも進展がないようだ。
母の心労は重なるばかりで、今もテレビと電話にかじりつくようにしている。
祖父と祖母もそんな母を心配して今は家に来ている。
妹は現状をよく理解していないが、なんとなく周りの様子から何かを感じたらしく、俺の袖を引いて不安そうにしている。
可愛いやつだ。周りは俺をシスコンだと言うが、こんな可愛い妹を持てば俺の気持ちもわかると言うものだ。
父もこんな可愛い妹のためなら世界に穴が開こうがきっとすぐに帰ってくるに違いない。
そう、俺は思っていた。
だが、事はそんな単純なものではなかった。
4月2日 政府高官全員の死亡により、中国政府崩壊
4月4日 北朝鮮による中国への複数の核ミサイル発射
この二つのニュースが世界中に広がり、衝撃を与えた…
父から連絡があったのはそれから一週間後だった。